ロバート・A・ハインライン (Robert Anson Heinlein)

1907.7.7〜1988.5.8
ミズーリ州で生まれ。
1939年4月、4日間で書き上げた処女作「生命線」を
アスタウンディング誌に送りデビュー。
「宇宙の戦士」「太陽系帝国の危機(ダブル・スター)」
「異星の客」「月は無慈悲な夜の女王」でヒューゴー賞を計4回受賞。
世界SF界のビッグスリーの一角。
別名義:アンソン・マクドナルド

超参考
    Double Star
1956「太陽系帝国の危機」

そもそも一杯の酒につられて 素性の知れぬ男の話なんかに耳を傾けたのが間違いだった。 失業俳優ロレンゾが引き受けた仕事は、 行方不明中の偉大なる政治家の替え玉役。 やっつけ仕事のはずだったのに、 いつのまにやら太陽系帝国の運命までも担うはめになろうとは。 プライド高き三文役者の一世一代の大芝居、 八面六臂の大活躍。ヒューゴー賞受賞作。 (別題:ダブル・スター)
    The Door into Summer
1957「夏への扉」★★★★

ぼくの飼っている猫のピートは、 冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。 家にたくさんあるドアのどれかが夏に通じていると信じているのだ。 1970年12月3日、このぼくもまた夏への扉を探していた。 最愛の恋人には裏切られ、仕事は取りあげられ、 生命から二番目に大切な発明さえ騙しとられてしまったぼくの心は、 12月の空同様に凍てついていたのだ! そんなぼくの心を冷凍睡眠保険がとらえたのだが…… 緊密な物語構成と深い思索性にかけては 右にでる者のない米SF界最大の巨匠が打ちたてた時間テーマの金字塔! SF。題材は冷凍睡眠(コールドスリープ)。 発明家で技術者の三十男ダニエル・ブーン・ディヴィスは 恋人と親友にそむかれ、会社や特許などなにもかも失ったあげく 冷凍睡眠で30年間の眠りにつかされてしまう……。 未来で目覚めた彼はいくつかの不可解な点(パラドクス)の真相をつきとめるため タイムマシンで再び過去にもどったが―― 入門書のイメージが強いのに、よもやこれほどたのしいとは(;´Д`) 主人公が裏切られる場面ではこっちもはらわたが煮えくり返り、 逆襲に乗り込んでいった対決の場面ではすさまじくスカっとし、 さらに愛猫ピートの活躍にはやんやの拍手喝采! たしかにSF方面はたぶんにご都合主義的だし、 単純な伏線に予想通りのハッピーエンドはややもの足りないものの、 この爽快さは古典名作にはじない完成度といえましょう。 愛猫家にも自信を持って推奨できます(^^) 1957年に描かれた1970年と2000年の水準はまだ遠い(w
    Starship Troopers
1959「宇宙の戦士」★★★★
宇宙艦〈ロジャー・ヤング〉号から発射された宇宙カプセルはいま、 地球をうかがう敵惑星の地表めがけ暗黒の中を自由落下していく。 勝利か降伏か、地球の運命は一に彼ら機動歩兵の活躍にかかっていた! 戦争肯定的な内容で、ベトナム戦下の米国に 一大センセーションをまきおこした問題作。 軍事SF。 なんていうか、パトリオティズムに根ざした 作者の右ストレートをくらう小説です(w 訳者さんは(長い)後記で、 未来宇宙戦記に託したモラル書、と表現。 うん、こりゃその方面の哲学がメインですね。 ファシズムの溢流に嫌悪する人も多いみたい。 ストーリーは高校卒業をひかえた無色の少年が なんとなしに地球連邦軍の志願兵となり、 地獄のような訓練生活を体験しつつ成長していくというもの。 すがたがクモに似た(性質・習性はアリに近い)他種族との 戦争シーンもあるけど、はっきりいっておまけていど。 賛否があるのはわかるけど、 私のようなぬるい人間は読んでて新鮮でしたよ。 一方、大人なひとには向かないのかなぁという印象。 しかしこういったものをよく正面切って描けたよね、巨匠が。
    Stranger in the Strange Land
1961「異星の客」

宇宙船ヴィクトリア号が連れ帰った“火星からきた男”は、 第1次火星探検船で生まれ、火星に生き残った唯一の地球人だった。 この宇宙の孤児をめぐってまき起こる波瀾のかずかず。 円熟の境にはいったハインラインが、その思想と世界観をそそぎこみ、 全米のヒッピーたちの聖典として話題をまいた問題作。
    The Moon Is a Harsh Mistress
1966「月は無慈悲な夜の女王」★★★★★ 

2076年―― 苛酷な自然条件と月世界行政府の圧政のもとに、 流刑地として、資源豊かな植民地として 地球政府に巨大な富をもたらしていた月世界の住民は、 月を管理する巨大コンピューター〈マイク〉を味方にひきいれ、 ついに独立戦争を開始した。最高のストーリイ・テラーが放つ問題長篇! 革命もの。 流刑地となった月面で繁栄してきた月世界市の住民たち。 彼らは地球連邦政府の圧政に苦しみ、反発は増すばかり。 そんななか、月世界を管理する巨大コンピュータ〈マイク〉に 自我が芽生えたのをコンピュータ技術者マニーが発見。 "ふたり"は親睦を深め、やがて革命戦争の急先鋒に。 ミサイルのひとつも保有していない月世界人に勝機はあるのか? おお、読み終わってため息がとまらないですよ。 不満ではなく、大満足の余韻で。 人工知能、政治、組織、革命、戦争、人間……。 どこを取っても抜かりなしの筆力に震えが来るね。 月への流刑は重力の問題から事実上の終身刑なんですね。 刑期を終えれば地球に戻る権利はあるけど身体への負担が大きすぎる。 で、月に留まって生活を営み、生粋の月世界人が誕生してくると。 (犯罪者ゆえ人口は男が多く、女性は少数で崇められている) そういった人々は地球側の植民地にされる現実に納得がいかず、 不満がくすぶり続け、革命ののろしにつながる感じ。 どの方面のプロセスもしっかり描きこまれていて これが文豪というものかと賛美したくなる一作。マイク最高!
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