ジェイムズ・P・ホーガン (James Patrick Hogan)

1941.6.27〜
ロンドン生まれ。
王立航空研究所の工業専門学校で電子工学を学んだ後、
設計技術者やコンピュータのセールスマンなどの職を転々とする。
1977年、仕事の傍ら書き上げたハードSF「星を継ぐもの」でデビュー。
1979年から作家専業。
1981年「星を継ぐもの」第12回星雲賞海外長編賞受賞。
1982年「創世紀機械第」13回星雲賞海外長編賞受賞。
1994年「内なる宇宙」第25回星雲賞海外長編賞受賞。
「断絶への航海」「マルチプレックス・マン」プロメテウス賞受賞。

指折りに大好きなオプチミズムの作家さん。
OHP
著作リスト (邦訳)
No. 年度 邦題/原題 備考
1977 星を継ぐもの
Inherit the Stars
ガニメアンシリーズ
1978 創世紀機械
The Genesis Machine
1978 ガニメデの優しい巨人
The Gentle Giants of Ganymede
ガニメアンシリーズ
1979 未来の二つの顔
The Two Faces of Tomorrow
1980 未来からのホットライン
Thrice upon a Time
1981 巨人たちの星
Giants' Star
ガニメアンシリーズ
1982 断絶への航海
Voyage from Yesteryear
1983 造物主の掟
Code of the Lifemaker
ライフメーカー(造物主)シリーズ
1985 プロテウス・オペレ−ション
The Proteus Operation
10 1987 終局のエニグマ
Endgame Enigma
11 1988 ミラー・メイズ
The Mirror Maze
12 1991 内なる宇宙
Entoverse
ガニメアンシリーズ
13 1991 インフィニティ・リミテッド
The Infinity Gambit
14 1992 マルチプレックス・マン
The Multiplex Man
15 1993 時間泥棒
Out of Time
16 1995 造物主の選択
The Immortality Option
ライフメーカー(造物主)シリーズ
17 1995 仮想空間計画
Realtime Interrupt
18 1996 量子宇宙干渉機
Paths to Otherwhere
19 1997 ミクロ・パーク
Bug Park
20 1999 揺籃の星
Cradle of Saturn
    Inherit the Stars
1977「星を継ぐもの」★★★★★

月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。 綿密な調査の結果、 この死体は何と死後5万年を経過していることがわかった。 果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。 やがて木星の衛星ガニメデで 地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。 ハードSFの新星が一世を風靡した出世作。 ガニメアンシリーズ第1弾。ハードSF(以下略) 前半は取っ付きにくく、やや退屈ですが、 後半から惹き込まれ、終盤ではもう土下座ですよ(w 感無量なんて次元じゃない。 ミステリともいえる超大傑作。 なお、このシリーズは絶対に順番に読みましょう☆
    The Gentle Giants of Ganymede
1978「ガニメデの優しい巨人」★★★★★

木星の衛星ガニメデで発見された異星の宇宙船は 2500万年前のものと推定された。 ハント、ダンチェッカーら調査隊の科学者たちは、 初めて見る異星人の進歩した技術の所産に驚きを禁じ得ない。 そのとき、宇宙の一角からガニメデ目指して接近する物体があった。 遥か昔に飛びたったガニメアンの宇宙船が故郷に戻って来たのだ。 ガニメアンシリーズ第2弾。 いいなあ、優しさに溢れてるものね。 殺伐とせず友好的なのでのんびり安心して読めます(^^) ゾラック萌え。
    Giants' Star
1981「巨人たちの星」★★★★★

冥王星の彼方から届く〈巨人たちの星〉のガニメアンからの通信は、 地球人の言葉で、データ伝送コードで送られてきている。 ということは、この地球がどこからか監視されているに違いない…… それも、もうかなり以前から!! 前2作で提示された謎のすべてが見事に解き明かされる。 《巨人たちの星》シリーズ第3部。 ガニメアンシリーズ第3弾(完結、の筈) "再開"のシーンが自分のことのように嬉しくてたまりません(w まったく頽唐しませんねぇ。ホーガンこそ巨人だよ。 完結なのが惜しいったらないね。
    Entoverse
1991『内なる宇宙』インフィニティ

