ダン・シモンズ (Dan Simmons)

1948.4.4〜
イリノイ州ピオリア生まれ。
ウォバッシュ大学、ワシントン大学大学院を経て、
教鞭をとりながらこつこつ創作をはじめ、
トワイライト・ゾーン誌のコンテストで
一席に入選した短篇「黄泉の川が逆流する」でデビュー。
1985年、処女長篇「カーリーの歌」で世界幻想文学大賞を受賞、
その後も精力的に作品を発表しつづける現代の巨人。
代表作は"ハイペリオン四部作"。

1990年「ハイペリオン」でヒューゴー賞、ローカス賞受賞、
1995年、第26回星雲賞海外長編賞受賞。
1991年「ハイぺリオンの没落」でローカス賞受賞、
1992年、イギリスSF協会賞受賞、
1996年、第27回星雲賞海外長編賞受賞。
1998年「エンディミオンの覚醒」でローカス賞受賞。

1986年「カーリーの歌」で世界幻想文学大賞受賞。
1990年「殺戮のチェスゲーム」でローカス賞、ブラム・ストーカー賞受賞。
1992年「サマー・オブ・ナイト」でローカス賞受賞。
1993年「夜の子供たち」でローカス賞受賞。
1995年「エデンの炎」でローカス賞受賞。
2004年「イリアム」でローカス賞受賞。

OHP
著作リスト
No. 年度 邦題/原題 備考
1985 カーリーの歌
Song of Kali
1987 重力から逃れて
Phases of Gravity
1989 殺戮のチェスゲーム
Carrion Comfort
1989 ハイペリオン
Hyperion
ハイペリオン・シリーズ
1990 ハイペリオンの没落
The Fall of Hyperion
ハイペリオン・シリーズ
1990 Prayers to Broken Stones 短編集
1991 サマー・オブ・ナイト
Summer of Night
1991 Going After the Rubber Chicken ノンフィクション
1992 うつろな男
The Hollow Man
10 1992 夜の子供たち
Children of the Night
11 1992 Summer Sketches ノンフィクション
12 1993 愛死
Lovedeath
中篇集
13 1995 エデンの炎
Fires of Eden
14 1996 エンディミオン
Endymion
ハイペリオン・シリーズ
15 1997 エンディミオンの覚醒
The Rise of Endymion
ハイペリオン・シリーズ
16 1999 諜報指揮官ヘミングウェイ
The Crook Factory
17 2000 ダーウィンの剃刀
Darwin's Blade
18 2001
Hardcase
ジョー・クルツ・シリーズ
19 2002 A Winter Haunting 「サマー・オブ・ナイト」続篇
20 2002 Worlds Enough and Time 短編集
21 2003 雪嵐
Hard Freeze
ジョー・クルツ・シリーズ
22 2003 イリアム
Iium
イーリアス・シリーズ
23 2003 夜更けのエントロピー
Entropy's Bed at Midnight
短編集
24 2004 オリュンポス
Olympos
イーリアス・シリーズ
    Hyperion
1989ハイぺリオン★★★★★

