ジム・トンプスン (Jim Thompson)

1906.9.27〜1977.4.7年。
オクラホマ州アナダーコ生まれ。
ネブラスカ大学卒業。
石油パイプライン施設工、ホテルのベルボーイなど様々な職を転々とする。
1942年、「Now and on Earth」で作家デビュー。
1950年代に入ってパルプノワールを次々と発表。

キューブリック監督『突撃』『現金に体を張れ』の脚本、
ペキンパー監督『ゲッタウェイ』の原作・脚本でも有名。
ますます再評価の気運が高まってており、復刊ラッシュが起きた。
評論家ジェフリー・オブライエンはトンプスンを
"安物雑貨店のドストエフスキー"と称す。
いまわの際にトンプソンは妻にこういい残した。
「おれが死んだあと十年したら、有名になってる」
長編 著作リスト

1942 Now and on Earth
1946 Heed the Thunder
1949 Nothing More Than Murder 取るに足りない殺人
1952 The Killer Inside Me 内なる殺人者(おれの中の殺し屋)
1952 Cropper's Cabin
1953 Recoil
1953 The Alcoholics
1953 Bad Boy
1953 Savage Night 残酷な夜(サヴェッジ・ナイト)
1953 The Criminal
1954 The Golden Gizmo
1954 Roughneck
1954 A Swell-Looking Babe 深夜のベルボーイ
1954 A Hell of a Woman 死ぬほどいい女
1954 The Nothing Man
1955 After Dark, My Sweet アフター・ダーク
1957 The Kill-Off
1957 Wild Town
1959 The Getaway ゲッタウェイ
1961 The Transgressors
1963 The Grifters グリフターズ
1964 Pop. 1280 ポップ1280
1965 Texas By, The Tail
1967 South of Heaven
1967 Ironside 鬼警部アイアンサイド
1969 The Undefeated
1970 Nothing But a Man
1972 Child of Rage
1973 King Blood

死後出版された作品

1983 This World, Tken the Fireworks in Jim Thompson:
   The Killers Inside Him, edited
   by Max Allan Collins and ED Gorman
1987 The Rip-off. in More Hardcore

失われた作品

1932 Always to Be blessed
1958 Lunatic at Large
    Nothing More Than Murder
1949「取るに足りない殺人」

妻が経営していた田舎町の映画館を引き継ぎ、切れる頭を武器に、 違法すれすれのやり口でビジネスをのばしてきたジョー。 しかし、妻が新しい家政婦を連れてきたときから、 彼の人生の軌道ははずれはじめた。 器量の悪いその娘キャロルが、 どういうわけかジョーにはすばらしい女性に思え… そしてふたりの関係は、たちどころに妻の知るところとなった。 結論は簡単だった。偽装殺人で保険金を詐取し、妻への手切れ金にするのだ。 完全犯罪計画が進むいっぽう、 巨大映画館グループがジョーをつぶしに画策をはじめる。 追いつめられた男が挑む、最後の頭脳戦のゆくえは―? トンプスンが、その鬼才ぶりを爆発させた、初の犯罪小説。
    The Killer Inside Me
1952「おれの中の殺し屋」

テキサスの田舎町のしがない保安官助手、ルー・フォード。 愚か者をよそおう彼の中には、じつは危険な殺し屋がひそんでいた。 長年抑えつけてきた殺人衝動が、ささいな事件をきっかけに目を覚ます。 彼は自分の周囲に巧緻な罠を張りめぐらせるが、 事態はもつれ、からみあいながら、加速度的に転落していく… 饒舌な語り口で、おそるべき人間の姿を描ききった、 現代ノワールの金字塔!ジム・トンプスンの 最高傑作と賞されるあの名作の新訳決定版、ついに登場。
    Savage Night
1953「残酷な夜」

田舎町ピアデールに現われた青年カール・ビゲロウ。 背が低く、肺を病んでいる彼は、 大学の聴講生になるために、ウィンロイ家に寄宿する。 その家の主ジェイクは、被告として裁判を控える身だが、 暗黒街から送りこまれてくる殺し屋の影におびえる毎日だ。 なにかを胸に秘めたカール・ビゲロウは、 ジェイクの美しい妻フェイと、次第に接近していく。 同じ下宿に住むのは、いちいち世話を焼いてくれる老人ケンダルと、 脚の悪い貧しい娘ルース。 見えない脅威に次第に追いつめられながらも、カール・ビゲロウは牙をとぐ。 だが状況は、彼の想像を超えて展開しはじめた… 究極のノワール作家ジム・トンプスンが放つ、恐るべき暗黒小説! 巻頭に、スティーヴン・キングによるトンプスン論を特別収録。
    A Swell-Looking Babe
1954「深夜のベルボーイ」

