アガサ・クリスティー (Agatha Christie)

1890-1976
イギリス・デヴォン州トーキー生まれ。
中産階級の家庭に育つが、のちに一家の経済状況は悪化してしまい、
やがてお金のかからない読書に熱中するようになる。
特にコナン・ドイルのホームズ譚を読んでミステリに夢中になる。
1914年に24歳でイギリス航空隊のアーチボルド・クリスティーと結婚し、
1920年には長篇『スタイルズ荘の怪事件』で作家デビュー。
1926年には謎の失踪を遂げる。様々な臆測が飛び交うが、10日後に発見された。
1928年にアーチボルドと離婚し、
1930年に考古学者のマックス・マローワンに出会い、
嵐のようなロマンスののち結婚した。
1976年に亡くなるまで、長篇、短篇、戯曲など、その作品群は100以上にのぼる。
現在も全世界の読者に愛読されており、
その功績をたたえて大英帝国勲章が授与されている。
恒久にミステリーの女王。
たしかギネスで「史上最高のベストセラー作家」と認定されるほど。

早川書房クリスティーOHP、全作品リストあり。
この全100巻の叢書はすごいですねー、クイーンでもやってくれよぅ。

超参考
    The Mysterious Affair at Styles
1920スタイルズの怪事件★★★★
第一次大戦の戦火で故国ベルギーを追われた名探偵ポワロは、 スタイルズ荘に身を落ちつけることになった。 ところがそこの女主人が急死し、 毒殺の容疑がその夫に向けられるという怪事件がもちあがる。 独創的なトリックで捜査陣に挑戦する真犯人。 世界の推理小説界にエルキュール・ポワロを登場させた、 女王クリスティの記念すべき処女作。 エルキュール・ポアロシリーズ第1作。 療養休暇中のヘイスティングズは旧友ジョンと偶然、出会い、 エセックスに佇む田舎屋敷スタイルズ荘に招待された。 おだやかながらも家族たちにくすぶる緊張感の欠片。 そしてジョンの義母で屋敷の女主人エミリが毒殺される事件が発生。 数々の証拠は彼女の最愛の夫アルフレッドを指しており、 容疑はあまりに濃厚だった……。 エミリの手助けにより、戦火が広がる祖国から難民として逃れたポワロは ヘイスティングズと再開を果たし、 エミリへの恩を返すため、事件の解明を誓った。 女王のデビュー作。 これだけで必読に値しますね。 とりたてて特徴はありませんが、フーダニットとして秀でています。 世帯の愛憎から生まれるミスディレクションはさすがで、 どいつもこいつもあやしくて読みごたえあります。 右に出る者がいないストーリーテラーの天分はもう発揮されていますね。
    The Murder of Roger Ackroyd
1926アクロイド殺し★★★★★

村の名士アクロイド氏が短刀で刺殺されるという事件がもちあがった。 そのまえにさる婦人が睡眠薬を飲みすぎて死んでいる。 シェパード医師はこうした状況を正確な手記にまとめ、 犯人は誰か、という謎を解決しようとする。 六十余編のクリスティ女史の作品の中でも、 代表作としてとりあげられる名作中の名作。 独創的なトリックは古今随一。 エルキュール・ポアロシリーズ第3作。 のどかな村でひとりの未亡人が不可解な自殺を遂げ、 続けて名士アクロイドが殺害されるという事件が発生。 事件直後に姿をくらませた放蕩者の義子に疑いがかかるが……。 引退しカボチャ作りに村に越してきたポアロの裁断は? 永遠の問題作。 私は9割がたネタバレ食らってたんで ピンポイントで看破しましたけどね! ……自慢にもならなきゃ嬉しくもない(;_;) これはオリエントにもいえるんだけど、 不思議なほど自然に気づいたらネタがバラされているんですよねぇ。 それだけ広く知られている魅力的な作品なのでしょう。
    Murder on the Orient Express
1934オリエント急行の殺人★★★★★

