The Case of the Perjured Parrot
1939「偽証するおうむ」★★★☆☆
冷酷非情な億万長者セイビンが、
山小屋で至近距離から心臓を射ち抜かれた。
その傍には、彼の飼っていたおうむが金切り声で人を呼んでいた。
現場の様子からして、物取りの犯行ではない。
だが、被害者に敵は多い。
折りしもメイスンは、セイビンの息子と名乗る男の訪問をうけた……。
ペリイ・メイスン・シリーズ第14弾。
人里はなれた山荘で射殺されたセイビンが発見された。
彼は一代で巨万の富を築きあげたが、
叔父の影響から処世観に変革をきたし現在は隠居していた。
現場の金品に手はつけられておらず、
彼が愛玩していたおうむも無事だった。
事件発覚の翌日、彼の息子チャールズが
メイスンの事務所をおとずれ、事件の綿密な調査を依頼。
そこでメイスンは現場にいたおうむが、
セイビンが飼っていたおうむとは別ものであると聞かされる。
なぜおうむが入れ代わっていたのか?
これが事件の鍵になるとメイスンは直観するが――
セイビンの息子と後妻の遺産相続問題、離婚問題、
「ピストルヲステロ!ヘレン!ウツナ!」と証言するおうむ、
(登場人物にヘレンはふたりいて、どちらもセイビンの"妻"(^^;)
このへんが問題の中枢になっています。
事件解決後のサプライズも鞠躬如とします。
短く地味ながら堅牢な一作。
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