Open and Shut
2002「弁護士は奇策で勝負する」★★★★☆
父の頼みで死刑囚の冤罪事件に挑む弁護士アンディ。
その矢先に父が急死、巨額の預金が発見された。父の過去に何が?
二つの難事件を抱えた彼を襲う陥穽、脅迫、銃弾!
だがアンディはくじけない。
クセ者ぞろいのチームを率い、裁判も巨悪もひっくり返す秘策を探せ!
MWA新人賞候補、一気読み保証の痛快法廷サスペンス登場。
アンディ・カーペンター・シリーズ第1弾。
首席検事の父ネルソンがかつて扱った殺人事件の裁判。
あらゆる証拠から疑いもなく犯人とされた男ミラーは死刑判決を受けたが、
息子のアンディに"手続き上のミス"があったので上訴するよう持ちかける。
父曰く「勝ち目がない」この再審に乗り気でないアンディ。
その直後に父が急死し、さらに2200万ドルもの遺産が発見される。
手つかずの大金はなにを意味するのか?そしてミラーは冤罪だったのか?
ユーモアリーガルサスペンス。
アンディの一人称で語られるのですが軽口とジョークが満載。
冒頭の一部分はこんな感じ。
ゴールデンレトリーバーにまさるものなし。いや、わかってる、わかってる。
この大きな地球上に存在しているすばらしいものを数えあげたらきりがない。
しかし、ゴールデンレトリーバーこそ至高の存在。
わが愛犬の名前はタラ。当年七歳で、およそ人が望みうる最良の仲間だ。
ひょうきんで、遊びが大好き、くわえて頭がいいときている。
たったひとつ頭の痛い問題があるとすれば、
つい朝いっしょにタラと遊びすぎてしまうため、ほぼ毎日ぼくが遅刻をしてしまうことだけ。
ノリが合えば終始笑えるたのしい作品です。
それでいて法廷での対決はなかなか本格で緊迫します。
遺産のなぞも魅力的で突如大富豪になったアンディの当惑もおもしろい。
おもしろいといえばケヴィンという作中人物がよかった。
元敏腕検事で元凄腕弁護士の男なのですが、優秀すぎて、
検事をやると無実の人物を有罪にしてしまっているのではないか、
弁護士をやると極悪人を自由にしているのではないかと葛藤。
本作も裁判・死刑制度の危うさが見えますのでおそろしいですね。
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