厳寒の季節に似合わず国際列車オリエント急行は 世界各国からの乗客でいつになく混んでいた。 一癖も二癖もある乗客たちが作る異様な雰囲気のなか、 雪で立往生した車内で、老富豪が何者かに刺殺された。 名探偵ポアロが腰を上げたが、乗客のすべてには堅牢なアリバイがあった… 大胆なトリックに注目の著者の代表作。 エルキュール・ポアロシリーズ第8作。 大雪で停車したオリエント急行列車内で、 全身に12箇所もの刺し傷を受けた死体が発見された。 世界各国の乗客たちと共に乗りこんでいたポアロは どこか挑戦的なこの事件の捜査を開始するが―― これもネタバレの危険性が非常に高い作品ですよねー。 どこで仕入れちゃうんだろ、いやだなぁ。 12の意味や事件の締めくくりなんかはさすが。 1932年3月1日に発生した"リンドバーグ事件"が下敷きにあるそうな。
    The ABC Murders
1935ABC殺人事件★★★★
ポワロのもとに奇妙な犯人から、殺人を予告する挑戦状がとどいた。 果然、この手紙を裏がきするかのように、 アッシャー夫人(A)がアンドーヴァー(A)で殺害された。 つづいてベティー・バーナード(B)がベクスヒル(B)で……。 死体のそばにはABC鉄道案内がいつもおいてある。 Cは、Dはだれか? ポワロの心理捜査が始まる! エルキュール・ポアロシリーズ第11作。 被害者のイニシャルがABC……の順に続く連続殺人。 力技ではありますが、着想に感服です。 ポアロとへイスティングスのやりとりもいいね。 のちにリスペクトされまくる傑作です。
    Cards on the Table
1936ひらいたトランプ★★★☆☆

名探偵ポアロは、夜ごとゲームに興じ 悪い噂の絶えぬシャイタナ氏のパーティによばれた。 が、ポアロを含め八人の客が二部屋に分れてブリッジに熱中している間に、 客間でシャイタナ氏が刺殺された。 しかも、客たちは殺人の前科をもつ者ばかり…… ブリッジの点数表を通してポアロが真相を読む。 エルキュール・ポアロシリーズ第13作。 異質の名士シャイタナ氏にパーティにさそわれたポアロ。 彼は"生きた犯罪コレクション"を披露するという。 それは殺人を犯しながらも露顕せずに生活している完全犯罪者らしい。 そんなゲストが集い、コントラクト・ブリッジに興じている最中、 シャイタナ氏が刺殺される事件が発生。 容疑者は4人。 大胆にも部屋の片隅にいたシャイタナ氏をダミーの間に襲ったのだ。 物的証拠が皆無に等しいこの事件を ポアロはブリッジの点数表を通して犯罪心理――真相を暴く! カードゲームから犯罪心理を読みとるというのは (ヴァンスの前例があるとはいえ)たのしい試みですね。 容疑者の4人に殺人の前科の疑いがあり、 過去の事件の調査もキーポイントになる構成が力強い。
    Death on the Nile
1937ナイルに死す★★★★
美貌の資産家リネットと夫サイモンのハネムーンは ナイル河をさかのぼる豪華客船の船上で暗転した。 轟く一発の銃声。 サイモンのかつての婚約者が銃を片手に二人をつけていたのだ。 嫉妬に狂っての凶行か? ……だが事件は意外な展開を見せる。 船に乗り合わせたポアロが暴き出す意外な真相とは? エルキュール・ポアロシリーズ第15作。 若く怜悧な財産家のリネットは 女友達ジャクリーヌの許婚である素寒貧のサイモンと結婚。 新婚旅行にエジプトのナイル河での船旅に向かうが、 そこには嫉妬と怒りに駆られたジャクリーヌが居合わせた。 執拗にふたりを追いまわす彼女のことを危惧する 休暇旅行中で同乗しているポアロ。 ついに船内に銃声がひびき、リネットが殺害されてしまう。 ジャクリーヌをはじめ、どこかあやしい乗客たちを相手に ポアロがくだした裁断は? これぞ本格王道ミステリ、ながら、 個人的には恋愛小説だと思うの、終わってみれば。 それぞれの模様、ありかたが、そのまま事件全体を彩っているのね。 エジプトが舞台だからもっと怪奇系かと思いこんでたよ。 なお、まえがきでいってるほどは旅情はあじわえない(w
    Hercule Poirot’s Christmas
1938ポアロのクリスマス★★★★
聖夜に惨劇が! 一族が再会した富豪の屋敷で、偏屈な老当主リーの死体が発見される。 部屋のドアは中から施錠され、 窓も閉じているのに、犯人はどうやって侵入したのか? 休暇返上で捜査にあたるポアロは 被害者の性格に事件の鍵が隠されていると考えるが…… クリスマス的趣向に満ちた注目作。 エルキュール・ポアロシリーズ第17作。 大富豪で偏屈な老暴君シメオン・リーが クリスマスパーティを開くため一族を招集した。 久闊を叙する一族にただよう不穏な空気。 はたして惨劇はクリスマスイヴに起きた。 夕食後、みながそれぞれにくつろいでいると 階上のシメオンの部屋から家具がひっくり返るような騒音がとどろき、 すさまじい絶叫が屋敷をつんざいた。 あわてて駆けつける一族だが、彼の部屋のドアには鍵がかかっており、 ようやく破壊して部屋になだれこむと、そこは血の海で、 咽喉をかっきられた老人の死体が倒れていた……。 地元の警察部長を訪問していたポアロは 事件の一報を耳にし、捜査協力をすることに。 いやいや、殺人を強調する献辞や内容から、 てっきりあの老獪老猾なじいさんが 一族に不和の爆弾を落とすために自殺したのかと思ったのに、 まんまとしてやられたな!嬉々! あの絶叫のトリックに使われた道具にはぽかんとしたけど(^^; 向こうでは認知度高いのかな。 ただ、クリスマス的趣向に満ちた、 ってほどではないと感じるんだけども、さほど。
    Ten Little Niggers (And Then There Were None)
1939そして誰もいなくなった★★★★★

