マイクル・Z・リューイン (Michael Z. Lewin)

1942〜
マサチューセッツ州スプリングフィールド生まれ。
ハーバード大学卒業。
妻の奨めで読んだチャンドラーに影響を受け、
1971年、アルバート・サムスンシリーズ第1作「A型の女」でデビュー。
同シリーズ第4作「沈黙のセールスマン」、 第5作「消えた女」が代表作か。
バスケットボールが好きで、雑誌にコラムを寄稿したり、
チームのコーチをつとめたりもしている。
現代ネオ・ハードボイルド派の雄。

OHP ←トップにある日本向けのメッセージ笑ったw
邦訳・著作リスト
No. 年度 邦題/原題 備考
1971 A型の女
Ask the Right Question
私立探偵アルバート・サムスン
1973 死の演出者
The Way We Die Now
私立探偵アルバート・サムスン
1974 内なる敵
The Enemies Within
私立探偵アルバート・サムスン
1976 夜勤刑事
Night Cover
パウダー警部補
(私立探偵アルバート・サムスン)
1978 沈黙のセールスマン
The Silent Salesman
私立探偵アルバート・サムスン
1980 表と裏
Outside In
1981 消えた女
Missing Woman
私立探偵アルバート・サムスン
(パウダー警部補)
1982 刑事の誇り
Hard Line
パウダー警部補
1984 季節の終り
Out of Season(Out of Time)
私立探偵アルバート・サムスン
(パウダー警部補)
10 1986 男たちの絆
Late Payments
パウダー警部補
11 1988 そして赤ん坊が落ちる
And Baby will Fall
サムスンの恋人が主人公
12 1991 豹の呼ぶ声
Called by a Panther
私立探偵アルバート・サムスン
13 1993 負け犬
Underdog
14 1994 のら犬ローヴァー町を行く
Rover's Tales
15 1995 探偵家族
Family Business
ルンギ探偵事務所
16 1999 探偵家族 冬の事件簿
Family Planning
ルンギ探偵事務所
17 2001 探偵学入門
The Reluctant Detective and Other Stories
多士済々のリューインキャラたちの共演
    Ask the Right Question
1971「A型の女」★★★☆☆

お願い、わたしの生物学上の父を探して―。 閑散としたオフィスに突然飛び込んできた少女にサムスンは面食らった。 大富豪クリスタル家の一人娘が、 血液型から自分は実の子ではないことが判明したと涙ながらに訴えるのだ。 さっそくクリスタル家の系譜を探り始めたサムスンは、 こころならずも名家の巨富をめぐる醜悪な争いに巻き込まれてゆく。 暴力を憎む心優しき知性派探偵アルバート・サムスン、初登場。 アルバート・サムスンシリーズ第1作。 さびれ気味の私立探偵サムソンの事務所に少女が現れる。 名前はエロイーズ・クリスタル。資産家の一人娘、A型。 彼女みずからの調べで、自分が実の子ではないと判明したので 生物学上の父を探してほしいと訴える。 ちいさな依頼人にとまどいながらも、 クリスタル家の調査を開始するサムソンだが……。 さて、ハードボイルドです。 どことなくコージーでもあります。 両者が併存するなんておかしな話ですがそんな印象。 さばさばした洒落た語り口は固ゆでらしく、 目を通してて気持ちいいのですが、 じゃあ、冷血で冷酷で非情で暴力的かといえばほど遠い。 べつに正義をかざしているわけでもないし、自然体なんですね。 よって、一人称であるサムソンとの相性で評価は増減しそう。 展開は比較的地味で丹念な捜査がメーン。 アクションや格闘なんて彼は好みません。 では彼の簡単なプロフィールを引用。 「(前略)きみは私立探偵で37歳、この市の生まれだ。  大学にはいったが、父親が死んだため退学した。  父親はマリオン刑務所の看守だった。  しばらく警備の仕事をしてから大学にもどったが、  落第して、自分の"経験"を本にした。これが評判になった。  きみは自分よりいい家柄の娘と結婚して、娘がひとり生まれたが、  予想以上の身分のちがいが障害になり、離婚した。  7年前この街にもどってきて、私立探偵の認可をとり、  ほかにもいろいろな仕事をしてきた(以下略)」 この市、ってのはインディアナポリスです。 スタンダートな私立探偵小説が読みたいならゴーサイン。 ラストも清涼でおいしいです。 ところで、カバーの紹介が父に限定されているのはどうでしょうね。 私はあれがきな臭くかえって予測できたし、 それならそうでフェアじゃないような……。 でも匂わせたら匂わせたでつまらないのかなあ。 この作品の魅力からして、その辺は瑣末なことなんですけどね('A`)
    MISSING WOMAN
1981「消えた女」★★★★
二カ月前に失踪した友人を探しだしてほしい―― エリザベスと名乗る女の依頼で、 わたしはその友人プリシラの住んでいた町へ行った。 やがて彼女は青年実業家と駆け落ちしたらしい事がわかり、 調査は打ち切られる。 が、数カ月後、実業家の死体が森で発見され……シリーズ代表作。 アルバート・サムスンシリーズ第5作。 あいかわらず不況のサムスンの探偵事務所に ひとりの女エリザベスがおとずれ、 失踪した友人プリシラの捜索を依頼した。 サムスンはさっそくその消えた女の消息を調査を開始し、 プリシラが地元の実業家と駆け落ちしたらしいと判明。 サムスンは事件性を漠然と感じ、依頼人に告げるが、 エリザベスはこれ以上はお金のむだと依頼を打ち切る。 ――そして、探偵事務所の移転などでこの事件を 忘れかけた数ヵ月後、実業家の死体が地元の森で発見された。 サムスンはエリザベスに連絡しようと試みるが、 彼女もまた消えてしまっていた……。 上でもいってるけど、ハードボイルドだけどソフトです。 ユーモアが色濃く、随所で吹きだします(w とはいえ、あくまで基盤はハードボイルドなので 事件自体はシビアで、 真相に辿りつくとタイトルもゾクっとします。 なお、失踪人課のリーロイ・パウダー警部補も登場しています。
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