サミュエル・R・ディレイニー (Samuel Ray Delany, Jr.)

1942.4.1〜
ニューヨークのハーレム生まれ。
ダールトン・エレメンタリー・スクールで学び、
ブロンクス・ハイスクール・オブ・サイエンスで数学を専攻し、
在学中(17歳)に書いた処女長編小説で、ブレッドローフ作家会議の奨学金を獲得。
翌年、「セブティーン」誌に作品が掲載され、
さらに翌年、処女SF小説「アプターの宝石」を
のちに妻となるマリリンの薦めによりエース・ブックスに投稿、
1962年に出版され、SF作家としてデビュー。
その妻、マリリン・ハッカーは詩人として活躍。

1966年「バベル‐17」でネビュラ賞(長編部門)受賞。
1967年「アインシュタイン交点」でネビュラ賞(長編部門)受賞。
1967年「然りそしてゴモラ」でネビュラ賞(短編部門) 受賞。
1969年「時は準宝石の螺旋のように」でネビュラ賞(中短編部門)、
1970年、ヒューゴー賞(短編部門)をW受賞。
1989年「The Motion of Light in Water」でヒューゴー賞(ノンフィクション部門)を受賞。
    Babel-17
1966バベル-17★★★★
戦いのさなか、同盟軍の支配圏内で インベーダーの大規模な破壊活動が行われる時、 きまって発信源不明の謎の通信〈バベル−17〉が傍受された。 その解読にあたるのは全銀河にあまねく知られる美貌の詩人リドラ・ウォン。 天才的な言語感覚で〈バベル−17〉が単なる暗号ではなく、 ひとつの宇宙言語であることをつきとめた彼女は、 自ら宇宙船ランボー号を駆って、次の敵の攻撃目標へと向った……。 だが恐るべし! そのときすでに、インベーダーの黒い魔手が船内に忍び寄っていたのだ! 1966年度ネビュラ最優秀長篇賞受賞の栄誉に輝く、 ニュー・スペース・オペラの決定版! 言語SF。舞台は遠い未来。 銀河を二分する宇宙戦争が起こっていた。 そのさなか、同盟軍側で侵略者側の破壊活動が行われるたび、 発信源が不明の謎の通信"バベル-17"が傍受されていた。 同盟軍の暗号部はこれを解析しようとするが困難を極め、 全銀河で愛読されている詩人リドラ・ウォンに解明を依頼する。 この仕事にとりかかったリドラは "バベル-17"が暗号ではなく高次の言語であると確信。 次の攻撃目標の惑星を予測した彼女は乗組員を探し集め、 宇宙船で飛びたつが、すでに船内にスパイの影が―― この完全言語、神の言語のテーマは まれに見かけますが、やはりいいですよねぇ。 言語学やそれにまつわる小話、 肉体整形や霊体人といったガジェット、 ヒロインのリドラたんのキャラクターもナイス。 ただ、スペース・オペラとしてはスケールがいまいちかも。 後半では記憶喪失の罪人―― "わたし"や"あなた"の概念を亡失している――との出会い、 "バベル-17"との関連や意識の融合など興味深い展開に。 さて、われら人類もいつの時代か 完全な言語を発明できるのでしょうかねー。 脳内通信はともかく、高度な翻訳機でごまかし続けてそうでいや。
    The Einstein Intersection
1967アインシュタイン交点

遠未来の地球。 人類はいずこへか消え失せ、 代わりに住みついた異星生物が懸命に文明を再建しようとしていた。 ロービーは人の心を音楽で奏でることができる不思議な青年。 恋人の死を契機に旅に出た彼は古代のコンピュータ、 ドラゴン使い、海から来た暗殺者など様々な存在との出会いを経て、 世界の大いなる謎を解き明かしてゆく… 幾層ものメタファーやシンボルを重ねて華麗な神話宇宙を構築し、 ネビュラ賞に輝く幻の名作。
    Nova
1968ノヴァ

時は32世紀。 プレアデス連邦の権力者ローク・フォン・レイは、 仇敵プリンス・レッドを破滅の淵に追いこむべく、 途方もない冒険に乗りだした。 希少な超エネルギー資源イリュリオンを 短時間に大量に採取しようというのだ。 だが銀河広しといえど、それが可能な場所はただひとつ―― 大爆発をおこしノヴァになる瞬間の恒星の中心部だけだった! 華麗な神話的宇宙を織りあげ、 現代SFの頂点をきわめたディレイニーの最高傑作。
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