著作リスト
ダニエル・キイス (Daniel Keyes)
1927〜
ニューヨーク生まれ。
ブルックリン・カレッジで心理学を学んだ後、
雑誌編集などの仕事を経てハイスクールの英語教師となる。
このころから小説を書きはじめ、
1959年に発表した中篇「アルジャーノンに花束を」でヒューゴー賞を受賞。
これを長篇化した作品がネビュラ賞を受賞し、世界的ベストセラーとなった。
その後、オハイオ大学で英語学と創作を教えるかたわら執筆活動を続け、
多重人格がテーマの「五番目のサリー」、
「24人のビリー・ミリガン」など話題作を次々と発表した。
No. 年度 原題/邦題 備考 1 1966 Flowers for Algernon
アルジャーノンに花束を2 1968 The Touch
タッチ3 1980 The Fifth Sally
五番目のサリー4 1981 The Minds of Billy Milligan
24人のビリー・ミリガンノンフィクション 5 1986 Unveiling Claudia
クローディアの告白ノンフィクション 6 1993 心の鏡 日本オリジナル短編集 7 1994 The Milligan Wars
ビリー・ミリガンと23の棺ノンフィクション 8 1998 Until Death Do us Part
眠り姫9 1999 Algernon, Charlie and I
アルジャーノン、チャーリイ、そして私ノンフィクション,自伝
Flowers for Algernon 1966「アルジャーノンに花束を」★★★★★
32歳になっても幼児の知能しかないパン屋の店員チャーリイ・ゴードン。 そんな彼に、夢のような話が舞いこんだ。 大学の偉い先生が頭をよくしてくれるというのだ。 この申し出にとびついた彼は、 白ネズミのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受けることに。 やがて手術により、チャーリイは天才に変貌したが… 超知能を手に入れた青年の愛と憎しみ、 喜びと孤独を通して人間の心の真実に迫り、 全世界が涙した現代の聖書。 いちおうSF。 知的障害者のチャーリィが「頭の良くなる」手術を受けて天才になるお話。 急激な覚醒に付いてこれない精神・人格が感慨深いです。 文句なしの感動の名作です。
The Touch 1968「タッチ」
結婚4年目の若い夫婦バーニーとカレンは不妊に悩んでいた。 カウンセリングを受けるが成果はなく、 二人の仲はぎくしゃくしたものになっていく。 そんな時、バーニーの勤務先で放射能事故が発生する。 会社の発表によれば、汚染は最小限にとどまり 大惨事は防がれたというが、事故から数週間後、 バーニーとカレンの体には吐き気やめまいなどの奇妙な異変が…。 しかもこの最悪の時期に、カレンの妊娠が判明する。 はたして、胎児に放射能の影響はあるのか?夫 婦はこの子に生を与えるべきか? ―突然の災厄に翻弄される夫婦が経験する、 愛の崩壊と再生の軌跡を描きあげた衝撃作。
The Fifth Sally 1980「五番目のサリー」
茶色の目と髪、いつも地味な服を着ているサリー・ポーターは、 ニューヨークで働くごく平凡なウエイトレス。 だが、彼女には人に言えない悩みがあった。 子供のときから、ときどき記憶喪失におちいるのだ。 それが原因で仕事も長続きしないし、結婚も破局をむかえてしまった。 いまでは、愛する子供たちとも別れて暮らさざるをえない。 サリーには知るよしもなかったが、 彼女の心のなかにはあと四つの人格がすんでいたのだ…。
Collected Stories 1993「心の鏡」★★★★☆
