ビル・S・バリンジャー (Bill Sanborn Ballinger)

1912〜1980.3.23
アイオワ州生まれ。
セント・ジェイムズ、シャタック・ミイタリー、ウィスコンシン大学卒。
ノーザン・カレッジ(フィリピン)の学位もあるとか。
住・職を転々としながら寄稿をくりかえし、
ラジオやテレビ、映画の台本・脚本などにも手を染め、
1948年「The Body in the Bed」で出版デビュー。
シカゴの私立探偵バー・ブリードを登場させた。
1949年、2作目の「The Body Beautiful」にも登場するがこれが最後。
1950年、3作目の「煙で描いた肖像画」が出世作。
一作ごとに趣向を凝らしたサスペンスが売り。

別名義:B・X・サンボン , フレデリック・フリア
    Portrait in Smoke
1950「煙で描いた肖像画」

古い資料の中から出てきた新聞の切り抜き。 それは、ダニーの記憶を刺激した。 そこに写っていたのは、十年前に出会った初恋の少女だったのだ。 彼女は今どうしているのだろう? ダニーは彼女の消息を追ってみようと思い立つ。 青年の物語と交互に語られていくのは、ある悪女の物語。 サスペンスの魔術師、バリンジャーの代表作がついに登場。
    Rafferty
1953「美しき罠」

第二次大戦後しばらくして、ニューヨークに帰郷した 「僕」が目にしたのは、旧友についての信じがたい新聞記事だった。 エメット・ラファティ--あの魅力的な刑事が、 なぜこんなひどいドラブルに巻き込まれてしまったのか。 彼の順風満帆だった人生は、 あるショウガールと出会ったことから突如狂い始めた……。 元ジャーナリストの「ぼく」が 関係者から集めた断片的な情報を組み合わせて、 記事の裏にある真相を再構築した狂おしくも哀しい愛のかたち。 バリンジャーならではの技巧が冴え渡る トリッキーなクライム・ノヴェル、ついに邦訳なる!
    The Tooth and the Nail
1955「歯と爪」★★★★
彼の名はリュウ。生前、彼は奇術師だった。 フーディニやサーストンすら試みなかったような一大奇術をやってのけた。 まず第一に、ある殺人犯人に対して復讐をなしとげた。 第二に自分も殺人を犯した。 そして第三に彼は、その謀略工作のなかで自分も殺されたのである―― 奇才バリンジャーが仕掛ける驚くべき前代未聞の大トリック。 サスペンスミステリ。 文庫で300ページ程度と短い長編ですが、 230ページ辺りから袋綴じになっているのが特徴。 ここを破らずに出版社へ送ると返金してくれるというシステム。 これは原書で試みられた趣向で、邦訳版でも実施したと。 意外な結末への自信がうかがえますね。 じっさい、トリックのみならず、全体の完成度はなかなかのもの。 作中構成は二重になっていて、 奇術師の主人公リュウ・マウンテンの復讐劇と 死体なき殺人事件の法廷シーンが交互に展開されます。 リュウの犯人探しの探偵と、 罪体不在の法廷はとてもていねいな描写でグッド。 ただリュウの最後の判断は妙っちゃ妙。 犯人の犯罪を立証するのは不可能でもあるまいに。 法に裁きをゆだねるならフツーでいいんじゃね?と。 それともあの犯人本人も解せない罪を与えてこその復讐なのかな。
    The Wife of the Red-Haired Man
1956「赤毛の男の妻」

殺人を犯して妻とともにアメリカじゅうを逃げ回る脱獄囚、赤毛の男。 そして二人の逮捕を命じられたNY第十九管区の刑事。 この追う者と追われる者の息づまる攻防は、 そのまま複雑なアメリカ社会に苦悶する人間の縮図である。 一見単純な構成の中に秘められた最終ページの恐るべき感動! 独創的なプロットが光る名手の真骨頂。
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