夏樹 静子 (なつき しずこ)

1938〜
東京生まれ。
慶応義塾大学文学部卒業。
73年「蒸発」で第26回日本推理作家協会賞を、
89年「第三の女」でフランスのロマン・アヴァンチュール賞を受賞。
ダネイ夫妻との親交も有名。うらやましい。
1982「Wの悲劇」★★★☆☆

新雪に包まれた山中湖畔にある、 日本有数の製薬会社・和辻製薬会長の別荘で、 突然、悲劇の幕は開いた。 和辻家のだれからも愛されている女子大生の摩子が、 大伯父にあたる当主の与兵衛を刺殺したのだ! 一族は摩子の家庭教師・春生に協力を要請し、偽装工作を…。 名作『Yの悲劇』に挑戦する、著者会心の本格長編推理傑作! 倒叙ミステリ。一捻りも二捻りもありますが(^^) 「Yの悲劇」はべつに取り立てて関係ないです。 大企業・和辻製薬の当主である会長が、 姪の摩子を襲おうとして刺殺される。 一族の誹謗、社への影響、摩子の将来などを考え、 居合わせた全員で外部犯の犯行と見せかけようと 偽装工作を計画するが… これがどうにもずさんでね、 読んでて首をふりふりしてたんですが、 それがまさに作者の思うつぼでした(^^ヾ で、ネタバレ。クライマックスは崖(w さて、本書の魅力はなんといっても、 解説にエラリイ・クイーンが筆をとっていることでしょう。 クイーンといってもダネイだけですけどね。 もうこれだけでQファンならチェックです。 (私が読んだのは角川文庫のやつ。他のエディションでは不明) ちなみに本書、タイトル「富士山殺人事件」で英訳されたそうな。 まさに悲劇(w
1988「そして誰かいなくなった」★★★☆☆

豪華クルーザー“インディアナ号”に5人の客が招待されたが、 出航の夜のにぎやかな晩餐に、 突然、不気味な声が侵入する。 各々の、秘めた罪を告発するそれは、 クリスティの、有名な予告殺人小説と酷似し、船内は恐怖に凍りつく。 果たして、1人、また1人と乗客が殺されていって……。 画期的本格推理長編。 ミステリ。 豪華クルーザーの旅に招待されたゲスト5人と、 艇長とクルー、合わせて総勢7名を乗せ、 インディアナ号は死の航路へと出航する―― いうまでもなく、 クリスティの「そして誰もいなくなった」のオマージュです。 激しくこれになぞられて展開しますので、 未読なら避けたほうがいいですかね。 舞台が孤島でなく船内ってのは、緊張感に圧迫感があっていい感じ。 終わってみれば、むしろクリスティの某作のほうに近いけど(w 一人称が不自然だけど、最後には納得。 モチーフもベースもいいので得だよなあ。 オリジナルティがとぼしいのがマイナス。 ※本書はクリスティが解説したりしてませんのであしからず(w
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