エリザベス・フェラーズ (Elizabeth Ferrars)

1907〜1995
ビルマのラングーン(現ミャンマー、ヤンゴン)生まれ。
ロンドン大学でジャーナリズムを専攻し、
本名のモーナ・マクタガート名義で
いくつかの普通小説を発表したのち、
1940年「その死者の名は」で、ミステリ作家としてデビュー。
トビーとジョージが活躍する「猿来たりなば」(1942)を始めとする
一連のシリーズは、国内外で好評を博した。
ドメスティックにユーモラスでトリッキーな味わいが特徴で、
その著作は70作を超える。
英国推理作家協会(CWA)の創設メンバーであり、
70年代後半にはCWAの会長も務めるなど、英国ミステリ界をリードした。
    Give Corpse a Bad Name
1940その死者の名は

その酔っぱらいは、道の真ん中で寝込んだところを轢かれたらしい。 だが、奇妙なことにこの男、 村のどの酒場にも寄った形跡がなく、酒壜も持ってはいなかった。 本当にただの事故なのか? 首を傾げる警察の前にしゃしゃり出たのは、 ご存じトビーとジョージの名コンビ。 本書は、二人の最初の事件であり、著者の輝かしいデビュー作でもある。 トビー&ジョージ・シリーズ第1弾。
    Remove the Bodies
1940細工は流々

「時々、殺したくなる」くらい無邪気なお人好しだったルー。 トビーは匿名の電話で、彼女が殺されたことを知り、 ジョージと共に現場となった屋敷へ向かった。 そこで見つかったのは、糸を使った奇妙な仕掛け。 どうやら推理小説のトリックを、 いろいろ熱心に練習している奴がいるらしい。 はたして、その正体は? そして、事件との関係は? トビー&ジョージ・シリーズ第2弾。
    Death in Botanist's Bay
1941自殺の殺人

嵐の夜、トビーたちは投身自殺を図った植物学者を取り押さえた。 しかし、結局彼は、翌朝死体となって発見される。 自殺と考えるのが自然だが、警察の捜査結果は他殺の可能性を示唆していた。 トビーは行きがかり上、相棒のジョージと共に、 事件に首を突っ込むのだが……。 果たして真相は、自殺に見せかけた他殺か、それともその逆なのか? トビー&ジョージ・シリーズ第3弾。
    Don't Monkey with Murder
1942猿来たりなば

イギリス南部ののどかな自然に囲まれた小さな村、イースト・リート。 トビーとジョージは連続誘拐未遂事件を解決するため、 このロンドンから遠く離れた片田舎まではるばるやってきたのだ。 だが、そこで二人を待ち受けていたのはなんと、 前代未聞の珍事件、チンパンジーの誘拐殺害事件であった! 英国ミステリ界の重鎮フェラーズの傑作本格。 トビー&ジョージ・シリーズ第4弾。
    Your Neck in a Noose (Neck in a Noose)
1942ひよこはなぜ道を渡る

旧友のジョンに請われ、彼の屋敷を訪れたトビー・ダイク。 屋敷の様子に不審を抱き、邸内に侵入したトビーの目に飛び込んできたのは、 書斎でこと切れている友の姿だった。 部屋には、弾痕や血痕に加え、争ったあともある。 だがその後判明したジョンの死因は、心臓発作による“自然死”だった……? 〈殺人なしの死体〉と〈死体なしの殺人〉をめぐる、切れ味鋭い本格推理。 名コンビ《トビー&ジョージ》最後の事件。 トビー&ジョージ・シリーズ第5弾(完結)
    I, Said the Fly
1945私が見たと蝿は言う★★★☆☆

ロンドンの安アパートは、女流画家のケイ、 評論家のテッドとその愛人メリッサ、建築家のチャーリーに、 作家志望のナオミなど一癖も二癖もある住人揃い。 ある日、フランスへ行くとアパートを出たナオミの部屋から ピストルが発見された。 みんなが不安を煽られたその矢先、ナオミ自身が射殺体でみつかり、 容疑者にされたアパートの住人たちはそれぞれ勝手に推理しだす… 二転三転する真相から目が離せないユーモラスな本格。 ミステリ。 スラムじみた喧騒の街にある安下宿屋「十号館」の床下から、 塵はたきにつつまれたピストルが発見された。 警察が調査すると、つい最近発生した射殺事件の凶器と判明。 さらにその被害者ナオミ・スミスは「十号館」の元住人だったのだ。 こうして「十号館」の住人はひとり残らず容疑者となり、 女流画家のケイ、ナオミのいた部屋に新しく越して来たパメラ、 評論家のテッド、その愛人メリッサ、建築技師チャーリー、 いかがわしい出入りの多いフラワー、 家主のリンガード、盗み聞き癖のある管理人のトヴィーなど、 一癖も二癖もある住人たちは好き勝手に推理をはじめるが……。 まあ、推理劇はそれぞれどうしても脆さがありますが やりとりがたのしいので退屈しません。 時代が戦争の狭間で、どうも暗い雰囲気につつまれているのに その風俗がかえってユーモアを惹きたてるからあなどれない。 情緒豊か、と表現したくなるふしぎ。 一人称風のギリギリの駆け引きもニヤリとさせられるし、 タイトルにも終わってみれば頭がさがる。おもしろい。 特に個人的に終盤の―― "チャーリーは舗道にいる。彼女の全身に安堵感があふれた。" ――の部分がいたく気に入っちゃったな。 プチ叙述ながら会心。欣快のいたり(´ー`)
    The Wandering Widows
1962さまよえる未亡人たち

ひさしぶりにスコットランド旅行へと出かけたロビンは、 せっかくの休暇に殺人事件に巻き込まれてしまう。 殺されたのは、旅先で知り合った個性的な有閑マダム四人組のひとり。 はたして、犯人は友人か、息子か、夫か、それとも……。 謎を解く鍵はいったいどこに? 絡まり合った謎が解けていく楽しみに、あざやかな解決が爽快な本格推理。
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