Improbable
2005「数学的にありえない」★★★☆☆
破滅寸前の天才数学者ケイン。
彼を悩ませる謎の神経失調には大きな秘密があった。
それは、世界を根底から揺るがす「能力」の萌芽だったのだ。
それを狙い、政府の秘密機関“科学技術研究所”が動き出し、
その権力を駆使してケインを追いはじめた。
なぜ彼らはケインを追うのか?
彼らが狙うケインの「能力」とは何なのか?
そして科学者トヴァスキーが進める「研究」の目的とは?
執拗な追手から逃れつつ、ケインはその謎に迫ってゆく。
いくつもの物語が謎をはらんで一斉に疾走、
ここに前代未聞のアイデアを仕込んだ
ジェットコースター・サスペンスが幕を開ける。
統計学の講師をしていたデイヴィッド・ケインだが、
癲癇の発作に悩まされ、ギャンブルに溺れていた。
ある日、必勝に見えたポーカーの大勝負で敗れ、
カジノ店主のマフィアに多額の借金をしてしまう。
同時期。
精神病院から退院したデイヴィッドの双子の兄ジャスパー。
組織を裏切り情報を売りわたすCIA工作員ナヴァ。
謎の人体実験を敢行する科学者トヴァスキー。
その研究の被験者であるジュリア。
研究結果の横奪を狙う上官のフォーサイス。
無関係に見えるそれぞれの思惑が絡みあい、
物語はありえない結末へと集約される――
タイトルがかっこよすぎますね。それで買い。
テーマは確率論、もう少しネタバレ気味に踏みこむと、
"ラプラスの魔による未来予知"となります。
一応、伏せたけど目次とかで予測はできちゃう範囲かと。
フルサスペンスが売りで新書上下巻600ページ、一気に読み終わります。
読んでる感覚はSF。
ミステリ的技巧にも注目です。伏線のまとめがあざやか。
ただいずれも半端だなという印象を持ってしまいました。
決定論や集合的無意識のギミックって新鮮さもないし、
読者全般に考慮した物理などの"講義"も説明感全開で浮いてんだよなぁ。
ヒロインのナヴァもどうも好きになれない。
相手や情報を選んでいるとはいえ、保身の殺しも躊躇なしとか。
わざわざ命がけでケインにかかわる要素、動機も薄い。
ハリウッド的ロマンスがないのが救いか。
あとジュリアとベッツィのイベント、エピソードがあればなぁ。
血縁だけじゃなく、ほんのささいな、借りがある、
守るという約束のひとつでもあれば。(とくにないのが逆にいい?)
特定の意志により人死にが出てまで
(例えばトミー、どうせ自殺してたし事故で死亡してもいいじゃん的な)
少女はあの結末を望むのかな。
(微妙にずれてる気はする。干渉レベルがどうにも不定で)
4000円ではコスパが悪いと思う確率は高いはず(w
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