the yapoo
1956「家畜人ヤプー」★★★★★
ある夏の午後、
ドイツに留学中の瀬部麟一郎と恋人クララの前に突如、奇妙な円盤艇が現れた。
中にはポーリーンと名乗る美しき白人女性が一人。
二千年後の世界から来たという彼女が語る未来では、
日本人が「ヤプー」と呼ばれ、
白人の家畜にされているというのだが…。
196X年、学生の瀬部麟一郎と婚約者クララが登山中にUFOが墜落した。
おそるおそる内部へ入るとひとりの女性が倒れていた。
助け起こすと彼女はポーリーンといい、約2000年後から来たという。
その世界では白人だけが人間とされ、黒人は奴隷、
そして黄色人種は家畜として扱られているというのだが――
奇書。マゾヒズム文学。SF。官能小説(!)
ざっくり世界観を書いてみると、
クロマニョン人をホモ・サピエンス(知性人類)とし、これが白人様。
黒人(黒奴)もこの部類ながら"半人間"扱い。
絶滅したはずのネアンデルタール人をシミアス・サピエンス(知性猿猴)とし、
これが黄色人種。イエローモンキー、人間ではないと。
また第三次大戦で日本以外は焦土と化して
生存した黄色人種は日本人だけでその末裔がヤプーという感じ。
あとは完全な階級社会で女権主義であることもポイント。
家畜といっても未来の技術で家具やら性具やら乗り物やら、
ありとあらゆるものに改造されてすさまじい。
この辺の徹底した設定厨っぷりが圧巻の一言。排泄へのこだわりよ!
なかなかの大長編なのですが、
半分くらいは未来世界の風俗や技術の解説に割かれています。
これほど身近な女性に読んでほしくない本も珍しいw
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