Murder in Pastiche
1954「殺人混成曲」★★★☆☆
リヴァプールからニューヨークに向けて出航した
大西洋航路のイギリス豪華客船フローラバンダ号の船長は、
乗客名簿を手にしたとたん、思わずあっと声をあげた。
それも道理、船客のうちには、
いずれもおなじみの名探偵名警部がずらりと九人、顔を揃えていたのである!
その顔ぶれは:
ネロ・ウルフ(スタウト)、
エラリイ・クイーン(クイーン)、
ペリイ・メイスン(ガードナー)、
マイク・ハマー(スピレイン)、
ピーター・ウイムジイ卿(セイヤーズ)、
アプルビイ副総監(ブレイク)、
エルキュール・ポアロ(クリスティー)、
ロデリック・アレン(マーシュ)、
ミス・シルヴァー(ウェントウォース)
これだけの名探偵が、伊達や酔狂で集まるはずがない――
果然、船客の一人で悪名高いゴシップ・ニューズ記者が惨殺され、
かくては九人の名探偵が頭脳をしぼり、腕をふるう結果となったのだ!
イギリスの女流新進作家マナリングが、
それぞれの作家の文体を模写して見事書きわけた奇想天外の異色探偵小説。
探偵たちをおさらいしましょう。
サー・ジョン・ナプルビイ(ジョン・アプルビイ副総監)
ジェリイ・ペイスン(ペリイ・メイスン)
ファン・スリヴァー(ファン・シルヴァー)
スパイク・ブラッジョン(マイク・ハマー)
ロード・サイモン・クィンジイ(ピーター・ウイムジイ卿)
アトラス・ポワロオ(エルキュール・ポアロ)
マロリイ・キング(エラリイ・クイーン)
ブロデリック・ターナー(ロデリック・アレン首席警部)
トレイジャン・ベア(ネロ・ウルフ)
ペイスンには秘書ステラ・ディート(デラ・ストリート)が、
ベアには助手アーニイ・ウッドビン(アーチー・グッドウィン)が随行。
パロディですから、もとネタをしっててなんぼですよね。
アレンとシルヴァーはぜんぜん縁がないよ(^^;
EQ系のアンソロで読んでるかもだけど、これといって記憶になし。
ほかのは問題ないのでかろうじてわかるのですが、
文体や探偵法を作風ごと模倣しているんですよ。皮肉まじりに(w
これをひとりで描くのは骨が折れますよ、よっぽど知悉してな。
構成が探偵ごとのパート(章)にわかれているので、その差は歴然。
訳者もそれぞれの原著の担当がやっているんですよ、粋!
クイーンは青田さんです(w
ストーリーは単純で、
航海中の豪華客船で発生した悪名高いゴシップ記者の撲殺事件。
9人の名探偵たちが少しずつ紐解いていく流れは華麗。
マロリイ・キングの"型"探しはありすぎだろ(w
そりゃあれだけ検索すりゃヒットするものもあるわ(w
でも1番おもしろいのは探偵たちより船医だよなあ(^^;
|