28世紀、宇宙に進出した人類を統べる連邦政府を震撼させる事態が発生した! 時を超越する殺戮者シュライクを封じこめた謎の遺跡― 古来より辺境の惑星ハイペリオンに存在し、 人々の畏怖と信仰を集める“時間の墓標”が開きはじめたというのだ。 時を同じくして、宇宙の蛮族アウスターがハイペリオンへ大挙侵攻を開始。 連邦は敵よりも早く“時間の墓標”の謎を解明すべく、 七人の男女をハイペリオンへと送りだしたが…。 ヒューゴー賞・ローカス賞・星雲賞受賞作。 ハイペリオン・シリーズ第1部。 辺涯に位置する青緑の惑星ハイペリオン。 この星には〈時間の墓標〉とよばれる造物者不明の遺跡があり、 時を超越するとされる殺戮者・シュライクが封じられていたが、 墓標が徐々に開きはじめているという。 さらに"宇宙の蛮族"アウスターがハイペリオンへの侵略を強行。 連邦政府は宿敵より先に〈時間の墓標〉の神秘を解明すべく、 7人の人間―― "司祭"ルナール・ホイト "兵士"フィドマーン・カッサード "詩人"マーティン・サイリーナス "学者"ソル・ワイントラウブ "船長"ヘット・マスティーン "探偵"ブローン・レイミア(紅一点) "領事" ――を巡礼に送りだすことを決定。 うちすくなくともひとりはアウスターのスパイだというが……。 〈時間の墓標〉をめざす初対面の7人それぞれが背負う ハイペリオンに因した物語とは? 四部作の最初だけあって、おおかたのなぞはほったらかしです。 (ハイペリオンは未完に終わる、と) まずは世界観と惑星ハイペリオンのミステリをとくとたんのう。 7人(語られるのは6人分だけですが)の物語がメインなので 連作短編集のおもむきもありますね。 ただいずれもちがうテーマを追求し、 それでいてしっかり惑星ハイペリオンと怪物シュライクが からんでくる手際はみごととしかいえない。 詩人ジョン・キーツを下敷きに、未来叙事詩の開演です。 シーユー・レイター、アリゲイター! インナ・ホワイル、クロコダイル!
62 192 288
    The Fall of Hyperion
1990ハイぺリオンの没落★★★★★

連邦の首星TC2から、色鮮やかな光条を描いて、 FORCE無敵艦隊が出撃していく。 めざすは謎の遺跡「時間の墓標」を擁する惑星ハイペリオン。 宇宙の蛮族アウスターから人類連邦を守るための壮絶なる戦いの火蓋が、 いままさに切って落とされようとしていた。 いっぽうハイペリオンでは、連邦の密命を受けた七人の男女が、 ついに「時間の墓標」に到着していた。 長い旅路のはてに、その地で彼らを待ちうけていたのは…? 『SFが読みたい!2001年版』が選ぶ90年代ベストSF第1位。 ついに銀河を揺るがす戦いの火蓋は切られた ハイペリオン・シリーズ、驚天動地の第二部。 ハイペリオン・シリーズ第2部。 惑星ハイペリオンをめぐり戦闘を開始した連邦軍とアウスター。 予想以上の猛威をふるうアウスターの戦力に苦戦を強いられる連邦。 その影で無気味に見えかくれするAI郡〈テクノコア〉の思惑……。 一方、巡礼の7人はついに〈時間の墓標〉にたどり着く。 苦難の旅路と物語を経て築かれた結束も、 神出鬼没のシュライクに幻惑され、 ひとりまたひとりと欠け、くだかれていく……。 戦局と巡礼……人類を待ちうける運命とは―― うおおん、解決篇ともとれる本書ですが、燃えつきた(;´Д`) この怒濤のカタストロフィとカタルシスはすごすぎだって。 うん、ちょっとできすぎだよな。 現代において存在自体が奇跡にひとしい、とはよくいったもんだ。 なるほど、題材や道具は使い古されたものかもしれません、 かき集めたところでがれきの塔がそびえるのが関の山、 だっていうのにこの仕上がりですよ。 こうなると文筆の才覚ってのは呪いに等しいな。 すでに完結でもいいのに、まだ2/4なんですよね。 もう止まらないわ、一気に読みたいわ。 墓碑銘を刻んで敬意と感謝と祈りをささげよう。 "Here lies one whose name was writ in water.(水に名を記されし者 ここに眠る)"
    Endymion
1996エンディミオン★★★★★