さまざまな職業、年齢、経歴の10人が U・N・オーエンと名乗る富豪からインディアン島に招待された。 しかし、肝心の招待主は姿を見せず、客たちが立派な食卓についたとき、 どこからともなく客たちの過去の犯罪を告発してゆく声が響いてきた。 そして童謡のとおりに、一人また一人と…ミステリの女王の最高傑作。 紹介不要のザ・ミステリ。 万が一、読んでないならすみやかに手にしましょう。 絶海の孤島へなぞの富豪オーエンに招待された10人の客たち。 ところがオーエンはすがたを現さず、 テープレコーダーで招待客たちの法では裁けない罪状を告発した。 そして童謡になぞられ発生する連続殺人。 探偵も犯人も不在の事件の真相とは?
    Sad Cypress
1940杉の柩★★★☆☆

婚約中のロディーとエリノアの前に現われた薔薇のごときメアリイ。 ロディーが彼女に心変わりし、婚約は解消された。 エリノアの心に激しい憎悪が湧き上がり、 彼女の作った食事でメアリイが死んだ。 犯人は私ではない! エリノアは否定するが…… 嫉妬に揺れる女心を、ポアロの調査が解き明かす。 エルキュール・ポアロシリーズ第18作。 エリノアの婚約者ロディーは、 病床に臥す富豪の叔母ローラの邸宅で出会ったメアリイに一目ぼれしてしまう。 その後、叔母が急逝し、エリノアも合意のもと、婚約は解消された。 しかしエリノアの思慕は消えることなく、メアリイへの憎悪もつのるばかり。 そんなある日、叔母の邸宅を整理している途中、 エリノアが用意した昼食でメアリイが毒死してしまう。 多くの事実がエリノアに不利であり、殺人容疑で裁判へ。 彼女の無実を信ずる青年医師がポアロの出馬を要請する。 なんというか、あとだしの重要な事実が多すぎる(^^; ポアロじゃなくても警察が本気なら解決できそうでね。 読者的にはメアリイへの遺言書の薦めが強引すぎて真犯人が"予想"できるし。 ただそれぞれの嫉妬に揺れる面妖な女心はおもしろい。 作者もこの辺を描きたかったのでしょうし、巧緻で巧妙です。
    Five Little Pigs
1942五匹の子豚★★★★
母は無実だったのです――娘の頼みにポアロの心は動いた。 事件が起きたのは十六年前。 若い恋人にはしった高名な画家を妻が毒殺、 裁判の末に獄中死したのだ。 殺人犯を母にもった娘の依頼で再調査を開始したポアロは、 当時の状況を再現してゆく。 関係者の錯綜した証言から紡ぎ出された真相とは? エルキュール・ポアロシリーズ第21作。 ポアロのもとに訪れた若く美しいカーラはある依頼をした。 16年前、彼女の母カロリンは異才の画家である夫アミアスを 毒殺したとして有罪判決を受け、獄中死したという。 夫の不貞から離婚になりかけていたというのが殺害動機。 しかしカロリンは娘に宛てた遺書に 自分は無実だったと書きのこしていたのだ。 こうしてポアロは16年前の事件の再調査に乗りだした。 5人の事件関係者の、それぞれの目線からの証言を集め、 ついに到達した事件の真相は? 裁判中の態度からだれかをかばってる→該当するのは妹ってのは なんとなく読めるも、もうひとひねり加えてあるのがさすが。 "名犯人"ってのもうなずけます。 主観のもろさや愛情のつよさも深厚。
    Towards Zero
1944ゼロ時間へ★★★☆☆

