コードウェイナー・スミス (Cordwainer Smith)

1913.7.11〜1966.8.6
アメリカ生まれ。
覆面SF作家として有名。
ジョンズ・ホプキンス大学の教授で主にアジア政策を。
軍人としても陸軍情報部の大佐を務めた。

人類補完機構(インストゥルメンタリティ)という
独特の世界観を築いた未来史シリーズが代表。
1988年「ノーストリリア(Norstrilia)」で第19回星雲賞海外長編賞受賞。
妻ジュヌヴィーヴとの合作も多い。

本名:ポール・マイロン・アンソニー・ラインバーガー
別名義:フェリックス・C・フォレスト
別名義:Karloman Jungahr
中国名:林白楽
    The Best of Cordwainer Smith
1975「鼠と竜のゲーム」★★★☆☆

〔人類補完機構〕 星から星へと、平面航法を用いて 二次元空間を飛行する宇宙船に襲いかかる超生命―― 竜に敢然とたちむかう男たちの活躍を描く「鼠と竜のゲーム」ほか、 「星の海に魂の帆をかけた女」など、 SF界きっての詩人が人類補完機構の壮大な宇宙史を 背景に綴りあげた名品八篇を収録する傑作短篇集! 〔人類補完機構〕シリーズ。J・J・ピアス編纂。  スキャナーに生きがいはない   Scanners Live in Vain (ファンタジイ・ブック誌 1950 No.6) スキャナーのマーテルはクランチ中に緊急召集された。 (スキャナーとはすべての感覚を捨て機械化された人間で <空のむこう>で特別な任務をまかされている。志願制。 クランチは一時的に人間的感覚を味わえる特典だが、 身体への負担がおおきく、月に数回しかゆるされない) 会議の内容はスキャナーにしかできなかった仕事を 技術的に解決しようとしている人物の殺害だった。 もしそうなればスキャナーたちの存在意義が喪失してしまうからだ。 しかしマーテルはこの計画に異を唱え、抗戦するが……。  星の海に魂の帆をかけた少女   The Lady Who Sailed The Soul (ギャラクシイ誌 1960.4) のちに歴史にその名を刻むふたりの星海の船乗り、 ヘレン・アメリカとミスター・グレイ=ノー=モアの 醜く美しい恋愛物語。  鼠と竜のゲーム   The Game of Rat and Dragon (ギャラクシイ誌 1955.10) 平面航法を学んだ人類は飛躍的に移動範囲を広げた。 ところが、その航海中の船内で 乗員たちすべてが発狂するという怪事件が多発。 テレパスに調査させると、その正体は竜であった。 人類はある種族とパートナーを組み立ち向かう!  燃える脳   The Burning of the Brain (ワールズ・オブ・イフ誌 1958.10) これまたロマンス。 偉大な船長と若返り処置を拒否した妻の物語。  スズダル中佐の犯罪と栄光   The Crime and the Glory of Commander Suzdal (アメージング・ストーリーズ誌 1964.5) クルーザー(巡洋艦)の艦長スズダル中佐。 彼は航海中、極限的環境下で生き抜いてきた アラコシア人の襲撃を受けた。 そこでスズダル中佐はある禁断の手段を使い切り抜けるが、 その行為は重罪で、裁判にかけられた彼は真の極刑に……。  黄金の船が――おお! おお! おお!   Golden the Ship Was――Oh! Oh! Oh! (アメージング・ストーリーズ誌 1959.4) 独裁者ラウムソッグ大公は地球征服をもくろんでいた。 憂慮した〔補完機構〕は黄金の船を一隻とばすことを決定。 全長じつに1億5千万kmの黄金の船を―― (未来でもブラフって利くんだねぇ^^;)  ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち   Mother Hitton's Littul Kittons (ギャラクシイ誌 1961.6) ノーストリリアの兵器管理官ママ・ヒットンと 盗賊ベンジャコミン・ボザートの対決一話。 (ほのぼのしたタイトルなのにサイコホラーやんけ(;´Д`)  アルファ・ラルファ大通り   Alpha Ralpha Boulevard (ファンタジイ&サイエンス・フィクション誌 1961.6) 〔補完機構〕にプログラムされた安寧をこばみ、 自らで幸福を獲得しようともがく人間物語。 総合雑感。 「とっつきがわるい」「なれるまでに時間がかかる」 これは否定できませんって。 独創的舞台設定なだけにこの説明不足っぷりは痛手だもん。 造語だらけなのに。 各話・小説のテーマ自体はちゃんと伝わってきますが、 細部となると、どうしたってもの足りない。 時代も場所もいったりきたりのようで、そのくせ具体的な 暦の表記を避けるもんだから混乱しないほうがおかしい。 年表でもあればかんたんにすっきりするんだけど。 訳者あとがきによると第2集には入れる予定らしいけど遅いよ……。 しかも、"矛盾する説明も少なくない"ときたもんだ。 設定勝負のシリーズじゃ致命的ではあるまいか('A`) んでもまあ、たくさん読ん慣れれば問題ないのかなぁと。 じっさい評価は高いみたいだし。 長いお付きあいの覚悟はしておくべきか。
    The Best of Cordwainer Smith
1975「シェイヨルという名の星」

〔人類補完機構〕 第一級の犯罪者だけが送りこまれる、究極の流刑地シェイヨル。 この星でどんな苛酷な刑罰が実施されているのか、知る者はいない。 分かっているのはただひとつ、シェイヨルが“死”のない世界だということ。 つまり、受刑者の苦難は永遠に続くのだ… 表題作ほか下級民の反乱を率いた犬娘の悲哀を描く 「クラウン・タウンの死婦人」など全四篇を収録。 現代SFきっての名匠が抒情ゆたかに綴る謎と魅惑に満ちた未来史の世界。
    Norstrilia
1975「ノーストリリア」

〔人類補完機構〕 時は〈人間の再発見〉の第1世紀。 シェイヨルの星が、リンゴを服の袖でこするように磨かれていた時代。 銀河随一の富める惑星ノーストリリアで、 ひとりの少年が地球という惑星を買いとった。 少年は地球へやってきて、なみはずれた冒険を重ねたすえに、 自分のほしいものを手に入れ、ぶじに帰ることができた。 あんなことは一度あっただけ。 二度と起こらないようにわれわれは手をうった。 お話はそれだけだ。 さあ、これでもう読まなくてもいい。 ただ、こまかいところは別。 それはこの本のなかに書いてある。 ひとりの少年が出会った真実の恋と、手に汗にぎる冒険の日々が…。
    The Instrumentality of Mankind
1979「第81Q戦争」

〔人類補完機構〕 廃墟と化した未来の地球に突如出現し、 その後一万年以上にわたる支配をうち立てた〈補完機構〉とは何だったのか? その成立秘話を明かす「マーク・エルフ」「昼下がりの女王」の二部作ほか、 星雲賞受賞作「青をこころに一、二と数えよ」など 奔放な想像力と才気にみちた14篇を収める傑作短篇集。
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