ロバート・L・フォワード (Robert Lull Forward)

1932.8.15〜2002.9.21
アメリカ生まれ。
1965年、メリーランド大学で博士号を取得。重力工学を専攻。
ヒューズ航空研究所に勤務していた物理学者。
「フォワード質量探知機」と呼ばれる航空機搭載用異常重力探知機を発明。
一般向けの解説を多種の雑誌に発表し、
C・クラークやニーヴンなどのSF作家にアイデアを提供したりアドバイスしたりも。
やがて、1980年代になってみずからもSFの創作を開始。
処女長編「竜の卵」が代表作。
    Dragon’s Egg
1980「竜の卵」★★★★
紀元前50万年に誕生した中性子星は、 いま刻々と太陽系に近づきつつあった。 そして2049年、探査宇宙船セント・ジョージ号は、 〈竜の卵〉と名づけられたこの中性子星の軌道に乗り、 観察を開始したが…… 最新の科学理論を駆使して人類と中性子星人との ファースト・コンタクトを描くハードSFファン待望の書! ハードSF。ファースト・コンタクトもの。 2020年に地球の近くで発見された中性子星(パルサー)。 このパルサーは竜座のしっぽのそばに位置していたため、 〈竜の卵〉と命名される。 そして2049年、〈竜の卵〉を間近で探査するため宇宙船が飛びたち、 観測をはじめると、そこには人工的な建造物が見つかり―― ここで知的生物"チーラ"を人類ははじめて観察するわけです。 中性子星に生物を繁栄させる、って発想がプロの科学者だよなぁ。 よりによってそんな重く(670億G!)きびしい舞台にせんでも。 もちろん、地球との自然環境のちがいたるや、大山を越え。 チーラもまだ原始的で、狩猟や農業、宗教――政治を 学習したレベルなのですが……あんまりいうとネタバレがなぁ。 やはりチーラの進歩のさまが本編のキモだと思うし。 ともかく、人間との邂逅を経て両者の状況は劇的に変化します。 いきなり干渉しすぎじゃね?って気がしないでもないけど ラストはなんともいえない複雑な昂揚を残し幕を閉じます。 が、巻末に「専門的補遺」ってのがあって、 作中の科学ギミックやガジェットをただ解説するかと思いきや、 それ自体が作品の一部になっているというサプザイズ。 (不必要っぽいけど、いちおう、伏せとく) これも作家より科学者の経験がなしえる業ですな。
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