ギャビン・ライアル (Gavin Lyall)

1932〜2003
イギリス、バーミンガム生まれ。
ケンブリッジ大学ペンブルク・カレッジ卒。
第二次大戦中は51年から2年間、兵役でイギリス空軍のパイロット、
その後、B・B・Cのフィルム・ディレクター、
ロンドン・サンディ・タイムズ紙のの航空担当記者を勤めるなどの経験を活かし、
1961年「ちがった空」でデビュー。
1963年「もっとも危険なゲーム」でCWA賞のシルバー・ダガー賞受賞。
1965年「深夜プラス1」でCWA賞のイギリス作品賞受賞。
生涯で15本の長編を発表。
空の冒険小説の大家。
著作リスト
No. 年度 邦題/原題 備考
1961 ちがった空
The Wrong Side of the Sky
1963 もっとも危険なゲーム
The Most Dangerous Game
1965 深夜プラス1
Midnight Plus One
1966 本番台本
Shooting Script
1969 拳銃を持つヴィーナス
Venus with Pistol
1972 死者を鞭打て
Blame the Dead
1975 裏切りの国
Judas Country
1980 影の護衛
The Secret Servant
マクシム少佐シリーズ
1982 マクシム少佐の指揮
The Conduct of Major Maxim
マクシム少佐シリーズ
10 1985 クロッカスの反乱
The Crocus List
マクシム少佐シリーズ
11 1988 砂漠の標的
Uncle Target
マクシム少佐シリーズ
12 1993 スパイの誇り
Spy's Honour
ランクリン大尉シリーズ
13 1996 誇りへの決別
Flight from Honour
ランクリン大尉シリーズ
14 1997 誇り高き男たち
All Honourable Men
ランクリン大尉シリーズ
15 1999 誇りは永遠に
Honourable Intentions
ランクリン大尉シリーズ
    THE WRONG SIDE OF THE SKY
1961「ちがった空」★★★★
ジャックは見た、ケンの操縦するピアッジオ機が轟音を発し、 片肺飛行のまま沖へ消えて行くのを。 ケンの命取りになったのはナワーブ殿下の秘密を握ったためらしかった。 ナワーブは盗まれた巨額の宝石類を捜していたのだ。 ケンが消えてお抱えパイロットを失ったナワーブは、 今度はジャックに白羽の矢を立ててきた。 そしてケンの行方と巨万の宝を追う立場になったジャック自身の運命は? エーゲ海を舞台に展開する冒険ミステリ。 宝石の争奪をめぐり、ギリシアの島々と北アフリカを 文字通り飛び回る冒険ミステリ。 ちっぽけな夢を追い、空の間違った方の側へ飛行した男たちの物語。 主人公ジャック・クレイがしぶくて、 ジェイムズ・ボンドのように器用でないのも魅力的。 イギリス的シニックな軽口もいいよねぇ。 ハードボイルド風ですかね、文章のタッチが。 なかなか独特のリズムの持ち主です。 (訳者・松谷健二氏の電波でないことを願う^^;) 作者自身が元パイロットのため、 航空に関する描写と記述が最高に繊細でうならせます。 空の専門的要素は目を通していて気持ちいいです。
    The Most Dangerous Game
1963「もっとも危険なゲーム」★★★★★

ケアリは撃たれた脇腹を押さえながら敵の姿を捜した。 ライフルを手にした射撃のプロが闇の中から狙っているのだ。 フィンランドで水陸両用機を駆るパイロット、 ケアリは金のためなら汚れ仕事もいとわない。 ソ連国境近くの立入禁止区域での鉱物資源調査もそのひとつだ。 だが、まさか命を狙われる羽目になろうとは…… 秘密機関員であった彼の過去を誰かが知っている! 空陸に繰り広げられる命がけの冒険を描く巨匠の代表作 冒険ミステリ。 ――脇腹なんて撃たれたっけ?(^^; 臀部じゃあれだからかな、まんざら誤りでもないか。 今度の舞台はロシア国境近辺。 それぞれの思惑と陰謀に巻きこまれ、 もっとも危険なゲームの渦中に投げ込まれる、 一匹狼の雇われパイロットが主人公。 英国の元秘密機関員でいよいよ007じみてきてます。 軽妙で洒脱な文体も磨きがかかってますね。 ただ前作のようなクセの強さはほとんどないです… 訳者も菊池光氏変わっているのでこれが原因かと。 飛行はもちろん、銃撃戦のシーンも燃えて 冒険小説としての完成度はトップクラスです。 ライアルとノアだけはガチ(マ しかし、前作同様、飛行機の亡骸の神秘性がすごいね。 愛がなきゃあれは絶対描けないですよ。
    Midnight Plus One
1965「深夜プラス1」★★★★★

ルイス・ケインの引き受けた仕事は、 マガンハルトという男を車で定刻までに リヒテンシュタインへ送り届けることだった。 だがフランス警察が男を追っており、 さらに彼が生きたまま目的地へ着くのを喜ばない連中もおり、 名うてのガンマンを差し向けてきた! 執拗な攻撃をかいくぐり、ケインの車は闇の中を疾駆する! 熱気をはらんで展開する非情な男の世界を描いて、 英国推理作家協会賞を受賞した冒険アクションの名作。 冒険アクションミステリ。 舞台はフランスのパリ。 主人公カントンは命を狙われているある男を 定刻までにリヒテンシュタインへ護送することに。 名代の殺し屋を相手に、シトロエンは深夜の暗闇を疾走する――! 今回は飛行機なしでもっぱら車。 それとそこにいるような臨場感のある銃撃戦がメイン。 銃器へのこだわりもやばい。 スペシャリストでプロフェッショナルの誇りと哲学をもった 登場人物たちもやばすぎる。 そして、プラス1ですよ、洒落ててかっこよすぎ。 気取ってなく自然体でこれですよ。 哀愁漂い、粗漏なく、渋が抜けてるよなあ。 ああ、こうなりたいもんだ…(無理すぎ)
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