フィリップ・マクドナルド (Phillip MacDonald)

1900〜1981
ロンドン生まれ。
祖父ジョージ・マクドナルド(1824〜1905)と
父ロナルド・マクドナルドも著名な作家。
祖父は「リリス」などの幻想文学や児童文学で日本でも聞きますね。
ルイス・キャロルとの親交もあったそうな。
そんな文豪血筋のフィリップですが、
本人の意向か、経歴は不明の点が多いようです。
1924年「鑢」で初のミステリ作品を上梓。
名探偵アントニイ・ゲスリン大佐を登場させ、歓迎される。
短編の才もあり、MWA最優秀短編賞を2度受賞している。
1952年「隠されたもの Something to Hide」はクイーンの定員#108にも。

別名義:マーティン・ポーロック(Martin Porlock)
    The Rasp
1924―名探偵ゲスリン登場★★★★
大蔵大臣ジョン・フード殺害さる―― 特種をいち早くキャッチした〈梟〉紙は、 第一次大戦の英雄にして明晰な頭脳の持ち主、 アントニイ・ゲスリン大佐を現地へ特派する。 終盤に至って新聞記事原稿として掲げられる、 客観データと論理的考察が導く事件の真相とは? マザーグースの調べに彩られた、 名探偵ゲスリンの記念すべき初登場作品。 アントニイ・ゲスリン大佐シリーズ第1弾。 官僚が殺害されたとの衝撃的な情報をキャッチした 週刊新聞〈梟〉紙の編集長の秘書。 そこで記事のため友人のゲスリン大佐に事件の調査を依頼する。 自宅(田舎屋敷)の書斎で殺害された官僚ジョン・フード。 部屋のなかは格闘のためか、家具類がひっくり返り、 遺体のそばには兇器と思われる木工用の血塗られた鑢が落ちていた。 やがて状況や鑢についていた指紋からフードの秘書が逮捕される。 しかし、ゲスリンは偏見と自覚しつつも彼の無罪を直感し、 真犯人捜しに身を投じるが―― 黄金時代らしいミステリ。 「トレント最後の事件」なんかを彷彿とさせます。 こっちのほうはどうも雰囲気が暗いですが(^^; 探偵もいわゆる万能型の名探偵タイプ。 ただ恋愛という弱点もあり、そこが萌える。 分類でいえばアリバイものになるんだろうなあ。 そのトリックがヅラを使っての時間差だから、どうしても笑える(w 真相にいたるロジックはしっかりしてるんですけどね、 決め手がネタにマジレスとか、どうも締まらないんだな。 まあ、あのそっくりの異母兄が作り話なのは安心したけど。 演技力ありすぎですって(^^; せっかちな人はあそこで放りだしちゃうかもよってくらい。 しかし、ヘイ・フィーバー(花粉症)ってあんなにひどくなるものなのか? 巻末の解説に著作リストあり。 やたら力が入っていて、主要作品解題として寸評まであり。 すごいぞ。いつもそれくらいがんばれ。
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