連邦の崩壊から三百年あまり、人類はカトリック教会、 パクスの神権政治のもとに統べられていた。 惑星ハイペリオンの狩猟ガイド、青年エンディミオンは パクス法廷により冤罪で処刑される直前、一人の老人に命を救われた。 なんと老人はかつてのハイペリオン巡礼者、詩人サイリーナスだった! 老人は、まもなく開く“時間の墓標”から現われる 救世主を守ってほしいと彼に依頼してくるが… 傑作SF叙事詩、堂々の第三部。 ハイペリオン・シリーズ第3部。 〈崩壊〉から300年―― 人類は"聖十字架"を擁し、布教に利用する カトリック教パクスの神権政治に支配されていた。 惑星ハイペリオンで狩猟ガイドを務めていた 28歳の青年ロール・エンディミオンは、 マナーの悪いハンターとのトラブルからぬれぎぬを着せられ、 あっさりと死刑を宣告されてしまう。 その処刑の寸前、彼を救出したのはあの"詩人"であった! ひと息つく間もなく、老詩人は数々の無理無体な要求をしてきた。 まずはほどなく〈時間の墓標〉から現われる12歳の少女アイネイアーを、 待ちうけている教会の手から護ってくれという。 こうしてエンディミオンの大冒険、物語ははじまった―― 今回のストーリーはシンプル。 教会側の追っ手であるデ・ソヤ神父との追いかけっこ、 逃避行だけですからね。 ちと言葉のイメージが悪いので換言すると これもまた巡礼の旅といえましょう。 最初は敵役で憎いデ・ソヤ神父も、 その不屈の精神に読み終わるころには遖です。 シュライクに拮抗、あるいは凌駕するやつまで出てくるよ。 苛酷ながらも美しい情緒豊かな風景、光景―― 大海の惑星、砂漠の惑星、氷の惑星、樹林の惑星 ――を旅路をとおしてたっぷりあじわえます。 最後にたどり着く惑星もたまりません。 今回はテイヤール・ド・シャルダンが印象強かった。
    The Rise of Endymion
1997エンディミオンの覚醒★★★★★

人類がカトリック教会、パクスの支配下におかれた32世紀。 惑星ハイペリオンの青年エンディミオンは、 老詩人サイリーナスの依頼で“時間の墓標”から現われた 少女アイネイアーをパクスの手から守りぬき、地球にたどりついた。 それから4年、アイネイアーは、人類の救世主たる 自らの使命を果たすべくパクス支配領域への帰還を決意する。 そして彼女と行動をともにしてきた エンディミオンもまた新たな冒険へと旅立つが…。 ハイペリオン・シリーズ第4部(完結) 建築家F・L・Wに出会い、教えを受ける一行は、 ついに最後の物語へと足を踏みだした。 すべての勢力と思惑が激突するなかで すべてのなぞは解明され、宇宙の真の姿が現われる。 エンディミオン、アイネイアー、人類の運命は―― ぐうおおん、また燃えつきた。今回は灰も残らねえ(;´Д`) 物語が頭から離れないよ。 今回も序盤は前作とおなじノリで好青年ロール君の冒険なんだけど、 転位するたびに九死に一生を得つづける展開に 彼には悪いけど笑いがとまらなくなる(w ところが中盤からはまったくちがった様相を呈し、 終盤ではもう心、思考が崩壊するね。 覚醒前後なんて読むスピードが異常だったよ、没頭なんてレベルじゃない。 正直「没落」がピークかと思ってたものなぁ、すさまじいな。 強引だったり破綻だったりの部分も感じられたけど そんなほころびなぞ圧倒的正のまえでは輾然です。 宇宙観、真理がすごすぎるので。 っーか、すべて読み終えたあとでの 「エンディミオン」は涙でおぼれるんじゃねえか。 しかしシュライク=ジョン・キーツとはやられたね。 いや、絶対確実かどうかはともかくとして。 「娘さんをください」と苦労するエンディミオンが目に浮かぶ(w 「ハイペリオン」の時点でメタSFだったけど、 最終的にはメタメタメタメタメタSFくらいになってるこの4部作。 文庫で4000ページの歯ごたえといい、ぜひ召しあがっていただきたい。 床屋で散髪するヒーローの物語。 すばらしい恩恵を浴することでしょう。
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