F・W・クロフツ (Freeman Wills Crofts)

1879〜1957
アイルランド、ダブリン生まれ。
1896年から1929年まで鉄道技師として働く。
1919年に大病を患い、
療養中に執筆した「樽」で1920年に作家デビュー。
技師と文筆の二足のわらじをはく。
黄金時代を代表する作家の一人。
アリバイ崩しや倒叙ものを本格的に開拓した。
    The Cask
1920「樽」★★★☆☆

ロンドンの波止場では汽船ブルフィンチ号の積荷おろしが始まった。 ところが、四個の樽がつり索からはずれて、下に落ちてしまった。 その樽の一つから、金貨と死人の手が現われたのだ! 捜査はドーヴァー海峡をはさんで英仏両国にまたがり、 探偵の精力的な活動が始まる。 緻密冷酷な犯人をたどってアリバイ捜査の醍醐味を描く代表的傑作。 ミステリ。堅い。 ちと読み難い、ちと長い。 どうにも生真面目で、頭より地道に足を使う展開なので、 単細胞の私にはちと退屈。地の利もキツくてね。 リアリズムといえばそれ。 もう1歩スリムならいいんだけどな、タイトルからして無理か(w や、でも、そのうち読み直したくなる作品です。 (っーか、ほとんど記憶に残ってないんだよな^^;) 本書がクロフツのデビュー作で、まずこれをおさえて気に入ったら フレンチ警部ものに遂行するのがベターなのかな。
    The 12:30 from Croydon
1934「クロイドン発12時30分」★★★★
完全犯罪を成功させろ! 工場を経営するチャールズは窮地に陥っていた。 資金繰りが苦しくなり、従業員たちの給料さえ支払えなくなる日も近い。 頼りだったおじのアンドルーにも借金をきっぱりと断わられた。 だが、絶体絶命のチャールズの脳裏にある危険な計画が閃いた。 莫大な遺産を残してくれるはずのおじを 完璧なアリバイとともに毒殺することができないだろうか? 成功すれば、彼が愛するユーナとの結婚も夢ではないのだが……。 ジョージフ・フレンチ警部シリーズ第11弾。 クロイドン発12時30分の航空機内。 娘の交通事故の見舞いにパリへ向かう老人アンドルーが 毒により死亡してしまう。 ……その4週間前、世界大恐慌のまっただなか、 電気モーター会社の経営者チャールズは破産しかけていた。 おじのアンドルーに融資を仰ぐがつっぱねられてしまう。 このままでは従業員を、なにより良家の令嬢の恋人ユーナを 失うことをおそれたチャールズはおじの殺害を決意する。 さっそく綿密な計画を組みたてるが、完全犯罪は成功するのか? 倒叙ミステリです。三大といわれるほどの。 タイトルだけの印象だと、 なんだか時刻表片手の鉄道アリバイものみたいだけど、 ぜんぜんそんなことなく、いたってとっつきやすいです。 といってもまじめなクロフツですから、 描写のこと細かさはあいかわらず(w さりげなくユーモアもちりばめられているのは意外でした。 倒叙は犯人の犯行過程の心理がポイントですが、 やはり読みごたえがあって良質です。 犯人目線の、完ぺきに、水も漏らさぬと思える犯行も 探偵目線では粗が目だちザル同然なのもおもしろい。 悪事千里を走る。悪銭身につかず。 いやはや、犯罪なんてするもんじゃない(w しかし、家政婦ならぬ執事は見ただけで破綻するのはかわいそうだ(^^; 埃まみれの青酸カリの壜はうまいけどね。
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