残忍な殺人は平穏な海辺の館で起こった。 殺されたのは金持ちの老婦人。 金目的の犯行かと思われたが、 それは恐るべき殺人計画の序章にすぎなかった― 人の命を奪う魔の瞬間“ゼロ時間”に向けて、 着々と進められてゆく綿密で用意周到な計画とは? ミステリの常識を覆したと評価の高い画期的な野心作。 バトル警視シリーズ(?)第5作。 ドロドロの愛憎劇(w; 「わたしはよくできた推理小説がを読むのが好きでね」 「ただ、どれもこれも出発点がまちがっている!  必ず殺人が起きたところから始まる。しかし、殺人は結果なのだ。  物語はそのはるか以前から始まっている――ときには何年も前から――  数多くの要因とできごとがあって、その結果として  ある人物がある日ある時刻にある場所におもむくことになる」 「すべてがある点に向かって集約していく……  そして、その時にいたる――クライマックスに!  ゼロ時間だ。  そう、すべてがゼロ時間に集約されるのだ」 プロローグの某人物のセリフの要約にして本書のテーマ。 倒叙でいてフーダニットというすばらしい作品です。 こんなのヘタすりゃ瓦解しますよ、掟破りですよ。 唐突に語られる無関係な人物のエピソードなども きっちり伏線になっていて、女王の片鱗を見た。 もうね、手のひらの上でうろちょろしてるだけでしたよ。 犯人の背景も素直に感心。なかなかに最低でいい犯人です。 "こいつは一本参った"(w
    A Murder Is Announced
1950予告殺人★★★☆☆

その朝、新聞の広告欄を目にした町の人々は驚きの声を上げた。 「殺人お知らせ申しあげます。12月29日金曜日、午後6時30分より…」 いたずらか?悪ふざけか?しかしそれは正真正銘の殺人予告だった。 時計の針が予告の午後6時30分を指したとき、銃声が響きわたる! 大胆不敵な殺人事件にミス・マープルが挑む。 ミス・マープルシリーズ第4作。 新聞の広告に予告殺人が掲載されて、その通りの事件勃発。 地味ですが結構いいです、強引な印象もあるけど。 プロットの奇抜さがすごすぎるね、この人。
    After the Funeral
1953葬儀を終えて★★★★
リチャードは殺されたんじゃなかったの―― アバネシー家の当主リチャードの葬儀が終わり、 その遺言公開の席上、末の妹のコーラが口にした言葉。 すべてはその一言がきっかけだった。 翌日、コーラが惨殺死体で発見される。 要請を受けて調査に乗り出したポアロが 一族の葛藤の中に見たものとは? エルキュール・ポアロシリーズ第25作。 富豪のアバネシー家当主リチャードが自宅にて急逝した。 疎闊だった一族は再会し、葬儀を終えて、 遺言執行人から遺産配分の説明を受けていた席上。 リチャードの末の妹のコーラが無邪気にいった。 「彼は殺されたんでしょう?」 あ然とする一族だが、動揺はすぐに収まり、それぞれは帰路に着いた。 しかし、翌日、薪割りでめった打ちにされたコーラの死体が発見された。 リチャードの死によからぬ秘密があるのか? 遺言執行人に調査を頼まれたポアロの探偵がはじまる。 んー、とくにいうことないのよね。 不満もなければ、ずば抜けた点もないというか。 完成度の高い本格ものですが、途中だれるというか。 自称病人の人間がふたり登場するんだけど、 肉体と精神の、あいつらは好きだなぁ(w 犯人のキャラもけっこうおもしろかったぜ。
    Hallowe’en Party
1969ハロウィーン・パーティ★★☆☆☆

