クレイグ・ライス (Craig Rice)

1908〜1957
イリノイ州シカゴ生まれ。
幼少期に両親が離婚し、叔父叔母のもとで育てられる。
若くから社会進出し、記者やライターの経験と結婚・離婚を重ね、
1939年「時計は三時に止まる」でデビュー。
酔いどれ探偵J・J・マローン刑事弁護士を世に送りだす。
この頃から命取りとなるアルコール依存症にかかっており(享年49)、
その一方で明るくユーモラスな作風でその地位を築きあげ、多くの人々を心酔させた。

本名:Georgiana Ann Randolph
別名義:マイケル・ヴェニング,ジプシー・ローズ・リー,
     ダフネ・サンダース,ジョージ・サンダース,ルース・マローン
    8 Faces at 3
1939時計は三時に止まる

ジェイクは半ば呆れていた。 今日はディックが駆け落ちをやらかす日。だが肝心の相手が姿を見せない。 やむなく先方を訪ねてみれば屋敷は警官だらけ、 おまけに彼女は殺人容疑で逮捕されたという。 陳述が凄かった。事件のあった午前三時に、時計がいっせいに止まった? 頭を抱えたジェイクは旧友のマローンに弁護を依頼するが…。 ユーモア・ミステリの名シリーズ、ここに開幕! J・J・マローン・シリーズ第1弾。デビュー作。
    The Wrong Murder
1940大はずれ殺人事件★★★☆☆

ようやくのおもいでジェークがヘレンと結婚したパーティの席上、 社交界の花形、モーナが "絶対つかまらない方法で人を殺してみせる"と公言した。 よせばいいのにジェークはその賭けにのった―― なにしろ、彼女が失敗したらナイト・クラブがそっくり手に入るのだ! そして翌日、群集の中で一人の男が殺された…… 弁護士ジョン・J・マローンと ジェーク、ヘレンのトリオが織りなす第一級のユーモア・ミステリ。 J・J・マローン・シリーズ第3弾。 はじまりはジェークとヘレンの結婚パーティ中、 常にシカゴ社交界をにぎやかせていたモーナの一言。 だれかを殺したらどんな気持ちか、近いうちに実験し、 公共の道路上で白昼堂々、人に惜しまれない人物を射殺し、 無差別ではなくきちんと動機もあり、 警察に捕まらずにすませてみせる、と大胆にも公言したのだ。 ジェークの疑わしげな態度をみたモーナは 自分が殺人をし、彼がしっぽをつかめるかどうかの賭けを提案。 彼が勝てば大繁盛のナイト・クラブ〈カジノ〉をゆずるという! 新郎でありながら失業中で肩身の狭い彼はすぐにこの話にとびついた。 はたして翌日、クリスマスシーズンで大混雑している通りで、 モーナの宣言した状況の射殺事件が発生した。犯人は彼女なのか? ジェークはヘレンとマローンを巻きこみしっぽを追いもとめるが―― ファースですねえ。 ヘレンの暴走運転に負けずおとらずのスピード展開。 パーティから事件落着までほぼ不眠不休のドタバタ騒ぎ。 ミステリのレベルは標準ながら、 あいまあいまのボケはずぬけています。 (ヘレンのパパが好きだなぁ、従僕もw) アルコールの匂いただよう狂騒にお立会いあれ。 お気に召したら姉妹編の「大あたり」もぜひ。
    The Right Murder
1941大あたり殺人事件★★★☆☆

『大はずれ殺人事件』で見当違いの殺人を探り当ててしまった ジェークとヘレンは、新婚旅行でバーミュダへ。 一方、残されたマローンは大晦日だというのに、 酒場で独りグラスを重ねるだけ…… そんな時ドアを開けて入ってきた一人の男は、 マローンの名をつぶやくと床にくずおれ息絶えてしまった。 果たしてこれこそが、社交界の花形モーナが予告した殺人なのか? 洒落た笑いを誘うユーモア本格ミステリの傑作。 J・J・マローン・シリーズ第4弾。 新年まであと数分の大晦日。 ジェークとヘレンが新婚旅行で不在、 マローンはひとりさびしくバーでちびちびめそめそ酒をなめていた。 そこにふらふら現われたひとりの男は マローンの名を口にしながら崩れおち、絶命した。 刺殺されたらしい。 まったく見覚えのないこの人物に困惑するマローン。 一方、ジェークとヘレンは旅先でけんか別れ。 またしても"あの賭け"が一同の頭によぎり、 各自の思惑とともに事件を追及することになるのだが―― 「大はずれ」が未読ならスルーしましょう。 ライスの物語はなし崩し的でごちゃごちゃ思えるんだな。 今回のおなじ名前のなぞの人物(それも死人らしい!)が わらわら出てくるのなんて悲鳴があがるぜ。 飲んでばかりなのもシーンのメリハリが弱まるというか(^^; 台詞回しも笑えるし楽しいんだけど、 たとえば本書冒頭でマローンは死者をしらないといってるのに フラナガン警部(こいつおもしれえなあw)がてんで信用せず、 何度もおなじやり取りをしたりと無駄も多いのね。 それでも、まあ、いいんだけどさ、なんか元気をもらえる感じがするし。 "賭け"の決着もうまいわね(^^)
    Home Sweet Homicide
1944スイート・ホーム殺人事件★★★★
お隣の奥さんが殺された時、 カーステアズ家の三人の子供が考えたのはママのことだった。 もしも女流推理作家であるママが犯人をつかまえれば、 有名になって小説も売れるにちがいない! ところが肝心のママは新作にかかりっきり、 かくして子供達の活躍が始まったのだが……! ユーモアで味つけした本格推理小説 推理作家マリアン・カーステアズは夫を病で亡くし、 3人の姉弟を女手一つでいそがしく育てていた。 そんな日常のさなか、子どもたち―― 長女ダイナ14歳、次女エープリル12歳、長男アーチー10歳 ――が玄関脇のベランダでくつろいでいると、 とつぜん2発の銃声がひびきわたった! 発生源は隣の家らしい。おっかなびっくりしながらも ようすを見にいった3人はその家の夫人が殺されたとしる。 そこで3人はこう考えた。 この事件をママが解決し犯人を見つければ、 有名になって売り上げが伸び、楽できるにちがいない! しかしママは新作のタイプに夢中で事件にまったく無関心。 しかたなく子どもたちだけで調査をはじめるが―― ユーモアミステリ。 ……やたら癒された。 子どもたちのマセていて したたかな探偵もたのしいし、 ママと担当警部のキューピットになろうと工作したりと 家族を想うきずなも心あったまるわあ。 できすぎの観もあるけど、いいもんはいい。 探偵役が子どもたちとはいえジュブナイルでもありませんし、 おとなたち――マリアンの秘密や、 九人の子どもを手塩にかけた巡査部長など――も しっかり威厳をキープしてるあたり感心です。 この作品、人物モデルは作者自身とされています。 本書の献呈の辞も子どもたちに向けられてますし。 (母の日のプレゼントは自己批判のようにも^^;)
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