アイラ・レヴィン (Ira Levin)

1929〜
ニューヨーク生まれ。
23歳で書いた処女作「死の接吻」で、1954年度MWA新人賞を受賞。
が、2作目「ローズマリーの赤ちゃん」の発表まで14年かかるなど
かなりの寡作家。そのせいかクオリティは高い。
戯曲や映画のシナリオも手がけています。

余談。
アイラ=ローズマリーの赤ちゃん=ホラー=クールな女流作家
のイメージがあったのですが、カバーの作者近影に
おひげモッサモサの濃ゆいおっさんが写っていてひっくりかえった。
    A Kiss Before Dying
1953「死の接吻」★★★★
二人は学生同士の恋人だった。 女は妊娠しており、男は結婚を迫られていた。 彼女をなんとかしなければならない。 おれには野心があるのだ―― 冷酷非情のアプレゲール青年の練りあげた戦慄すべき完全犯罪。 当時弱冠二十三歳の天才作家の手になる恐るべき傑作! アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀処女長篇賞受賞作。 貧しいが容姿と頭脳に恵まれ、名声欲の強い"彼"は、 財閥の令嬢ドロシイを籠絡し、人目を避け付きあっていた。 そんな折、彼女が妊娠をして結婚を迫ってきた。 もし彼女の厳格な父にこのことが知れたら、 結婚しても財産は手に入らず、 結婚しなくても"彼"の将来はその圧力に閉ざされてしまう。 そこで彼女を自殺に見せかけ殺害することを決意するが―― ここまでが3部構成の第1部。 倒叙ものっぽいけど、"彼"の名前は出てこないんですよ。 第2部ではドロシイの姉エレンが妹の自殺に疑惑を抱き、 素人探偵よろしく出馬することに。 読者も"彼(犯人)"が不明だからとにかく無気味なんですよね。 第3部では長姉マリオンも物語に絡み……。 ミステリもさることながら、サスペンス・スリラーとしても白眉。 バウチャーも手ばなしで絶賛するってなもんです。
    Rosemary's Baby
1967「ローズマリーの赤ちゃん」★★★★

おぞましい悪夢にうなされた夜、ローズマリーは身ごもった。 そのときから、彼女の平穏な日々は奇怪な様相を呈し始める。 しきりに襲う腹部の異常な激痛と生肉への執着、 そして医師や隣人や夫の不審な言動。 そのうえ、彼女に何かを知らせようとした友人は怪死を遂げた。 だがそれさえも彼女に迫り来る恐怖のほんの序章にすぎなかったのだ! サスペンスの鬼才が大都会に住む現代人の 狂気と孤独を描いたモダンホラーの金字塔 モダンホラー。 友人ハッチの警告に耳を貸さず、 いわくある古雅なマンションに引っ越してきたローズマリーと夫のガイ。 とくにトラブルもなく静穏に暮らしていたが、 赤ちゃんを設けようとした夜、 黒魔術の宗教儀式めいた悪夢がローズマリーをおそった。 そうして妊ったローズマリーは腹部の激痛にさいなまれ、 ハッチに相談するが、彼は突然 昏睡し、絶命してしまう。 彼が遺した一冊の書籍を元に、ある疑惑が形を成してくる―― 悪魔崇拝(サタニズム)の影が……。 ……ああ、こわかった。ただそれだけ。 べつに超常現象やら殺人鬼やらがあるわけでもなく、 平凡な日常が過ぎるだけなのに、 微妙にあやしい登場人物たちのふるまいが 妙に気にかかってね、これが邪推なのかどうかもあやふやで 真綿で首を絞められてるようなこのプレッシャー。 妊婦のパラノイアなのか、それとも現実なのか、 惑わせたあげくにあのラストの形相――真相、 そしてローズマリーの反応!ごついわあ。 あと、日本人のあつかいがおいしすぎる(w; 続編として「ローズマリーの息子」(1997)もあります。 ぜひ読もうと思ったけど、 アマゾン的に評判がかんばしくないのでスルーかな><
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