日本推理作家協会賞受賞作全集〈69〉
2006「北米探偵小説論」★★★☆☆
アメリカ探偵小説論のみが、
歴史的記述を不可分に要請してきたと思えるのである―
年代記の形をとってアメリカの探偵小説を語り、
文学全般をそこに取り込んで、
二十世紀の歴史に大きな意味を持つアメリカの希望と悲劇が描かれていく。
その視線は、日本の探偵小説の運命にも。
かつてない手法によって構築された探偵小説論の大作。
すごいですよ。重厚ですよ。
最初の100ページはガチガチの北米社会論で
乱丁なんじゃないかと心配するほど深く語られます(w
これを越えるとハメット、ヴァンダイン、クイーンといった
おなじみの顔ぶれが登場して俄然おもしろくなります。
そこでようやく最初の100ページがいかに活きているか痛感するという。
ミステリとはなんぞやとかある作品の解説・批評とかじゃなく、
作家とその時代・社会・歴史背景を通して作品を解剖するといった感じ。
核になっている作家はやはり上記の3人(4人?w)なので、
彼らが好きであればあるほど興味深くなるでしょう。
ところで私が読んだのは双葉社の縮小版なのですよ。
種類は3つあって、以下のとおり。
・青豹書房版(1991/9)
・インスクリプト/増補決定版(1998/10)
・双葉社/双葉文庫(2006/6)
増補版と縮小版ではボリュームが倍近くちがう罠。
すでに別の作品じゃねえかという気がしないでもないので、
この辺は正直、複雑ですね。ちぐはぐな印象もあったし。
なんぼ作者本人によるカットだとしても歪みが出ますわな。
なのでどうせ読むなら最初から増補決定版がよさげ。
っと、今アマゾンで見たら買えるけど定価で6000円だった(w
これは相当なマニアにしか推奨はできないな、現実的に考えて(w
そうそう、本書を読んだ人ならわかるURLをペタリ。
http://eim00.nobdy.jp/
……すでに落ちてんですけど(^^;
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