The Impossible Bird
2002「不在の鳥は霧の彼方へ飛ぶ」★★★★☆
1962年の晩夏、
小麦畑で寝ころがっていた少年マイクとその弟ダニエルは、
空飛ぶ円盤を目撃し、ふと気がつくと秋になっていた…
40年近くが過ぎ、CM監督になったマイクと英文学教授のダニエルは、
二人とも死んでいた。
だが、どちらも死んでいることは自覚していない。
二人をそれぞれに訪れた謎の男タカハシが、
疎遠になった兄と弟にお互いを見つけだすように脅すが…
P・K・ディックの後継者と評される著者の話題作。
SF。ファンタジー調。
「死ぬのってどんなだろうって、考えたことある?」八歳のダニーは訊いた。
十歳のマイクは答えた。「たまに」
「ずっと考えてるんだ。魚をつかまえてから」
物語は1962年の幼い兄弟の会話から導入し、
2000年の中年になった兄弟の交錯する視点からはじまります。
これ構成の順序がすばらしいですね、
エントロピーを"殺した"着想より構想の勝利。
人が死に瀕すると過去が走馬灯のように見えるってよく聞くけど
それを逆の形で幻視させるってのもセクシーです。
しかし兄弟関係を至上にたらしめたのはおもしろいですねぇ。
兄妹だったら最強だったけど(w
現在(05.06.26)某関取兄弟の確執がどうとか穿っているようですが、
あの程度の不和なぞこれを読めば解消するかもしれません(w
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