The Red Scream
1994「処刑前夜」★★★★☆
テキサスの岩山とコロラドの清流を背景に聳えるマクファーランド邸。
だがこの豪邸は呪われていた。
前妻の死に続く二度めの妻と住込みの青年の変死。
犯人と思われた男が逮捕されてからも奇怪な事件は続く、
真犯人は他にいたのか。
犯罪記者モリーの決死の努力にも拘らず犯人処刑の時は刻々と迫ってきた。
モリー・ケイツ・シリーズ第1弾。
11年前、"剃髪魔"とおそれられた連続殺人犯ルイ・ブロンク。
彼の死刑執行の日が一週間後にせまっていた。
犯罪ライターのモリー・ケイツは最近ブロンクの犯罪実話を出版しており、
評判、売れ行きともに好調だった。
しかし、彼女のもとに脅迫状めいた詩の手紙が舞いこみ歯車は狂いだす。
ブロンクが自身の死刑を決定づけた富豪の妻タイニー殺しを否認したのだ。
さらに富豪の関係者がつぎつぎに殺害され……。
モリーはブロンクの犯罪を再調査するのだが――
ミステリ。
処刑をタイムリミットにしたタイプはけっこうあるけど、
本書はもしブロンクの妻殺しがえん罪だとしても、
ほかになんにんも殺してるので死刑に変わりはないというもの。
それに附随する死刑制度の是非も考え深いものがありますね。
難点は犯人を特定、断定する伏線が張られていないところ。
整合性はしっかりとれているけど、フーダニットにはもう一歩。
キャラクターがみんなあやしげでね、このへんはレベル高いんですが。
モリー・ケイツも興味深いですよ。一言でいえば故障してます。
原因は作中で明かされるから触れない。
彼女は中年で娘がひとりいて、なんどか離婚歴があり、いまは独身。
犯罪を追う姿勢は殺人魔ブロンクをも動かすほどです。
彼女の今後の変化も見どころになるでしょう。
原題「赤い叫び」は死刑囚が刑執行を目前にあげる断末魔の叫びのこと。
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