架空戦争に敗れた惑星ジェヴレン。 その全土を管理/運営する超電子頭脳ジェヴェツクスは、 一方で人々を架空世界浸けにし、政治宗教団体の乱立を助長していた。 一指導者による惑星規模の大プロジェクトが密かに進行するなか、 進退谷まった行政側は、ついに地球の旧き友、 ハント博士とダンチェッカー教授に助力を求めるが…。 ガニメアンシリーズ第4弾。外伝的。 ひー、これはもう読んでて楽しすぎました。 こういう宇宙をちょうど想像してたんですよ、 それを具現化してくれるんだもん。 知覚の脆さを露呈した系ね。 んもう大満足♪
    The Genesis Machine
1978「創世記機械」★★★★
若き天才科学者クリフォードは、統一場理論の研究を進めるうち、 宇宙の無限のエネルギーを直接とり出す機械を発明した。 この装置をうまく利用すれば究極兵器がつくれると判断した軍部は、 ともすると反体制的なクリフォードを辞職に追いやる一方、 独自の研究開発を続けたのだが……。ホーガン面目躍如の大作。 統一理論を完成させちゃいます(w 当然、それを利用して究極の兵器にしようとする政府。そんなお話。 にわか物理ファンにはたまりませんよ。 ラストも素敵。かっこいいぞ。
    The Two Faces of Tomorrow
1979「未来の二つの顔」★★★★
人工知能を研究しているダイアー博士は 研究中止命令の内示を受けて愕然とする。 月面の工事現場で、コンピューターが 勝手に下した誤った判断のために、大事故が起きたのだ。 人工知能に仕事を任せる事の是非をめぐって論議がわき起こる。 そのときダイアーが提案した実験とは……。 ハードSFの第一人者ホーガンの待望の巨編! 終始"人工知能"の是非と実験を軸に展開する物語。 それだけをここまで精緻に掘り下げられる作家はホーガンくらいでしょう。 AIの前半のユーモラスな生長描写に萌え、 AIの後半のスリリングな生長描写に燃え。 もう安いロボットなど眼中に入りませんよ。
    Thrice upon a Time
1980「未来からのホットライン」★★★★
アメリカ西海岸で技術コンサルタント事務所を 開いているマードック・ロスは、スコットランドの古城に住む 引退した物理学者の祖父に招かれ、 友人のリーとともにイギリスへ向かった。 祖父が政府の助けもなく、独力でタイム・マシンを完成させたというのだ。 タイム・マシン・テーマにいどんだJ・P・ホーガンのお手並みやいかに。 いよいよホーガンがSFの宝刀「タイムマシン」に挑みます! ワープできるのは情報(メールみたいなもの)だけなんですけどね。 理論の梗概は能動的なラプラスの悪魔って感じでしょうか。 直列や並列宇宙のモデルから、 ついでとばかりにビックバンまで網羅する辺りはさすがの一言(w 中盤のタイムパラドックスなどはホラーを思わせます。 解説にホーガンのルーツ・生い立ちが 紹介されてるのもファンには嬉しいです♪ 翻訳ネタも笑える(w
    Voyage from Yesteryear
1982「断絶への航海」★★★★
第三次世界大戦の傷もようやく癒えた2040年、 アルファ・ケンタウリから通信が届いた。 大戦直前に出発した移民船〈クヮン・イン〉が植民に適した惑星を発見、 豊富な資源を利用して理想郷建設に着手したというのだ。 この朗報を受け、〈メイフラワー二世〉が建造され、 惑星ケイロンめざして旅立った。 だが彼らを待っていたのは、地球とはあまりにも異質な社会だった…… 現代ハードSFの旗手が放つ壮大なスペース・ドラマ! 第三次世界大戦で存続があやぶまれる地球。 そこで、植民を目的とした惑星探査が提案され、 人間の胚を宿した無人宇宙船が飛び立った。 ……そうして発見された惑星ケイロン。 その地でロボットにより育てられ、独自に発展した地球人=ケイロン人。 そして、数十年後、 地球からケイロンを目指し、地球人の一団が乗りこむのだが……。 DNA的にはどちらも地球人だけど、 いかんせん環境・歴史・社会がちがうので、 ファーストコンタクトものとしても受けとれます。 この差異が物語のキモだし、テーマといえましょう。 ホーガンらしい無何有郷を描いた一作。 歴史や資本のしがらみから脱却したケイロン社会の哲学や 地球軍の落ちこぼれともいえるD中隊の面々がおもしろい。 解説の「囚人のジレンマ」問題も興味深いです。
    Out of Time
1993「時間泥棒」★★★☆☆

ニューヨーク中で時間が狂い始めた。 時計がどんどん遅れていくのだ。しかも場所ごとで遅れ方が違う。 この異常事態に著名な物理学者が言うには、 「異次元世界のエイリアンが我々の時間を少しずつ盗んでいるのです」!? エイリアンだか何だか知らないが、時間がなくなっていくのは本当だ。 大騒動の顛末は? 巨匠が贈る時間SFの新機軸! なんていうか、フツー(w 文庫でたったの170ページと軽妙なだけあって、 それにともない実質も軽妙。 もちろん、劣悪なんてことはないですけど、 気張って読むより息抜きがてらに手にするのが吉。 時間が盗まれるプロットや、 時間論などやはりおもしろいですしね。 あとSFにしては珍しく神父さんがいい味 出してたなあ(w ハードなSFファンでない限りじゅうぶん満足できるでしょう。
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