冲方 丁

1977〜
岐阜県生まれ。
早稲田大学中退。
在学中の1996年に「黒い季節」がスニーカー大賞金賞を受賞してデビュー。
2003年「マルドゥック・スクランブル」で第24回日本SF大賞。
オフィシャルに【生い立ち】とかありますので参照に(なるのかなあw

OHP
超参考
    The First Compression
2003「マルドゥック・スクランブル 圧縮」★★★☆☆
    The Second Combustion
2003「マルドゥック・スクランブル 燃焼」★★★☆☆
    The Third Exhaust
2003「マルドゥック・スクランブル 排気」★★★☆☆

3冊で1つの作品なのでまとめちゃいますよー。 ジャンルはSF。ラノベ的。たまご。ヌルサイバー。 銃撃戦と博打が冴える傑作です。 ニトロプラス好きにとても歓迎されそうな世界ですね。 「死んだほうがいい」 少女娼婦のルーン=バロットの呟きから物語ははじまります。 なぜ、私なの? ―賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎のなかに消えた。 瀕死の彼女を救ったのは、 委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。 高度な電子干渉能力を得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追うが、 その眼前に敵方の担当官ボイルドが立ち塞がる。 それは、かつてウフコックを濫用し、殺戮のかぎりを尽くした男だった… 弾丸のごとき激情が炸裂するシリーズ全3巻発動。 ――付随条項が特にないな。 賭博師シェルに主人公バロットが謀殺されかけ、 間一髪、事件屋のウフコックとドクターに救出されます。 ウフコックは金色のネズミで、変幻自在の万能兵器。 ドクターは、まあ、よくある気さくなサポート役(こっちは人間) 事件屋のふたりはシェルの犯罪を暴き糾し有用性のアピール、 電子干渉能力を得てなんとか蘇生したバロットは (ありていにいえば)自分探しのため事件解決へ戦いを決意します。 とまあ、導入部はこんな感じ。なぞってるだけだね! 満身創痍でがんばるバロットたんもいいんだけど、 ネズミのウフコックが最高にいい味出してます。 しぶくまじめでクールな性格なんですが、 バロットにしっぽをつかまれて持ち上げられると 本気で怒っていじける辺り、かなりの萌えキャラです(w さて、後半は敵方の事件屋・シェルの犯罪を掩蔽する目的で バロットを狙うボイルドとの戦闘開始です。 シェルのボディーガードにしてウフコックの元相棒。 その前に5人の刺客(畜産業者)が現れるわけですが、こいつらがエグい。 それぞれ人体パーツのフェティシズムにあふれているのですが、 身体中、眼球だらけだったり乳房だらけだったり、 ボスにいたっては女性器を移殖してるからもはやギャグ。 だからといって別にカント主義ってわけじゃないんですけどね! (はい、ごめんなさい。でもこの手の言葉遊びが多いのですよ、この小説) バロットにとって初めての戦闘、はたして勝利を手にすることができるのか!? 緊急事態において科学技術の使用が許可されるスクランブル‐09。 人工皮膚をまとって再生したバロットにとって、 ボイルドが放った5人の襲撃者も敵ではなかった。 ウフコックが変身した銃を手に、 驚異的な空間認識力と正確無比な射撃で相手を仕留めていくバロット。 その表情には、強大な力への陶酔があった。 やがて濫用されたウフコックが彼女の手から乖離した刹那、 ボイルドの圧倒的な銃撃が眼前に迫る―緊迫の第2巻。 5人の襲撃者も敵ではなかった――っていっちゃったよ! まあ、3冊あっていきなり負けるわけないわな。 勝敗に焦点はないのでぜんぜん問題ないです、あれば伏せますし。 このバトルは燃えですよ。流血する銃がよすぎ。 その後、イルカに癒されつつ、この物語の佳境、カジノへとおもむきます。 なんでいきなりカジノ?って思われるでしょうが(※)、 かなりのウエイトをしめてるから仕方ない。 事件の大きな手がかりになる100万ドルチップの入手を名目に、 この2巻目の後半から3巻目の前半まで、ずっとギャンブルしてますので。 ポーカー、ルーレット、そしてブラックジャック。 冗長というなかれ、これはもう目を通して作者の魂を斟酌してやってください。 あとがきいわく、避けようがなかったのですから。 (※このフリじゃイルカだっていきなりだよなあ…でも直さない) 科学技術発祥の地“楽園”を訪れたバロットが知ったのは、 シェルの犯罪を裏付ける記憶データが、 カジノに保管された4つの100万ドルチップ内に存在するという事実だった。 チップを合法的に入手すべくポーカー、ルーレットを制してゆくバロット。 ウフコック奪還を渇望するボイルドという虚無が迫るなか、 最後の勝負ブラックジャックに臨んだ彼女は、 ついに最強のディーラーと対峙する― 喪失と安息、そして超克の完結篇。 避けようがなかったんよね、チップに埋め込むのが(違) カジノでの名勝負はへたに口をはさめませんね。 "うぶかた とう"って読むんですよ、この作家名。 と、無関係なこといって体良く逃げる。 氏がこのシーンを書き上げ「SFが書けた」と 実感したってのは大変 興味深いです。 そのあとはいよいよボイルドとの最終決戦、クライマックスなんですが、 力尽きてます、作者が(^^; うん、できは無難ですしうまく仕上がっているのでしょうが、 これまでほどインパクトはないかなあと。 足を吹っ飛ばされても歩いてくる、なんてのはすばらしかったですけどね。 あとこの作品、続編出るみたいです。アニメ化もするらしいです。 (今現在、05/08/18) 続編はありですよ、使い捨てじゃもったいないキャラが多いですからね。 説明不足な部分もありますし。 どちらも機会があれば見てみたいものです(正直、なさそうだけどw) さてさて、3冊(約2000円)というだけあって取っ付きにくいでしょうが 賞受賞したりアマゾンなど見る限り大好評なので、 好みのジャンルならビンゴこそすれバストすることはまずないでしょう。 ハードでなきゃ受け付けないならサレンダーしたほうがいいかもしれませんが。 本を手にするのも一種の賭け事ですものね、ベットは依託します。
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