Marquis de Sade ; Histoire de Juliette ou les Prosperites du Vice
1797「悪徳の栄え」★★★★★
美徳を信じたがゆえに悲惨な運命にみまわれ
不幸な人生を送るジュスティーヌの物語と対をなす、
姉ジュリエットの物語。
妹とは逆に、悪の哲学を信じ、残虐非道のかぎりを尽しながら、
さまざまな悪の遍歴をかさね、
不可思議な出来事に遭遇するジュリエットの
波爛万丈の人生を物語るこの長大な作品は、
サドの代表作として知られ、
サドの思想が最も鮮明に表現された傑作として知られる。
いやはや、さすが本家本元。濫觴。ドSってレベルじゃねぇぞっ(;´Д`)
本書は「美徳の不幸」「新ジュスティーヌ」の続篇にあたるみたい。
どちらもジュスティーヌの物語で、
その姉ジュリエットの物語がこの「悪徳の栄え」……でいいんだよな?
究極的にアンモラルな悪漢(悪女)小説ながら、
教養小説、哲学小説の側面も持ちあわす厄介もの。
エログロ描写も容赦なし。
物語はジュリエットの一人称で彼女の生涯を描いたもの。
悪女として成長するさまが克明に記されます。
こればっかりは「子どもに読ませたくない」という
陳腐な文句につい同意したくなります。なんてこった。
美の表現が大げさでワンパターンだったり、
登場人物が桁外れの無茶な悪党ばかりだったりと、
難も見受けられるのですが、
この暴論を自然主義的に思わせる魔力はなんなんだ。
妹ジュスティーヌの物語も読みたいような、こわいような。
|