リチャード・バック (Richard Bach)

1936〜
イリノイ州生まれ。
カリフォルニア育ち。
    Jonathan Livingston Seagull
1970「かもめのジョナサン」★★★★★

「ほとんどのカモメが、飛ぶことに関して学ぶのは、  いちばん単純な事実だけだ。  海岸から食べ物のあるところまで到達し、また戻ってくること」 ジョナサン・リビングストン・シーガルという名の 風変わりな鳥を描いたこの寓話の中で、 著者リチャード・バックは語る。 「たいていのカモメにとって、大切なのは飛ぶことではなく、食べることだ。  しかし、このカモメにとっては、食べることではなく、  飛ぶこと自体が重要だった」 飛行は、まさにこの物語の意義を高める、象徴的行為である。 この寓話に込められた究極の意味は、 たとえ、群れや仲間あるいは隣人から自分の野心は危険だと思われても、 より高尚な人生の目的を探求することは大切だ、ということだ (われらが愛するジョナサンもある時点で、自分の群れから追放される)。 妥協せず自分の気高い理想を守ることで、 ジョナサンは、超越という究極の報酬を得た。 そして最後に愛と思いやりの真の意味を知るのである。 ラッセル・マンソンによる幻想的なカモメの写真が、 この物語にふさわしいイラストとなっている。 ただし全体的なデザインは、多少時代遅れの感があるのは否めない (この作品の初版年度は1970年だった)。 しかしながらこの作品に流れる精神は不朽であり、 とりわけ、若者の心を惹きつけてやまない。 食べるための最低限の飛行で生活するかもめの群れ。 しかしジョナサンだけはちがった。 食事もろくにせず飛行の練習に明け暮れていた。 やがて群れの調和をみだす彼は追放されてしまうのだが―― 透明感のあるおとぎ話。 ジョナサンを主観的に見ても客観的に見ても箴言を見出せます。 啓蒙的で、読書中も読後の余韻でも自己啓発させられます。 くたびれた時にこれはいいですよー、広大無辺だもの。 短い長編なので年に1度さっと読みたくなる名作。
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