アルフレッド・ベスター (Alfred Bester)

1913.12.18~1987.9.30
ニューヨーク市マンハッタン生まれ。ユダヤ人。
1939年にスリリング・ワンダー誌のSFコンテストに入選した
短編「こわれた公理」でデビュー。賞金は50ドル。
1940年代半ばはコミックスブームに乗じ、SFから離れていたが、
1952年に長編「分解された男」をギャラクシィ誌に連載して復帰。
第1回ヒューゴー賞まで獲得した。
「ワイドスクリーン・バロック」と称される絢爛豪華な作風が特徴。
長編第2作で代表作の「虎よ、虎よ!」は高い評価をうけており、
現在もSFファンのベストテンに入るほどである。
    The Demolished Man
1952「分解された男」

人の心を透視する超感覚者の出現により、 犯罪の計画さえ不可能となった未来。 全太陽系を支配する一大産業王国の樹立を狙うベン・ライクは、 宿命のライバルを倒すため殺人行為に及ぶ。 だがニューヨーク警察本部の刑事部長パウエルが、 この大犯罪を前に立ち上がった。 超感覚者対ライクの虚々実々の攻防戦。第一回ヒューゴー賞に輝く傑作。 第一長編。
    Tiger! Tiger!
1956「虎よ、虎よ!」★★★★★

ジョウント効果と呼ばれるテレポーテーションの開発によって、 世界は大きく変貌した。一瞬のうちに空間を跳び、 人々はどこへでも、自由に行けるようになったのである。 しかしそれと同時に、このジョウント効果がもたらしたもの、 それは富と窃盗、収奪と劫略、怖るべき惑星間戦争でもあった。 この物情騒然たる25世紀を背景として 顔に異様な虎の刺青をされた野生の男ガリヴァー・フォイルの、 無限の時空をまたにかけた 絢爛たる〈ヴォーガ〉復讐の物語がここにはじまる……。 アメリカSF界きっての鬼才が、 前衛的な手法と華麗な筆致を駆使して見事に描きあげた不滅の名作! SF。 未来世界の太陽系を舞台にした、 野生児ガリヴァー・フォイルの復讐劇。 単純単一のSFテーマはなし。 ジョウント効果なる瞬間移動がまず目を引きますが、 世界観にひと役買う程度で、さほど重点はおかれずじまい。 (ジョウントは作中人物名で、偶然、最初に成功した博士) この能力のおかげで強奪なども盛んになった、そんな恐慌時代。 主人公ガリヴァー・フォイルはある難破宇宙船で漂流中、 宇宙船〈ヴォーガ〉が通りかかり、助けを求めるも、 フォイルは見捨てられてしまった……。 怒りに燃え、復讐を誓ったフォイルは難破船から 自力で脱出をこころみるが―― 序盤はこんな感じ。 その後の展開はめまぐるしいので、 説明したらキリないしバレるのでカットカット。 科学の緻密さは微妙な感じもしたけど、 迫力ある勢いで圧倒され、勝ち逃げされた印象(^^; 燃える男なんかは存在や、 作中に用いられるタイポグラフィの視覚効果が絶大ですね。必見。 なお、本編の題名は(作中冒頭に引用されている)、 ウィリアム・ブレイクの詩に由来します。
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