横山 秀夫 (よこやま ひでお)
1957.1.17〜
東京生まれ。
東京都立向丘高等学校普通科、
国際商科大学(現・東京国際大学)商学部卒業。
その後、上毛新聞社に入社し、12年間、記者を勤める。
1991年「ルパンの消息」で第9回サントリーミステリー大賞佳作を受賞。
1998年「陰の季節」で第5回松本清張賞を受賞。
2000年「動機」で第53回日本推理作家協会賞・短編部門を受賞。
現代国内のミステリ警察小説の代表格。硬派。
TVドラマ化も相当数されているもよう。
1998「陰の季節」
警察一家の要となる人事担当の二渡真治は、 天下り先ポストに固執する大物OBの説得にあたる。 にべもなく撥ねつけられた二渡が周囲を探るうち、 ある未解決事件が浮かび上がってきた…。 「まったく新しい警察小説の誕生!」と選考委員の激賞を浴びた 第5回松本清張賞受賞作を表題作とするD県警シリーズ第1弾。
2002「動機」★★★☆☆
署内で一括保管される三十冊の警察手帳が紛失した。 犯人は内部か、外部か。 男たちの矜持がぶつかりあう表題作(第53回日本推理作家協会賞受賞作)ほか、 女子高生殺しの前科を持つ男が、 匿名の殺人依頼電話に苦悩する「逆転の夏」。 公判中の居眠りで失脚する裁判官を描いた「密室の人」など 珠玉の四篇を収録。 動機 署内で厳重に一括保管されていた警察手帳30冊が盗難された。 手帳の一括保管を提案した貝瀬警視は矢面に立たされ、 この事件を公表するまでの2日間で犯人を捜すが―― 年中四六時中、手帳を肌身離さず持ち歩くことへの 是非があるのはわかるなあ、重いよねえ。 なればこそ誇りにもなるんだろうけど、 "揺らぎ"を目の当たりにした貝瀬はね。 まんまと盗まれた側がまったく非難されないのはわからん。 逆転の夏 女子高生殺しの前科を持ち、服役を終えた山本のもとに 匿名で殺人依頼の電話がかかってきた。 最初は聞く耳を持たなかった彼だが、 自分と相手の境遇にやがて心が動きだし―― 加害者・被害者感情の隔たりが生むトラジェディ。 ネタ元 ローカル紙の女事件記者の特ダネ争奪戦。 著者の記者としての経験が活かされた一話。 密室の人 公判中に居眠りしてしまい窮地に陥る判事の物語。 お茶と睡眠薬が明白でこまる。ひねりも弱い。 居眠りひとつで築きあげてきた地位が崩壊するのもたいへんな職業ですね。 ラストはかっこいい。
2002「半落ち」
「妻を殺しました」。 現職警察官・梶聡一郎が、アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。 動機も経過も素直に明かす梶だが、 殺害から自首までの二日間の行動だけは頑として語ろうとしない。 梶が完全に“落ち”ないのはなぜなのか、 その胸に秘めている想いとは―。 日本中が震えた、ベストセラー作家の代表作。
2002「顔 FACE」
「だから女は使えねぇ!」 鑑識課長の一言に傷つきながら、 ひたむきに己の職務に忠実に立ち向かう似顔絵婦警・平野瑞穂。 瑞穂が描くのは、 犯罪者の心の闇。 追い詰めるのは「顔なき犯人」。 鮮やかなヒロインが活躍する異色のD県警シリーズ。
2003「クライマーズ・ハイ」
1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。 衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、 悠木和雅が全権デスクに任命される。 一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。 組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは―。 あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。
2003「第三の時効」
殺人事件の時効成立目前。 現場の刑事にも知らされず、 巧妙に仕組まれていた「第三の時効」とはいったい何か!? 刑事たちの生々しい葛藤と、逮捕への執念を鋭くえぐる表題作ほか、 全六篇の連作短篇集。 本格ミステリにして警察小説の最高峰との 呼び声も高い本作を貫くのは、硬質なエレガンス。 圧倒的な破壊力で、あぶり出されるのは、男たちの矜持だ―。 大人気、F県警強行犯シリーズ第一弾。
2003「真相」
犯人逮捕は事件の終わりではない。 そこから始まるもうひとつのドラマがある。 ──息子を殺された男が、犯人の自供によって知る息子の別の顔「真相」、 選挙に出馬した男の、絶対に当選しなければならない理由「18番ホール」など、 事件の奥に隠された個人対個人の物語を5編収録。 人間の心理・心情を鋭く描いた傑作短編集。
2004「看守眼」
『わかるんだよ。刑事にはわからなくてもな』 R県警の機関誌編集を担当する事務職員・山名悦子は、 定年退職者全員による回想手記の特集に、 ひとり分だけ原稿が手元にないことに気付く。 二十九年間、留置場の看守として警察人生を歩んできた F署の近藤宮男だけが原稿を寄越していないらしい。 すぐに悦子は近藤の自宅に向うが、「捜査」で外出しているという。 「穴蔵刑事が穴蔵から出てきちゃった」と近藤の妻は笑うのだが…… 死体無き殺人事件の「捜査」に、元看守は自らの勘に賭けた―― 表題作ほか、「人生の瞬間」を緊迫の筆致で描く、六編の人間ドラマ! これぞ横山ミステリーの醍醐味、新書判で登場!
2005「ルパンの消息」
「昭和」という時代が匂い立つ社会派ミステリーの傑作! 平成2年12月、警視庁にもたらされた一本のタレ込み情報。 15年前に自殺として処理された女性教師の墜落死は、実は殺人事件だった― しかも犯人は、教え子の男子高校生3人だという。時効まで24時間。 事件解明に総力を挙げる捜査陣は、 女性教師の死と絡み合う15年前の「ルパン作戦」に遡っていく。 「ルパン作戦」―3人のツッパリ高校生が決行した 破天荒な期末テスト奪取計画には、 時を超えた驚愕の結末が待っていた…。 昭和の日本を震撼させた「三億円事件」までをも取り込んだ 複眼的ミステリーは、まさに横山秀夫の原点。 人気絶頂の著者がデビュー前に書いた“幻の処女作”が、 15年の時を経て、ついにベールを脱いだ。 第9回サントリーミステリー大賞佳作。▼BACK▼ ▽TOP▽
2005「震度0」
阪神大震災のさなか、 700km離れたN県警本部の警務課長の不破義人が失踪した。 県警の事情に精通し、人望も厚い不破がなぜ姿を消したのか? 本部長の椎野勝巳をはじめ、椎野と敵対するキャリア組の冬木警務部長、 準キャリアの堀川警備部長、叩き上げの藤巻刑事部長など、 県警幹部の利害と思惑が錯綜する。 ホステス殺し、交通違反のもみ消し、 四年前の選挙違反事件なども絡まり、解決の糸口がなかなか掴めない……。