パット・マガー (Patricia McGerr)
1917〜1985
ネブラスカ州生まれ。
コロンビア大学でジャーナリズムを学び、
建築雑誌の記者をしながら物書きをはじめ、
1946年「被害者を捜せ!」でデビュー。
第3作「探偵を捜せ!」、第4作「目撃者を捜せ!」など、
犯人捜しを角度をかえアプローチする趣向で文名を得た。
Pick Your Victim 1946「被害者を捜せ!」
第二次大戦下、異境の地にいる海兵隊員の唯一の愉しみは、 故国からの新聞や雑誌を廻し読みすることだった。 そんなある日、新聞で、ぼくの勤めていた〈家善協〉で ぼくのボスが殺人を犯したのを知った。 でも、記事がちぎれているので被害者がわからない。 そこで、ぼくの話をもとに戦友仲間で被害者捜しをすることになった……。
The Seven Deadly Sisters 1947「七人のおば」★★★★☆
被害者捜し、探偵捜し、と一作ごとに新機軸を出して 読者を魅了した才媛パット・マガーの長編代表作。 戦後「怖るべき娘達」のタイトルで紹介され、 女史の名を一躍高めた記念すべき作品。 友人からの手紙で故郷のおばが殺されたことを知った主人公が 夫の協力を得て、過去の思い出の中から犯人と被害者を捜そうとする。 安楽椅子探偵ものの傑作である。 ある晩、結婚しNYから渡英したサリーの許へ友人から手紙が舞いこんだ。 サリーのおばが夫を毒殺してから自殺したというのだ。 ところが、サリーには7人のおばがいるのに、 肝心な名前がそこには書かれていなかった。 サリーの夫ピーターは現地紙のバックナンバーを調べればいいと提案するが、 いやな想像ばかりが頭に浮かんで 恐慌状態におちいったサリーは翌朝まで待てそうにない。 そこでピーターはサリーが両親を亡くしたあと、 おばたちと暮らした7年間を回想させ、犯人のおばを推理することに。 翌朝には新聞で犯人がわかるのに 眠れぬ妻を落ち着かせようと解決にのぞむ夫かっこいい。 おもにおばたちの結婚をめぐるゴシップ的物語で なかなかはちゃめちゃユーモラスで笑えます。 (どんどんギスギスしてきて、しまいにはげんなりもするけど) ああ、7人のおばといっても、別に中年のおばさんが 7人もひしめきあっているわけではありません、それは絵的やばい。 そりゃあ年長のおばは中年ですが、 若い方のおばは大学生だったりするので安心されたし。 しかしこのおばたち、ほっといたらまた殺人が起こっても ちっとも不思議じゃないですね(^^;
Catch Me If You Can 1948「探偵を捜せ!」
病弱な夫を殺して、金と自由を手に入れようとした美貌の若妻。 夫を殺した夜、その山荘を訪れた四人の客のなかには、 夫が死ぬ前に呼んだ探偵がいる。 妻は必死の推理と、すぐれた演技の芝居をして 自分の罪をかくし、探偵を捜し出そうとするが……。 探偵が犯人を捜すという定石を破って、 犯人が探偵を捜すという“異色”の本格推理小説!
Save the Witness 1949「目撃者を捜せ!」
ニューヨークを発ち、一路リオへ――。 船旅は快適なものとなるかに見えたが、出帆して二日め、 乗客の一人が殺されるという事件が突発した。 状況からして存在するはずの目撃者が証言すれば結着はつくのだが、 名乗りでる者は一人もいない。 かくして閉ざされた船上、密かに目撃者捜しが展開することになった! 才媛の秀作、待望の初紹介。▼BACK▼ ▽TOP▽
...Follow, As the Night... 1950「四人の女」
前妻、現夫人、フィアンセ、それに愛人―― 人気絶頂のコラムニストをとりまく四人の女性。 彼はひそかに自宅のバルコニーの手摺に細工した上で、 四人をそろって招待し、ある晩、ディナー・パーティを開いた。 彼には、その中の一人を殺さねばならない動機があったのだ……! 一作ごとに趣向を凝らす才媛が、被害者捜しの新手に挑む傑作!