カトリーヌ・アルレー (Catherine Arley)

1935〜
プロフィールの詳細は不明。
1953年「死の匂い」を発表して作家デビュー。
1959年に発表した第2作「わらの女」によって
一躍、国際的な女流サスペンス作家としての地位を確立。
作風はサディスティックな悪女ものを本領とし、
完全犯罪をテーマにしているフラミス界の女王。
(女流は成功するといつでも女王だね┐(´ー`)┌)
"悪女書き"のアルレーの異名あり。
    Tu vas mourir!
1953「死の匂い」

大富豪の一人娘ステラは父の難病を治療した 青年医師にひかれ、結婚することになった。 しかし、まじめな医学者と虚飾に満ちたステラとの夫婦生活には、 はじめから無気味な死の匂いがただよっていた……! 名作『わらの女』の作者が、戦慄すべき境遇におちいった悪女を、 得意のサディスティックな筆致で描くサスペンス! デビュー作。
    La Femme de paille
1956「わらの女」★★★★
千万長者の求妻広告に応じたヒルデガルデはカンヌへ招待された。 いまや黄金と幸福な妻の座は目前にある。 だが打算と虚栄に満ちた中年インテリ女性を待ち受けていたものは 女の虚栄心を見事に逆用した時計のように正確巧緻な完全犯罪計画であった。 映画化され、女の虚栄の醜さを完膚なきまでに描いて、 新しい古典となった名作。 サスペンス。 勧善懲悪の掟を破った問題作。 「起承転」の「転」で「結」な感じ。 この作品は語ることがないね。 語ろうと思えば2行で済むくらい簡単なんですけど、 いちおう、ネタバレになっちゃいそうですので。 ただ、ミステリには名探偵と名犯人が付き物ですが、 本作では前者が欠如しています。 これが最悪の味わいを生み出すわけですよ。 さて、悪女に定評があるらしいアルレーですが、 本書の主人公・ヒルデガルデはそれほど性悪じゃありません。 そりゃあ玉の輿を狙っちゃいますが、境遇も境遇ですし。 気の毒で気の毒で(;´Д`)
    amours, Delits et morgue & Le parti le plus honorable
1985「21のアルレー」★★★☆☆

太りに太った妻に愛想をつかした夫は、 ふと小耳にはさんだ砂風呂療法の話を利用して妻を片づけようと…… 哀れで滑稽な「阿呆は誰だ?」をはじめ、 貨物船に密航した男が味わう飢えと渇きの恐怖を描く「慈悲の鐘の音」や、 おなじみ悪女もの、SF、ホラー、実話、ショート・ショートなど、 才知あふれるアルレーはじめての万華鏡のような傑作短編集。 21話収録の短編集。 原題を直訳すると「愛と犯罪と死体公示所」 「※」付きは実話が原形です。 多少は脚色されていると思いますが―― 慈悲の鐘の音 En un vieux coup de misericorde 船倉に閉じこめられた密航者の物語。 食料確保のため、荷箱を開くと、そこにはボア(大蛇)が… 神経症の患者たち Les petits mentaux 悪女もの。ジョギングで夫殺害を目論む妻の話。複数形(w; 見知らぬひとの子を宿して A naitre de pere inconnu SF。見知らぬ"ひと"の子を宿した女性のお話。 雌鶏と死 La poule et la mort ※ 夕食にボイルドされる雌鶏と少年の話。ラストの1行がナイス(w 家 La maison 家そのものを愛した夫婦の顛末。 「クリスマス、おめでとう!」 "Joyeux Noel!" ※ 単純なミステリ。ベタすぎるかな…でも実話なんだよね。 信じ難い物語 Une incroyable histoire ※ クジラに呑まれ生還した漁夫の話。 現代のヨナことジェームズ・バートレー。 片腕の男 Le Manchot ※ ヒッチハイクで乗せた片腕の男のエピソード。 オチが洒落てるけど、あれも実話の範疇なのかな… テスト Le test 心理テストを受ける粗暴な男。テストの目的とは? ありふれた事件 Fait divers よくある齟齬が生むありふれた殺人事件。 地獄へのツアー Calvaire a forfait ※ 砂漠で遭難する男女4人の物語。 これはなかなかショッキングでした(;´Д`) これが実話だとよく判明したよなあ… 赤い電話 Le telephone rouge 大統領の前にある赤い電話。受話器を取り上げたら 大戦の幕開けで人類滅亡必至。オチのギャップが(^^; 大典礼の働き蜂たち Les Abeilles du grand rituel SF。上の続編?(w 巨大なカニって不気味すぎ('A`) わが友フランク Mon ami Frank 叙述者とフランクの友情物語。不自然さが最後で解消。 樅の木 エドガー・ポオに捧ぐ Le Bois de sapin:En hommage a Edgar Poe 意識がありながら埋葬された女の子。ポオに捧ぐんだ(w 人情の問題 Simple question d'humanite 突如、侵入してきた犯罪者らしい男に襲われ、 はずみで殺してしまい、死体処理をする女性の話。 「主の御心ははかり難し」 "Les voies du seigneur sont impenetrables" 猫に生まれ変わった視点で進行。どうかフィクションたれ(^^; 阿呆は誰だ? Kikekon 太りに太った妻の殺害を計画する夫。 老夫婦の話なんですが、とても切ない(´・ω・`) 非常に特殊な被告 Un Accuse tres special 弁護士の最終陳述のみの構成。被告と背景が深い。 むさぼるばかりの情熱 Une passion devorante 浮気性の夫を持つ妻の話。――こわかった。 理想の相手 Le parti le plus honorable 中年女性が理想の相手を語るだけ。なにこれ(w と、21話もあるのでかさばるなあ。 じっさいはショート・ショートがメインで、 文庫で300ページ程度なので一瞬で読破です。 統一性がないはずながらもアルレーの魅力は 発揮されていると思うので入門にもよさげでした。 巻末に「文庫データ・ボックス」なるコーナーがあって驚く。 仲睦まじいアルレー夫妻来日のエピソードなどが掲載。 創元文庫ってばこういうのもっとやりんさいよ。
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