Dragon’s Egg
1980「竜の卵」★★★★☆
紀元前50万年に誕生した中性子星は、
いま刻々と太陽系に近づきつつあった。
そして2049年、探査宇宙船セント・ジョージ号は、
〈竜の卵〉と名づけられたこの中性子星の軌道に乗り、
観察を開始したが……
最新の科学理論を駆使して人類と中性子星人との
ファースト・コンタクトを描くハードSFファン待望の書!
ハードSF。ファースト・コンタクトもの。
2020年に地球の近くで発見された中性子星。
このパルサーは竜座のしっぽのそばに位置していたため、
〈竜の卵〉と命名される。
そして2049年、〈竜の卵〉を間近で探査するため宇宙船が飛びたち、
観測をはじめると、そこには人工的な建造物が見つかり――
ここで知的生物"チーラ"を人類ははじめて観察するわけです。
中性子星に生物を繁栄させる、って発想がプロの科学者だよなぁ。
よりによってそんな重く(670億G!)きびしい舞台にせんでも。
もちろん、地球との自然環境のちがいたるや、大山を越え。
チーラもまだ原始的で、狩猟や農業、宗教――政治を
学習したレベルなのですが……あんまりいうとネタバレがなぁ。
やはりチーラの進歩のさまが本編のキモだと思うし。
ともかく、人間との邂逅を経て両者の状況は劇的に変化します。
いきなり干渉しすぎじゃね?って気がしないでもないけど
ラストはなんともいえない複雑な昂揚を残し幕を閉じます。
が、巻末に「専門的補遺」ってのがあって、
作中の科学ギミックやガジェットをただ解説するかと思いきや、
それ自体が作品の一部になっているというサプザイズ。
(不必要っぽいけど、いちおう、伏せとく)
これも作家より科学者の経験がなしえる業ですな。
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