The Mystery Writer's Handbook
1976「ミステリーの書き方」★★★★☆
アメリカの売れっ子ミステリー作家たち、
ジョン・D・マクドナルド、レックス・スタウト、
スタンリー・エリン、ロス・マクドナルドらが、
自分たちの企業秘密を公開。
作家志望者には座右の書。
読者には、作り手の手の内がよく分かって謎解きが一段と鋭くなり、
ミステリーが十倍面白く、楽しくなる、必読の書。
著作権者は"アメリカ探偵作家クラブ"です。編集がトリート。
クラブ会員たちが無報酬で参加した企画で、
本書の売り上げはMWA運営資金にあてられるそうな。
アイディア、状況設定、プロット、ストーリー、構成、
語り出し、人物造形、視点、背景、雰囲気、会話、
文体、手直し、削除、スランプ、投書作法、秘訣……。
あらゆる場面での作家たちのアドバイスが盛りだくさん。
ノウハウ、ハウツー書として作家志望はいうにおよばず、
私のような単純なファンでも楽屋裏を見ることにより、
今後の見方(読み方)が変わりそうなおもしろさがあります。
116ページにのみ編集者クイーンの一言が引用されています。
「手っとり早く成功して悠然と名声を維持する方法など存在しない。
物書きには悩みと失意がつきものである。
確実に成功する唯一の処方――
それは才能とあくなき努力ということにつきる。
どちらが欠けても物にはならない。まったく大変なことである。
心ある編集者は、原稿を没にされる者より
没にする者のほうがもっとつらい、と心底思っている。
編集者自身も物書きならば、なおのことだ」
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