Martians, Go Home
1955「火星人ゴーホーム」★★★★☆
カリフォルニア州の砂漠の中の一軒家で、
SF小説の原稿に苦吟していた小説家ルーク・デヴァルウは、
世にも不思議な体験をした。
突然、奇妙な緑色の小人が訪ねてきたのである。
「やあ、マック」と小人はなれなれしく彼に話しかけた。
「ここは地球だろ?」驚いて口もきけない彼に、
小人はおりから夜空にのぼっていた月を指さし、
「月が一つしかないもんな。ぼくんとこには二つある」
太陽系内で月を二つもっている惑星といえば、ただ一つ……
するとこの小人は、火星人なのだ!
痛烈な諷刺と軽妙なユーモアにかけてはならぶものなき
奇才ブラウンの古典的名作、ついに登場!
SF。
SF作家ルーク・デヴァルウは大スランプに陥っていた。
人里離れた小屋で新作の構想を練っていた彼の前に、
とつじょ緑色のこびとがあらわれ、話しかけてきた。
なれなれしく、礼儀しらずのソレは火星人らしいのだ!
だが、ソレは彼のもとだけではなく、
地球上の各地に、大量に出現していた――
と、前半はファーストコンタクトとパニック小説。
この火星人がとにかくヒドい(w
地球の公序良俗なんて道理は皆無。
人間のいやがることが大好きで、
あちこちにワープしてはいやがらせをくり返します。
83ページからのこきおろしが圧巻だったな。
表紙のにくたらしい顔もデザインがうまいなあと。
後半はおおきく流れが変わって、
唯我・独知・認識論などに移行し――と、
ネタバレになるからこれはあまりつっこむまい。
サイエンス面はグダグダだけれど
フィクション面は古典的名作に異論なしなので
基本としておさえておきたい一品です。
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