伊坂 幸太郎 (いさか こうたろう)

1971.5.25~
千葉県松戸市出身。
千葉県立小金高等学校、東北大学法学部卒業後、システムエンジニアとして働くかたわら筆を執る。
2000年、デビュー作「オーデュボンの祈り」で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞。
2004年「アヒルと鴨のコインロッカー」で第25回吉川英治文学新人賞を受賞。
同時期の「重力ピエロ」「チルドレン」「グラスホッパー」などで直木賞候補となる。
2000オーデュボンの祈り★★★★
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。 江戸以来外界から遮断されている“荻島"には、妙な人間ばかりが住んでいた。 嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、 人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。 無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。 未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか? ジョン・ジェームズ・オーデュボンはフランス人の動物学者。 アメリカで研究生活を送り「アメリカの鳥類」の画集を発表した。 その中の絶滅したリョコウバトがこの物語のキーの1つに。 鎖国状態の未知の島での事件、 島人たちも変人が多い(予知のできるしゃべるカカシまでいる!)と ユニークすぎる設定にミステリ風の味付けをした感じ。 超常的になると作者の気分でどうとでもねじ曲げ可能になるので ご都合臭が出てきてしまうものですが、なぜだか受け入れ易いんですよね。 のんびりした田舎補正なのか。殺人だらけなのだけど。 祖母の「逃げる」の暗示や、もったいつけた城山の顛末がやや無念。
2005死神の精度★★★☆☆

CDショップに入りびたり、苗字が町や市の名前であり、 受け答えが微妙にずれていて、素手で他人に触ろうとしない― そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。 一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。 クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。 人間の死を見定めるために派遣される死神視点の連作短編集。 死神なので(?)人間世界の常識や価値観がずれていて珍妙な受け答えをしたり、 三度の飯より(そもそも食べなくてもいい)ミュージックが大好きで 渋滞が大嫌いなどユーモラスに描かれています。  死神の精度 調査対象は大手電機メーカーで苦情処理をしている女。 彼女を指名してまで執拗なクレームを入れる男が現れる。 やがて電話だけでなく直接面会したいと言い出すが…  死神と藤田 調査対象は藤田という任侠精神を重んじているやくざの男。 兄貴分を殺された彼は復讐に燃えていたが、抗争は思わぬ展開へ…  吹雪に死神 調査対象は洋館に夫婦で宿泊していた女。 雪の山荘で起こる連続殺人。隠された動機とは…  恋愛で死神 調査対象はブティック(服屋)で働く男。 一度客として来店した近所に住む女に片想いをするが…  旅路を死神 調査対象は殺人逃亡犯の男。 奥入瀬渓流を目指して車を走らせる、その目的とは…  死神対老女 調査対象は美容院で働く老女。 死神を人間じゃないと見抜いた彼女は風変わりな依頼をするが… ちょいとバレ。 いつも雨に見舞われているのになぜ最後晴れたのでしょうね? 千葉氏の心象反映?人間への理解が深まって心情に変化が生まれた結果? う~ん、それだといつも雨なのがピンとこない。 べつに仕事に対して鬱蒼とした感情はなさそうだし。 最後のやり取りの前にすでに晴れてる、絶句するほど驚いてる、 となると事前の朝美との問答が作用していたのでしょうかね。 人間じゃないと見破った相手なので無意識にも思うところがあったのでしょうか。 それはそうと十和田湖観光に行きたくなりますねぇw
▼BACK▼          ▽TOP▽