言葉を使わずに心と心で会話ができるテレパスの少女、 心で物体を自由に操るテレキネシス能力をもつ少年―。 弁護士デニスは、そうした並はずれた能力をもつ子供たちを 探しだし未来に送りだしていた。 恐るべき能力をひめた少年マロと 弁護士の運命的な出会いを描く表題作「心の鏡」、 傑作長篇『アルジャーノンに花束を』の原型でヒューゴー賞を受賞した 中篇版「アルジャーノンに花束を」、 人類のために難問を解決するべく作られた万能コンピュータ、 エルモの引き起こす大騒動をユーモラスに描く 初期の短篇「エルモにおまかせ」、 不幸な境遇に育った少女ヴィーナと母ローダとの関係を描く 「ママ人形」など、傑作短篇7篇を収録。 エルモにおまかせ 限りなき慈悲 ロウエル教授の生活と意見 アルジャーノンに花束を 心の鏡 呪縛 ママ人形 いちおうSF。短編集。7話収録。 「アルジャーノンに花束を」の中篇版も収録されてたり。 雰囲気が優しい作家さんですなあ。
Until Death Do us Part 1998「眠り姫」
時と場所を選ばず突如眠りに落ちてしまう睡眠障害、ナルコレプシー。 少女のころからこの奇病に悩んでいた31歳のキャロルは、 ある日発作を起こし、何日も続く昏睡に陥ってしまった。 その間、彼女の娘のエレナが男女達とともに 他殺死体で発見されるという事件が起こった。 キャロルは詳しい事情を知らないはずなのに、 催眠状態に誘導されると、驚くべきことを語りはじめた。 「娘たちを殺したのは夫のロジャーである」と…。
The Minds of Billy Milligan 1981「24人のビリー・ミリガン」★★★★☆
1977年、オハイオ州で連続レイプ犯としてひとりの青年が逮捕された。 彼の名はビリー・ミリガン、22歳。 しかし彼には犯行の記憶がまったくなかったのだ。 じつはそれは、彼のなかに潜む別人格のしわざだった… 一般の人々がいまだ多重人格という障害について知らずにいた1981年、 作家キイスが世に問うて全米を驚倒させ、92年に邦訳されるや、 日本でも空前の“多重人格ブーム”を巻き起こした、 記念碑的ノンフィクション。 3人の女性を強姦し、金銭を強奪したとして逮捕されたビリー・ミリガン。 彼は基本人格以外に23のさまざまな人格を持っていた。 当然、無罪になるための演技、牽強付会にすぎないと糾弾されるが、 権威ある専門家や、検察側の人間も彼を目の当たりにすると そんなうたがいが消えてしまうのだった。 そんな彼の犯罪、裁判、生い立ち、治療を克明に記した著。 ネタバレ、というと変だけど婦女暴行が レズビアンの女性人格によるものっていうのはなんとも。 ごくまれな病例とはいえ人間心理ははかりしれませんね。
Unveiling Claudia 1986「クローディアの告白」
1982年夏、作家ダニエル・キイスのもとに若く美しい女性が訪ねてきた。 4年前に連続殺人事件の容疑者として逮捕され、 後に無実と判明し釈放されたクローディア・ヤスコーだった。 今こそ事件の真相を語るから、 その話と彼女自身のことを本にしてほしいという。 やがてキイスが話を聞くうちに、クローディアは精神分裂病に 長年悩んできたことが明らかになっていく。 ひとりの女性の苦悩から人間心理の複雑さを映し出す問題作。
The Milligan Wars 1994「ビリー・ミリガンと23の棺」
連続レイプ犯として起訴されたビリー・ミリガンは1978年、 精神異常と判定され無罪となった。 しかしその後、彼が送られたオハイオ州立ライマ病院は、 体罰に電気ショック療法を用い、薬物で患者を廃人にする恐るべき場所だった。 外部との手紙のやりとりも禁じられ、 命を脅かされつつビリーはいかに生き延びたか… 『24人のビリー・ミリガン』では書けなかった、 精神病棟内でのビリーの孤独な闘いを明らかにする驚異の続篇。▼BACK▼ ▽TOP▽
Algernon, Charlie and I 1999「アルジャーノン、チャーリイ、そして私」
パン屋の見習い、医学生時代の経験、商船乗組員だった航海の日々、 そしてチャーリイのモデルとなった少年との出会い… 波瀾の半生を経て『アルジャーノンに花束を』を書き始めたとき、 キイスが胸に抱いていた思いとは? そして、この作品が短篇から長篇に磨き上げられていった経緯とは どのようなものだったのか? 独自の文学論や人生観を織り込みながら、 いまや世界中で読まれているベストセラーの誕生秘話を著者自らが語る。