フランツ・カフカ (Franz Kafka)

1883.7.3〜1924.6.3
チェコスロバキア(オーストリア=ハンガリー帝国領当時の)プラハ生まれ。
ユダヤ人の商家に生を受ける。
プラハ大学で法学を修めた後、
肺結核で夭折するまで実直に勤めた労働災害保険協会での日々は、
官僚機構の冷酷奇怪な幻像を生む土壌となる。
生前発表された『変身』、死後注目を集めることになる『審判』『城』等、
人間存在の不条理を異常な事件にからませて写実的文体で描いた。
実存主義文学の先駆者。作品はドイツ語で書いた。
咽頭結核のため、41歳の若さで死去。
2001年、フランツ・カフカ賞が創設される。

超参考
    Der Verschollen
1912失踪者

『審判』『城』とともに「孤独の三部作」と呼ばれる連作の第一巻。 従来『アメリカ』という表題で知られていた作品だが、 本コレクションでは、カフカ自身の命名によるタイトルに戻されている。 主人公カール・ロスマン青年が アメリカ社会を遍歴したあげく、大陸の一点で失踪する。
    Die Verwandlung
1912変身★★★★★

ある朝、気がかりな夢から目をさますと、 自分が一匹の巨大な虫に変わっているのを発見する男グレーゴル・ザムザ。 なぜ、こんな異常な事態になってしまったのか……。 謎は究明されぬまま、ふだんと変わらない、ありふれた日常がすぎていく。 事実のみを冷静につたえる、まるでレポートのような文体が 読者に与えた衝撃は、様ざまな解釈を呼び起こした。 海外文学最高傑作のひとつ。 ある日の朝、目を覚ました外交販売員のグレーゴル・ザムザは 巨大なムカデのような虫のすがたに変身していた。 出勤も外出もできず部屋に閉じこもる日々。 同居する両親と妹は途方にくれるばかり。 異様な物語の結末とは―― 解説にいくつか解釈が出てるけど、いまいちピンときません。 作者本人が不完全な失敗作と匂わせているのもこまる。 変身が物理的なものだろうが精神的なものだろうが、 きっかり整合性を引きだすのは無理なんじゃないかな。 テーマが"息子たち"なら メタモルフォーゼはキリスト的なもの、って見方は好き。 おんぶにだっこの家族が彼の自己犠牲で復活してるので。 単純に引きこもりや寝たきりの諷刺ってのもリアル。 ああだこうだメタファを考えるのを抜きにしてもおもしろい作品です。 (たのしげに壁や天井を這いまわるとかすてき) 新潮は表紙を "両親と妹が明るい部屋にいて、暗い隣室へのドアが開いているところ" にするぐらいのはからいはすべき。 ちなみに、妹に萌えてると痛い目に遭いますよ(w
    Der Process
1914審判

Kについてはごく平凡なサラリーマンとしか説明のしようがない。 なぜ裁判に巻きこまれることになったのか、 何の裁判かも彼には全く訳がわからない。 そして次第に彼はどうしようもない窮地に追いこまれてゆく。 全体をおおう得体の知れない不安。 カフカはこの作品によって現代人の 孤独と不安と絶望の形而上学を提示したものと言えよう。
    Das Schloss
1922

測量師のKは深い雪の中に横たわる村に到着するが、 仕事を依頼された城の伯爵家からは何の連絡もない。 村での生活が始まると、村長に翻弄されたり、 正体不明の助手をつけられたり、 はては宿屋の酒場で働く女性と同棲する羽目に陥る。 しかし、神秘的な“城”は 外来者Kに対して永遠にその門を開こうとしない……。 職業が人間の唯一の存在形式となった現代人の疎外された姿を抉り出す。
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