推理作家のオリヴァ夫人を迎えたハロウィーン・パーティで、 少女が殺人の現場を目撃したことがあると言いだした。 パーティの後、その少女はリンゴ食い競争用のバケツに 首を突っこんで死んでいるのが発見された。 童話的な世界で起こったおぞましい殺人の謎を追い、ポアロは推理を展開する。 エルキュール・ポアロシリーズ第31作。 ハロウィーン・パーティの最中、 少女ジョイスが「人殺しを見たことがある」と発言。 だれも真に受けなかったが、パーティ終了後、 水の入ったバケツに頭を押しつけられ溺死したジョイスのすがたが。 殺人の目撃が事実で口封じの犯行だったのか? これといって特色がない(^^; ハロウィーンの催しの記述がたのしかったくらい。 大人も子供もちょっと飛びすぎ。 ただ解決時の伏線回収の手際の良さはさすがです。 あの水に濡れた犯人の工作なんか大胆なのに気づかなかった><
    Elephants Can Remember
1972象は忘れない★★☆☆☆

推理作家ミセス・オリヴァが押しつけられた奇妙な謎。 それは十数年前に起きた心中事件は、男が先に女を撃ったのか、 あるいは女が男を先に撃ったのか、というものだった。 困り果てたオリヴァから相談を受けたポアロは 「象のように」記憶力のよい人々を訪れ、 過去の真相を探る。著者晩年の傑作。 エルキュール・ポアロシリーズ第32作。 仲睦まじい夫妻が拳銃で心中するという事件が発生。 しかしその動機はまったく浮かびあがらなかった。 それから10数年。 あるきっかけから推理作家ミセス・オリヴァーと その友人のポアロはこの事件の再調査をすることに。 当時の悲劇は起こったいきさつとは? ホワイダニット。 過去の事件を探るのは「五匹の子豚」でもありましたが、 (じっさい、作中で何度か触れられている) こちらのほうは精彩を欠いちゃいますね。 素材が双生児と狂気では眉もあがる(^^; 関係者のあいまいな記憶を取捨選択して真相をつむぎだす ポアロのすごさがあまり伝わってこないのも残念。
    Curtain : Poirot's Last Case
1975カーテン★★★★
病床のポアロに会うべく懐しのスタイルズ荘を訪れたヘイスティングズ。 が、そこには殺人事件の悪夢が待っていた。 過去五件の殺人事件を背後で操る真犯人Xが、 体の自由がきかないポアロに挑戦するかのように次なる計画を練っていた…… 奇怪な殺人事件と名探偵ポアロの最期を描き出す衝撃作。 エルキュール・ポアロシリーズ第33作。 約20年ぶりにスタイルズ荘を訪問したヘイスティングズ。 彼を招待したのは老衰し歩くこともままならないポアロだった。 そして彼は、過去に発生したいくつもの殺人事件の影で いつも糸を引いていた人物がいたと語った。 さらにその人物が、現在、このスタイルズ荘に逗留しており、 あらたな殺人の計画をもくろんでいるというのだ。 そこでヘイスティングズに情報の収集を任せるが、 今度の相手はあまりにも強敵だった―― ポアロ最後の事件。 デビュー作「スタイルズの怪事件」とおなじ舞台。 なつかしの人物名も出てくるので、未読なら避けましょう。 というか、ポアロものを最低でも10冊くらい読んでないなら、 本書は読むべきじゃないですね、もったいないもの。 元気に活躍するポアロを知っていればいるほど 全体に哀愁を帯びている本書が、より魅力的、感傷的になるはず。 おああ、切ないわぁ(;´Д`) もう少しヘイスティングズに活躍させてほしかったけど。 てっきり遺志をついで事件を解決する燃え展開だと思い、期待してたのに。 結局、ポアロの手記におんぶにだっこだものな。 まあ、このコンビはこれでいいんでしょうかね。
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