主人公の青年、通称ダスティ。 母はすでにこの世になく、父はある事件で職を失なってしまった。 ダスティは大学をやめ、 いまはホテルのベルボーイとして、夜勤の仕事についている。 稼ぎを使いこむばかりの父、夢をあきらめてしまった自分。 だが暑い夏の夜、彼の人生を変える女が現われた! こうして、確固としたものに見えたダスティの世界は揺らいでいく。 事件は事件を呼び、人びとの思惑はからみあい、 先の見えない荒野へむかって突っ走る。 運命の女は、ダスティにいったいなにをもたらすのか―? 自身がベルボーイとして働いた経験を持つトンプスンが、 緊密な構成と予測のつかない展開で描く、暗黒の青春小説。
    A Hell of a Woman 
1954「死ぬほどいい女」★★★★
フランク・ディロン、通称ドリー。職業、訪問販売員。既婚。 ある日ドリーは、代金未払いの客を探しに訪れた家で、 強欲な老婆につかまる。 家の奥で彼を待っていたのは、死ぬほどいい女、モナだった。 だがモナは、底知れぬ悲しい過去を秘めていた… 彼女を助けられないかと考えはじめたドリーの身に、 つぎつぎ起こるささやかな事件。 金の取り立て、妻の出奔、 そしてついには上司の明晰な推理力によって、豚箱まで経験させられる。 しかし、モナが突然驚くべき話を切りだしたところから、 すべての糸はひとつにつながり、もつれあいながら疾走しはじめた― 暗黒小説の孤峰ジム・トンプスンの底力が爆発する、おそるべき1作。 パルプノワール。 ノワールの鬼才だの帝王だのとも表記されてます。 古い作家ながら、最近このミスに食いこんできた遅咲き。 このミス2001度版 海外編 第1位 ポップ1280 このミス2003度版 海外編 第5位 死ぬほどいい女 このミスに関しては取りたてて信頼はないので(w)、 別にいいんですが、鬼才ってのに惹かれました。 私は純粋ノワール耐性が0に近いんで無難なのがよかったのですよ。 0だけに判断に困惑するんですけど、 なるほどイカれてます。 なんでだろう、あらすじは冗談のように へんてつのない単純明解なストーリーなのに、 こんなにも毒々しく胸くそ悪いもんなあ! ラストなぞ視覚的にもぶっ壊れてて もういやだよ。 気持ちわるい、けど、他の作品も読みたくなる…(;´Д`) この手の小説の入口としては不備なしだと思われます… モナたん、死ぬほどいい女だよ、モナたん(*´Д`)ドモリガカワイイ
    After Dark, My Sweet
1955「アフター・ダーク」

ふらりと街へやってきた男、ビル・コリンズ。 実は、かつて一世を風靡したボクサーだったが、 いまはわけあって街から街へと放浪の生活をつづけている。 しかし、立ち寄ったバーで、 魅力的な未亡人フェイと出会ってしまったことから、 彼は危険な犯罪劇へ飲みこまれていく… 心の暗黒をかかえ、逃れようとしてもフェイのもとにもどってしまうビルは、 子どもの誘拐という卑劣な犯罪に関与せざるをえなくなる。 のっぴきならない状況に陥った彼には、 それでも、運命の女性と子どもとを救う、 究極の一手があった―映画化から10年、 ノワールの帝王の危険な1作が登場! G・オブライエンの歴史的なトンプスン論を収録。
    The Grifters
1963「グリフターズ」

母、息子、その恋人―三人三様の詐欺師たち(グリフターズ)がいた。 競馬のノミ行為の片棒をかつぐリリイ。 酒場で小銭を稼ぐ若い男ロイ。 架空取引をしかける謎の美女モイラ。 三人の悪党がロサンジェルスで出会い、 愛憎と欲得がからむドラマがはじまった。 映画「現金に体を張れ」のシナリオ作家として知られ、 いままた再評価の光を浴びる隠れた巨匠ジム・トンプスンの問題作を、 鬼才スティーヴン・フリアーズ監督が映像化。 異色犯罪サスペンス映画「グリフターズ」の原作、ここに登場。
    Pop. 1280
1964「ポップ1280」★★★★★

ポッツヴィル、人口(ポップ)1280。 保安官ニック・コーリーは、心配事が多すぎて、 食事も睡眠も満足に取れない。 考えに考えた結果、自分にはどうすればいいか皆目見当がつかない、 という結論を得た。 口うるさい妻、うすばかのその弟、秘密の愛人、昔の婚約者、保安官選挙…… だが目下の問題は、町の売春宿の悪党どもだ。 何か思い切った手を打って、今の地位を安泰なものにしなければならない。 なにしろ彼には、保安官という仕事しかできないのだから…… アメリカ南部の小さな町に爆発する、殺人と巧緻な罠の圧倒的ドラマ! キューブリックが、S・キングが敬愛するジム・トンプスンの代表作。 饒舌な文体が暴走する、暗黒小説の伝説的作品、登場。 停滞した小さな町の保安官ニック・コーリーの物語。 彼の一人称で、その思考の不安定な不気味さ、 異質ながらどこかユーモアがある行動原理の調律が核。 それをどうにも捕捉できぬまま、 めまぐるしく話が展開していくのも効果抜群。 これらを理由がある狂気とよばるなら 本書はブラックミステリといえましょう。 ――とはいえ、本書解説のようになんでもかんでも それっぽい符合をつき合わせ、 深読みにつなげるのはげんなりしますが(w
    Ironside
1967「鬼警部アイアンサイド」

何者かが放った一発の銃弾がサンフランシスコ市警察の 敏腕刑事ロバート・アイアンサイドから下半身の自由を奪ってしまった。 だがその手腕を見込んだ警察は、 彼を顧問として迎え、手足となる三人の部下を与える。 車椅子を駆り、卑劣な犯罪との闘いの日々は続く… 謎めいた脅迫事件、有力者の息子が起こした轢き逃げ事件、 そしてアイアンサイドの部下マークが関わる傷害致死事件。 鬼警部を窮地に追いこむ事件の連続、 その背後でほくそ笑む黒幕とは? 人気TVシリーズをもとにノワールの巨匠が書き下ろした オリジナル・ストーリー、ついに登場。
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