アーヴィング・ウォーレス (Irving Wallace)

1916.3〜1990
シカゴ生まれ。
15歳で寄稿した短編小説が雑誌に売れて、
大学を中退して文筆業に邁進する。
第二次大戦中は空軍の映画班に勤務、戦後は映画シナリオ作家となる。
50年代後半から小説家に転身。
綿密な取材と、卓抜なストーリーテリング、
時代に迎合した作品テーマで大成功を収める。
ノンフィクションも多く、著書は世界で2億5000万部を売る。
    The Word
1972イエスの古文書★★★☆☆

若くて広告業界で成功をおさめたランダルに、 宗教書の出版社から、宣伝の依頼がもたらされる。 ランダルは、その驚くべき内容に戦慄した― イエス・キリストの実弟が書き遺した古文書が発見された。 近親者が記した、この新たな福音書によって、 謎につつまれた人間イエスの真実が明らかになるのだ。 しかもそこには、誰も予想もしなかった “第二の復活”が記されているという! そして、この文書を収録した新編集の聖書が、世界中で発売される。 そのPRを、ランダルに任せたいというのだ。 イエスの弟ヤコブが記したと思われる古文書が発掘された。 この衝撃的な、新たな福音書を収めた新聖書の出版が決まり、 宣伝広告会社社長スティーブ・ランダルに 極秘ビックプロジェクトへの参加の話が舞いこんだ。 信仰と利権をかけた保守派と改革派の折衝、 やがてランダルはある疑惑に取り付かれることに―― 歴史ミステリ。 聖書(新約)の知識が浅くてもたのしめます。ソース私。 エンタメ色が強くて、 サスペンス(いきなり散歩したいと言いだし襲われたりw)や エロス(節操ない!)のシーンがじつにわかりやすい。 といっても聖書がらみの記述はなかなか本格的で興味深い。 やはり欧米人にとっては影響力が段違いなのでしょうね。 個人的にはそこまで人生観変わるんかいと思っちゃうのですが。 結末はもの足りなく感じてしまいました。曖昧で。 ランダルが到った真理もどうもね。 この真偽の曖昧さこそ皮肉で象徴的ともいえそうですが。 ロマンスのほうは鼻白むばかり('・c_・` ) 本書はアブリッジみたい、完訳じゃないと損した気分。 旧版(新潮文庫)は『「新聖書」発行作戦』というタイトル。だせえええ。
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