The Art of the Mystery Story
1946「ミステリの美学」★★★★★
クイーンの短編小説観、
カーの密室講義、
チャンドラーの殺人美学、
黄金時代を築いた作家たちが、
惜し気もなく披瀝する小説作法の神髄。
海外ミステリを愉しむための道標としての22編。
バウチャーが論じるスパイ小説、
ハメットの辛辣な書評、
ガードナーは起源を探る。
読む者も、書く者も、なぜこれほどミステリを愛してやまないのか。
詳細なコレクターズ・ガイドを収録して、
大御所ヘイクラフト畢生の名著を新訳。
豪華メンバーによる22編の評論集。
カッピー、ウィルソン、スタウト、セイヤーズ、ノックス、
ヴァン=ダイン、フリーマン、チェスタトン、リーコック、
クイーン、カー、ガードナー、ハメット、ウォード、
チャンドラー、ライス、フィルモア、バウチャー、
カーター、ヘイクラフト、サンドウの面子。
クイーンは2編あるので、合計22になります。
ただし、原著は53編収録されているので、
本書の半端さはいなめません。
売れ行き次第で続編が……なんて可能性はあるみたいですが、
正直、そんな売れねえよなあ(^^;
なお、巻末に原著のリストがしっかり記されているので
全体の雰囲気はちゃんと味わえます(?)
目玉はエドマンド・ウィルソンですかねー。
だれがアクロイドを殺そうがどうでもよい、
でおなじみ、かなりのミステリ嫌いで有名な人。
当然、くそみそにこきおろしているわけですが、
それを載せてしまうヘイクラフトに感心する。
いやいや、たしかにムカっとくるけど、
そんなのもまたおもしろいんだよね。
他はミステリの批評や歴史の研究的なものばかり。
真面目なものから、下品なものまで(w
ファイロ・ヴァンスものの皮肉なパロディもあるのですよ、
作者はクリストファー・ウォード。
探偵の名前がファイロ・パンツ!(w
もうね、パンツパンツと出てくるだけで、
原作とのギャップの妙がじわじわきてニヤニヤしっぱなし(w
さて、収録されているクイーンの2本をピックアップ。
「短編探偵小説100年史
The Detective Short Story : The First Hundred Years」
アンソロジー「101年の娯楽」(1941)の改訂版序文。
「編集者のノートから Leaves from the Editors' Notebook」
EQMMから転載した解説風書評を7編。
広く深いクイーンのミステリ美学を感じましょう。
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