The Red Right Hand
1945「赤い右手」★★★☆☆
結婚式を挙げに行く途中のカップルが拾ったヒッチハイカーは、
赤い眼に裂けた耳、犬のように尖った歯をしていた…。
やがてコネティカット州山中の脇道で繰り広げられる恐怖の連続殺人劇。
狂気の殺人鬼の魔手にかかり、次々に血祭りに上げられていく人々―
悪夢のような夜に果して終りは来るのか?
熱に憑かれたような文体で不可能を可能にした、
探偵小説におけるコペルニクス的転回ともいうべき
カルト的名作、ついに登場。
おお、こまった作品ですね、説明がやっかいだ。
あらすじすらなんとも紹介しにくいのですよ。
大ざっぱにいえば、
結婚するために車を走らせるカップルが出遭った
異様ないでたちをしたヒッチハイカー。
休憩に立ち寄った山中の湖で惨劇ははじまる。
突如としてカップルと付近の住人を容赦なく襲う
ヒッチハイカーの殺人鬼"コークスクリュー"。
偶然、村に滞在していた医師は
はからずもこの殺人鬼と対峙することになるのだが――
こんな感じ?
この医師が語り手で、本書を問題作にしたてあげている張本人。
記述している 医師=殺人鬼 の図式、符合が絶妙でね。
伏線にしては目立ちすぎで、かといって見逃せもできず。
構成のタイムテーブル、順序もばらばらで、
はたして緻密な計算なのか、たんなる不手際な惰性なのか、
なんとも足場に安定感のない世界へ放りだされます。
このへんは巻末の解説がすばらしく、
長所も短所もしっかり指摘しているので気分はいい。
なのであまり深く考えずに精読すべし、というより、
己が想像力の限界に挑むくらいの気負いであれこれ考え混乱し
疑心暗鬼にかられて読み進めるのが作者への礼儀です(w
個人的にはアンフェア以前のレベルにしか思えないんですけどね(^^;
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