飴村 行 (あめむら こう)
1969〜
福島県生まれ。
東京歯科大学中退。
『粘膜人間』で第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞。
2008「粘膜人間」★★★☆☆
「弟を殺そう」―身長195cm、体重105kgという異形な巨体を持つ小学生の雷太。 その暴力に脅える長兄の利一と次兄の祐太は、弟の殺害を計画した。 だが圧倒的な体力差に為すすべもない二人は、父親までも蹂躙されるにいたり、 村のはずれに棲むある男たちに依頼することにした。 グロテスクな容貌を持つ彼らは何者なのか? そして待ち受ける凄絶な運命とは…。 第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した衝撃の問題作。 粘膜シリーズ第1弾。 グロテスク・スプラッター・ホラー。 物議をかもしつつホラー小説賞を受賞したようです。 なんといっても世界観が奇妙。 昭和初期ののどかな田舎の風景に河童が存在するような世界。 上記の"弟殺しの顛末"は第一部で、物語はあちらこちらにさまよいます。 物理的な暴力や拷問、心の暗部にも侵食するような切り込みも多数。 荒唐無稽でどこかユーモラスだからこそ不気味にこわい。 最後の描写されない決闘は勝敗がどちらにしても、 さしてその後の展開に展望がないのが残念だったかな。
2009「粘膜蜥蜴」
国民学校初等科に通う堀川真樹夫と中沢大吉は、 ある時同級生の月ノ森雪麻呂から自宅に招待された。 父は町で唯一の病院、月ノ森総合病院の院長であり、 権勢を誇る月ノ森家に、2人は畏怖を抱いていた。 〈ヘルビノ〉と呼ばれる頭部が蜥蜴の爬虫人に出迎えられた2人は、 自宅に併設された病院地下の死体安置所に連れて行かれた。 だがそこでは、権力を笠に着た雪麻呂の傍若無人な振る舞いと、 凄惨な事件が待ち受けていた…。 粘膜シリーズ第2弾。
2010「粘膜兄弟」
ある地方の町外れに住む双子の兄弟、須川磨太吉と矢太吉。 戦時下の不穏な空気が漂う中、二人は自力で生計を立てていた。 二人には同じ好きな女がいた。駅前のカフェーで働くゆず子である。 美人で愛嬌があり、言い寄る男も多かった。 二人もふられ続けだったが、ある日、なぜかゆず子は食事を申し出てきた。 二人は狂喜してそれを受け入れた。 だが、この出来事は凄惨な運命の幕開けだった…。 粘膜シリーズ第3弾。
2011「爛れた闇の帝国」
高校2年生の正矢は生きる気力を失っていた。 先輩でもあり不良の崎山が、 23歳も年の離れた正矢の母親と付き合い出し、入り浸るようになったのだ。 学校も退学し、昼間からぶらぶらと過ごす正矢に、 小学生の頃から親友同士の晃一と絵美子は心配して励ましてくる。 一方、独房に監禁された男が目を覚ました。 一切の記憶を失い、自分が何者であるかもわからない。 どうやら自分は大東亜戦争まっただ中の東南アジアで 「大罪」を犯してしまったらしい。 少しずつ記憶を取り戻す男だが、定期的に現れる謎の男によって拷問が始まった…。 やがて、絶望の淵にいる正矢と男は、互いの夢の中に現れるようになった。 しかし、二人の過去には恐るべき謎が隠されていた! 日本推理作家協会賞受賞『粘膜蜥蜴』から1年半… 満を持して放つ、驚愕のエンタテインメント。▼BACK▼ ▽TOP▽
2012「粘膜戦士」
占領下の東南アジアの小国ナムールで、大佐から究極の命令を下された軍曹。 抗日ゲリラ、ルミン・シルタと交戦中、重傷を負い人体改造された帰還兵。 複雑な家庭事情を抱え想像を絶する悲劇に見舞われる爬虫人好きの無垢な少年。 陸軍省の機密書類を盗み出そうとして捕らわれた2人の抗日分子。 そして安住の地を求めて山奥に辿り着いた脱走兵…。 戦時下で起こる不可思議な事件。目眩く謎と恐怖が迫る、奇跡のミステリ・ホラー。 粘膜シリーズ。