ピーター・ラヴゼイ (Peter Lovesey)

1936〜
英国ミドルセックス州ウィットン生まれ。
ヴィクトリア朝の警察官を主人公にした「クリッブ&サッカレイ」シリーズや
英国皇太子「アルバート・エドワード」を主人公にしたシリーズ、
昔ながらの捜査方法を頑なに守る、誇り高き無骨な刑事の活躍を情趣豊かに描く
「ピーター・ダイヤモンド警視」シリーズなど、
人気のシリーズを次々と発表しつづける現代を代表するミステリ作家。

1970年「死の競歩」でデビュー。
1978年「マダム・タッソーがお待ちかね」でCWA賞シルヴァー・ダガー賞受賞。
1983年「偽のデュー警部」でCWA賞ゴールド・ダガー賞受賞。
1995年「バースへの帰還」、
1996年「猟犬クラブ」でCWA賞シルヴァー・ダガー賞連続受賞。
2000年、CWA賞ダイヤモンド・ダガー賞受賞。
2003年、「漂う殺人鬼」はマカヴィティ賞を受賞。

別名義:ピーター・リア
    Waxwork
1978「マダム・タッソーがお待ちかね」

1888年3月、ロンドンの高級写真館で助手をつとめる男が毒殺された。 警察の入念な捜査の結果、彼に恐喝されていた館主の妻が逮補される。 彼女は公判を前に自らの罪を告白し、 判決は絞首刑と決したが―三カ月後、 内務大臣の許へ届いた一枚の写真がすべてをくつがえした。 そこには彼女の犯行を不可能たらしめる重要な鍵が写っていたのだ! 英国推理作家協会賞シルヴァー・ダガー受賞に輝く本格推理傑作。
    The False Inspector Dew
1982「偽のデュー警部」★★★★★

喜劇王チャップリンを頼って 豪華客船に乗りこむ女優の妻を海へ突き落す―― 歯科医の夫とその愛人は偽名を使い、 完全なる殺害計画を胸にモーリタニア号に乗船したが…… やがて起った殺人事件とそこへ登場する偽の名警部とは? 本格ミステリ黄金期の香り漂う新趣向の傑作。 一九八三年英国推理作家協会賞受賞作。 本格ミステリ。 発表されたのは近代ですが、 作中では1920年代、映画俳優チャップリンの時代です。 ミステリでは黄金時代なので、その香りもたのしめます。 舞台は、英米とその海上(豪華客船)。 前半は倒叙ミステリ風で、 主人公の歯科医が愛人と妻殺しにいたるまでの描写と、 各主要登場人物の背景にページが割かれます。 そして後半ですよ。ここからがすげえ。 船上での妻殺人計画を実行するわけですが―― えっと、これ、どこまでいっていいんだろ……。 主人公が偽名を使うまではOKだよな。 それが原因でデュー警部と勘ちがいされるまではセーフか? 犯人が探偵役になるまでは大丈夫だよね。 さらに被害者が別人ってのはもう限界かっ? ああダメだ、かなりおおげさっぽいけど伏せておこう(;´Д`) ただタイトルはすばらしいですね。 この後の展開も予想を超えちゃってます。 1910年、ロンドンには「クリッペン博士事件」も 「デュー警部」も実在したそうな。ともに向こうでは有名らしいです。 それだけに日本では魅力ダウンは避けられませんね('A`) や、あらかじめ検索とかしておけばいいんだけど。 チャップリンの起用法など、メタレベルの仕掛けがすてき。 もちろん、べつに知らなくても本筋のおもしろさは不変なので あまり気にして敬遠するのはもったいない。 ロマンティックでさりげないユーモアも絶品の一作、おすすめです。
    The Summons
1995「バースへの帰還」

呼び出しは深夜にきた。 二人の刑事が、失業中の元警視ピーター・ダイヤモンドを、 ロンドンのフラットのベッドから引っ張り出したのだ。 連れて行かれた先は、ダイヤモンドのかつての職場、 バースのエイヴォン・アンド・サマセット署だった。 かつて彼を辞職に追い込んだ上司たちが、深刻な顔で迎えた。 殺人犯マウントジョイが脱獄し、 副署長の娘を誘拐して交渉相手にダイヤモンドを指名しているという。 四年前、女性ジャーナリストが口に赤い薔薇を詰めこまれて 刺殺された事件があり、彼がマウントジョイを逮捕していた。 頼みこまれて、ダイヤモンドはしぶしぶ、 しかし内心では大好きな捜査活動ができることにほくほくして、 マウントジョイとの会見にのぞむ。 そこで要求されたのは、四年前の事件の洗い直しだった。 もしマウントジョイが無実だとすると、真犯人は誰だったのか。 被害者のボーイフレンド、家主、取材していた不法居住者たち…。 調べていくうちに、当時は埋もれていた事実が次々と明るみに出、 ダイヤモンドの不屈の刑事魂が過去と現在を鮮やかに結びつけていく。 巨匠会心の、英国推理作家協会シルヴァー・ダガー賞受賞作。 ピーター・ダイヤモンド警視シリーズ第3弾。
    Bloodhounds
1932「猟犬クラブ」

世界最古とされる切手「ペニー・ブラック」が、郵便博物館から盗まれた。 数日後、ミステリ愛好会「猟犬クラブ」の会合では、会員のマイロが ジョン・ディクスン・カーの密室講義を読み上げようとしていた。 ところが、開かれた『三つの棺』には、 盗まれたはずの切手がはさまれていたのだった。 窃盗容疑をかけられたマイロが疑いをはらし、 ようやく運河に停泊させているナロウボートの自宅に戻ると、 船室内には「猟犬クラブ」の会員の死体が置きざりにされていた。 南京錠のかかった、まったくの密室状態での殺人事件。 エイヴォン・アンド・サマセット警察の警視の座に返り咲いた ピーター・ダイヤモンドは、「猟犬クラブ」の推理中毒者たちを相手に、 独自の推理で密室トリックに挑んだ―。 ミステリの蘊蓄をたっぷりと盛り込み、すべてのミステリ・ファンに捧げる、 英国推理作家協会賞シルヴァー・ダガー賞受賞の、シリーズ第4作。 ピーター・ダイヤモンド警視シリーズ第4弾。
    The House Sitter
2003「漂う殺人鬼」

家族連れや若者たちでにぎわうのどかな浜辺。 その中に人目をひく赤毛の女性が独りいた。 彼女はおもむろに寝そべり、くつろぎ始めた。 そして、いつのまにか彼女は首を絞められて息絶えていた。 周りには海水浴客が大勢いたにもかかわらず目撃情報は皆無で、 犯人の手がかりは波に洗われてしまい、捜査は暗礁に乗り上げた。 しかし、ダイヤモンド警視は地道な調査のすえ、 女性が犯罪心理分析官(プロファイラー)だということをつきとめる。 彼女は警察に協力し、殺人犯の正体を暴こうとしていた。 その犯行とは、人一人を殺害し、現場に暗く情念的な コールリッジの詩の一節を残してゆくという不気味なものだった。 ダイヤモンドは殺人犯の行方を追うが、まもなく次の殺人予告が…。 ダイヤモンド警視と異常殺人鬼の熾烈な駆け引きを描き出したシリーズ最新作。 ピーター・ダイヤモンド警視シリーズ第8弾。
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