The Perfect Murder Case
1929「完全殺人事件」★★★☆☆
警視庁と新聞社に舞いこんだ殺人予告の手紙は、そのとおりに実現された。
大胆怜悧な犯人の作戦に応じた民間会社の探偵は、
アリバイ打破のために、心身をすりへらす。
読者の頭脳をひきずりまわし、迷宮のごとき謎をさまよわせ、
リアリズム推理小説のおもしろ味を満喫させる名編である。
その複雑で緻密な運び方は、読者をしてうならせる。
ルドウィック・トラヴァース・シリーズ第2弾。
193X年10月7日。
警視庁と新聞社に"マリウス"と名乗る人物からの投書が舞いこんだ。
そこには、近いうちに殺人を犯し、捕まる懸念がまったくないので
それを「完全殺人」と呼ぶなどと挑戦的な文言がならんでいた。
はたしてこの予告通り、富豪の男が自宅にて刺殺された。
容疑者は弁護士、牧師、役者、教師をしている被害者の甥たち。
しかし4人全員に金城鉄壁のアリバイが浮かびあがる。
難攻を極めるこの犯罪捜査の結末は?
地道な捜査のアリバイ崩し系、正直退屈だったなぁ。
いわくありげなプロローグ、大胆不敵な予告殺人と、
導入部は申し分ないんだけど、中盤からダレる。
スピード感やサスペンスがないのよね。
真相――アリバイトリックも普通すぎるだろ(^^;
フィクションにリアリズムを求める人向き。
警視庁と私立探偵社の友好的探偵(捜査)ってのはめずらしいかも。
この時代は名探偵ひとりが快刀乱麻を断つパターンが全盛だろうし。
いささかなれあい気味というか善人ばかりであれだけど。
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