ディック・フランシス (Dick Francis)
1920.10.31〜
イギリス、ウェールズ生まれ。
障害競走の元騎手。
引退後、競馬欄担当の新聞記者を経て、
競馬シリーズの小説を書きはじめる。
1957年、自伝「女王陛下の騎手 The Sport of Queens」を発表。 1962年「本命」で競馬小説デビュー。
1965年「興奮」でCWAシルヴァー・ダガー賞を受賞。
1970年「罰金」でMWA最優秀長編賞を受賞。
1979年「利腕」でCWAゴールド・ダガー賞、MWA最優秀長編賞を受賞。
1989年、CWAダイヤモンド・ダガー賞を受賞。
1996年「敵手」でMWA最優秀長編賞を受賞。
1996年、MWA巨匠賞を受賞。
1973〜1974年にかけて、CWAの会長を務めた。
本名:リチャード・スタンレー・フランシス(Richard Stanley Francis)
OHP〜著作リスト〜 1962 本命 Dead Cert 1964 度胸 Nerve 1965 興奮 For Kicks 1965 大穴 Odds Against 1966 飛越 Flying Finish 1967 血統 Blood Sport 1968 罰金 Forfeit 1969 査問 Enquiry 1970 混戦 Rat Race 1971 骨折 Bonecrack 1972 煙幕 Smokescreen 1973 暴走 Slayride 1974 転倒 Knockdown 1975 重賞 High Stakes 1976 追込 In the Frame 1977 障害 Risk 1978 試走 Trial Run 1979 利腕 Whip Hand 1980 反射 Reflex 1981 配当 Twice Shy 1982 名門 Banker 1983 奪回 The Danger 1984 証拠 Proof 1985 侵入 Break In 1986 連闘 Bolt 1987 黄金 Hot Money 1988 横断 The Edge 1989 直線 Straight 1990 標的 Longshot 1991 帰還 Comeback 1992 密輸 Driving Force 1993 決着 Decider 1994 告解 Wild Horses 1995 敵手 Come to Grief 1996 不屈 To the Hilt 1997 騎乗 10 LB. Penalty 1998 出走 Field of Thirteen (※短編集) 1999 烈風 Second Wind 2000 勝利 Shattered 2006 再起 Under Orders
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Dead Cert 1962「本命」★★★★☆
濃霧をついて、蹄鉄がぶつかりあう鋭い音が響く。 遙か前方を走る一頭の鞍上では、騎手のビルが、 最後の障害を跳ぶべく馬の態勢を立て直していた。 本命馬アドミラル号はその力強い後半体の筋肉を盛りあげ、 緊張し、跳んだ。完璧な跳躍。 鳥のごとく宙に浮き次の瞬間落ちた。 そしてビルは死んだ……これは事故なのか? ビルの親友アラン・ヨークはその疑いに抗し切れず、 ただひとり事件の謎を追う! 迫真のシリーズ第一弾 絶対確実の本命でこの日も独走していた騎手ビルと名馬アドミラル。 障害競走の最後の障害を跳び越えようとしたそのとき、 アドミラルが宙返りをするように転倒、 ビルは落馬し不運にも下敷きになって死亡しまう。 後続を走っていたアランはその跳躍の失敗を不審に思い、 レース後に調べてみると針金が見つかった。 これを直前に馬に足に引っかけたらしい。 なぜこのようなことを? 親友ビルを死にいたらしめた要因をアランは独り調査をはじめる。 やがて浮かびあがる隠れギャングの一味、 そしてそれをあやつる黒幕とは―― とにかく騎乗のシーンがかっこいい。迫力がちがう。 プロ騎手の実体験があればこそ、でしょう。 終盤のアドミラルにはクールで惚れるぜ。 事件のほうはあくまで事故死なんですよね。 落馬と死を直結して計算はだれにもできないので。 なのでミステリの興味としては弱め。 ぴりっとしまりのある文体、勝負にかける男の生き様、 このへんがシリーズの人気を支えているのでしょう。 ああ、競馬についての知識はとくに必要ありません。 うとくてもぜんぜん楽しめます。 解説には日英の競馬のちがいについて書いてあるので、 これは先に目を通したほうがいいですね。