ドナルド・E・ウェストレイク (Donald E. Westlake)

1933〜
NY市ブルックリン区生まれ。
ニューヨーク州立大学中退。
その後、空軍に兵役で入隊し、
スコット・メレディス文芸代理店の閲読係や、
ミステリ・ダイジェスト誌などの編集者をしながら、
1960年、ハードボイルド「やとわれた男」を発表しデビュー。
「ダシール・ハメットの再来」と期待される。
――今考えるとすごいな(w
やはりブラック・コメディの作家でしょう。
なればこそ悪党パーカーシリーズなどのノワールも際立ちます。

リチャード・スターク、タッカー・コウ、
カート・クラーク、J・モーガン・カニンハム、
ティモシー・J・カルヴァー、サミュエル・ホルトなど
多数の名義で幅広いジャンルの作品を発表。
1968年、「我輩はカモである」でMWA賞・最優秀長編賞を受賞。
1993年、MWA賞・巨匠賞を受賞。

OHP
    GOD SAVE THE MARK
1967「我輩はカモである」★★★★
フレッド・フィッチは詐欺師に騙されてばかりいる不運な男。 そんな彼に、顔も知らない叔父の遺産がころがり込んできた。 だが叔父は詐欺の名人で、誰かに殺されたことがわかった。 やがて怪しげな人々が現われ、 彼は命まで狙われるはめに、このとんでもない事態をいったいどうるのか。 アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞した酒落た笑いのミステリ ユーモアミステリ。コン・ゲーム。 主人公フィッチは幼いころからぺてんのカモにされ続けている三十男。 ある日、いつものように友人の詐欺捜査課の刑事に被害を訴えていると 名前すらしらない叔父から多額の遺産が舞い込んできた! ところが、叔父は余命いくばくもないにもかかわらず殺害され、 さらに詐欺の名人だったとしる。 そして、その日を境に、富豪となったフィッチの前に よからぬ連中があらわれはじめ、命まで狙われて……。 ハードボイルドタッチだけど、とにかく笑えます(w テンポもよく、ぐいぐい引っぱってもらえます。 登場人物たちも、だれもが安易に信頼できず、 カモにされまいと自力で事件解決にがんばる主人公にエールです。 グラントやウィルキンズをもう少し積極的にからめて欲しかったかな。
    Dancing Aztecs
1976「踊る黄金像」★★★★★

頼むから話しかけないでくれ。おれ、急いでるんだ。何でかって? 実は、南米某国から盗まれた黄金像の行方を追ってるんだ。 そいつを狙って悪党どもが争奪戦を繰り広げてさ。 しかも、複製品が十五体あって本物がどれだかわからない。 もう大混乱さ─ ま、詳しくは中身を読んでくれ。 ミステリ史に残る大傑作だってことは保証するよ。 じゃあ、おれ、急ぐから ユーモアミステリ。 ハスラーどものコン・ゲーム。 密輸された黄金像を巡って繰り広げられるドタバタ喜劇。 登場人物がやたらと多く(私の知る限り歴代1位w)、 像も15体の偽物も混ざっており混乱に拍車をかけます。 ユーモアは黒いのも多いですが、かなり笑えました^^ 公共の場では注意されたし。 テンポはいいので、まあ、読みやすいです。 ガッタ・ハッスル、急がなくっちゃ。
    The Ax
1997「斧」★★★☆☆

わたしは今、人を殺そうとしている。 再就職のライバルとなる元同業者6人を皆殺しにする。 この苦境を脱する手は他にないのだ― リストラで失職したビジネスマンが打った乾坤一擲の大博打は、 やがて彼の中の"殺人者"を目覚めさせてゆく。 ハイスミスやトンプスンに比肩する戦慄のノワール。 ミステリの名匠の新たなる代表作。 パルプノワール。 主人公バーク・デヴォアは51歳、リストラで失業中。 再就職の狭き門をくぐるため、業界誌に虚偽の広告を載せ、 自分とおなじ専門分野の求職者たちの履歴書を入手する。 (この手口は見事だなぁ) そして、自分が確実に仕事に就くため、 "ライバル"たちの皆殺しを計画する―― まあ、平凡な狂気なんですよね。 仕事のため、家族のため、生活のため。 アメリカ的なシリアルキラーではないです。 トンプスンもベクトルがちがう気が。 随所にちりばめられたユーモアは絶品で、 やはりコメディ路線のほうが合いそう。 題名の「斧」ですが、これを使って殺しまわるわけではなく、 「斧で切る」から転じて、「馘にする」「解雇する」の意味。 ああ、深刻に就職や再就職でお悩みの方は 本書には手を出さないほうがいいですよ、ええ(w 「13歳のハローワーク」でもどうぞ(マテ ※大人気の職業図鑑、だが中途半端との声も多い。  網羅するとなるとあの数倍は必要なので妥当っぽいけど。  終盤がグダグダで、本筋より合間のエッセイが興味深いわなもある。 OHP
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