1981「遠きに目ありて」★★★☆☆
成城署の真名部警部は、
偶然知り合った脳性マヒの少年の並外れた知性に瞠目するようになる。
教えたばかりのオセロ・ゲームはたちまち連戦連敗の有様だ。
そして、たまたま抱えている難事件の話をしたところ、
岩井信一少年は車椅子に座ったまま、たちどころに真相を言い当てる…。
数々のアイディアとトリックを駆使し、
謎解きファンを堪能させずにはおかない連作推理短編の傑作。
ミステリ。5話収録。安楽椅子探偵もの。
探偵役が脳性マヒの少年なのでもろに安楽(車)椅子。
モデルは仁木悦子女史の著書「青じろい季節」の作中人物だそうです。
天藤真といえばユーモアのイメージが強いですが、
今回は社会派色に染まっていますね。
短編なのに事件(謎)が大きめなので、
どうしても細かく作業的になっていた印象。
多すぎる証人 多数が見守る中で起きた刺殺転落事件。
目撃者は大勢いたが証言はそれぞれ食いちがう…。
ラストで泣き・゚・(ノД`)・゚・
宙を飛ぶ死 ホテルで忽然と姿を消した男が、
遥か遠くの湖で死体で発見される。
逆ハウダニット。どっちにしても大掛かり(^^;
出口のない街 現場がごちゃごちゃしすぎ。
シンプルにね、やろうと思えばできるでしょうに。
町レベルの密室もの。
見えない白い手 自白するふたりの人間。不明の凶器。
興信所がやりすぎだし、いざとなったらなにもしねぇし…
完全な不在 まさに完全な不在。アリバイもの。
これはうまいね、"挑戦"もすてき。
でも警察って指紋とるよなぁ。
さて、本書は1976〜1981年に幻影城で連載されていたもの。
バリアフリーなんて語彙も社会に浸透していなかったのか、
作中でもいろいろな問題が提起されています。
現代では少しは改善されてきているでしょうが、
まだまだ山積した課題もあるのでしょうね、想像もつきませんが。
萌え〜とかやってる場合じゃねえぞ、と。
んでもいい話、狙いすぎの節があるのもまた事実。
んでもいい話にはちがいないんでようがすようがす。
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