レックス・スタウト (Rex Stout)

1886〜1975
インディアナ州生まれ。
劇場案内係、海軍下仕官などを経て、執筆活動を開始。
純文学小説家を志していたようだが、
1934年「毒蛇」で巨漢(肥満)の美食家、
園芸(蘭)を愛する安楽椅子探偵ネロ・ウルフを誕生させ、黄金時代にその地位を確立。
のちにMWAの会長も務め、
1959年、MWA賞の巨匠賞を受賞。
1968年「ファザー・ハント」でCWA、シルヴァー・ダガー賞を受賞。
    Fer-de-Lance(Meet Nero Wolfe)
1934「毒蛇」

ウルフが、見知らぬイタリア女の不意の来訪を受けたのは、 49の銘柄のビールを一本ずつ賞味しているときだった。 失踪した兄を探してほしいという彼女の依頼を、ウルフは快諾した。 手がかりは、新聞の切り抜き記事ただひとつ。 しかし、その記事は事件を思いもよらぬ方向に導いていった。 金属細工師の失踪と大学総長の疑惑の死── 二つの謎を結ぶ糸はいったい何か? ウルフの明晰な頭脳は活動を開始した。 発表当時、独創的なトリックと作風で大センセーションを巻き起こし、 現在も本格探偵小説の古典的傑作と評されるレックス・スタウトの代表作 ネロ・ウルフシリーズ第1弾。 ここから読みたかったけど、絶版('A`)
    The League of Frightened Men
1935「腰ぬけ連盟」★★★★
猥雑裁判で話題の作家チャピンは、 私立探偵ネロ・ウルフが調査を依頼された贖罪連盟のメンバーが 次々と怪死した事件の鍵を握る人物だった。 メンバーに送られてくる脅迫状はチャピンが書いたものらしい。 彼の過去には脅迫を裏づける重大な理由があった。 やがて連盟の中に新たな犠牲者が……美食家探偵の本格推理 ネロ・ウルフシリーズ第2弾。 大学で恒例の新人いじめの最中に負傷してしまい、 片脚が不具なったポール・チャピン。 責任を感じた上級生たちは"贖罪連盟"を組織し、 チャピンの救援をつづけていた。 やがて彼は暴力を賛美する異色の作家として成功したが、 同時期に贖罪連盟のメンバーが次々と怪死する事件が発生。 そのたびに復讐の犯行をほのめかす詩文の脅迫状が届きはじめ、 証拠はないものの どうやら書き手はチャピンらしく、 戦々恐々とした贖罪連盟は腰ぬけ連盟になってしまう。 メンバーたちはネロ・ウルフに調査を依頼するが―― ああ、固有名詞に苦労した>< たぶん前作を読んでりゃも少しマシだったんだろうけど、 むだに多すぎやしないかね。"贖罪連盟"のメンバーとか 一度しか登場しない端役の探偵とか。 メンツがしぼられる中盤に差しかかるまで落ちつかない。 性格などキャラの書き分けはできているので、救いです。 文体も固ゆでっぽいクセがあり、 ウルフの助手である青年アーチー・グッドウィンの視点。 ウルフとのやりとりなどユニークだし笑えるんだけど、 これもすぐにはなじむまず。相性の問題かな。 ストーリーじたいは明快で、 ネロ・ウルフ流のケリのつけかたがお見事。 筋金入りの安楽椅子探偵が動いたシーンなんて、 アーチーでなくとも胸が熱くなりましたよ(;´Д`)
    Too Many Cooks
1938「料理長が多すぎる」★★★★
世界各地から選出された15人の名誉あるシェフたちは、 保養地カノーワ・スパーに集いソースの味ききに興じていた。 ところがその中の一人が刺殺された…… この集いに主賓として招かれていた、 蘭とビールを愛し美食家探偵を自任するネロ・ウルフは、 誇り高き名料理長たちをまえにその重い腰をあげたのだが……! ネロ・ウルフシリーズ第5弾。 世界で活躍する15名の代表的な料理長の名誉ある定例会合に、 主賓として招待されたネロ・ウルフ。 アーチーを引きつれ、開催地へなんとかたどり着くが、 待ちうけていたのはまたしても殺人事件だった。 余興の10種類のソースの味ききの最中に、 きらわれ者の料理長が刺殺されたのだ。 美食家のウルフはこの余計な事態に憤慨するが……。 まさに料理長が多すぎる。 15人のメンバーのうち、3人はすでに死去、ふたりは欠席ですが、 残りの10人はメイン登場人物ですので(^^; 原題は Too many cooks spoil the broth. によります。 (料理人が多すぎるとスープができそこなう。船頭多くして船山に登るの意) 本書の魅力はおいしそうな料理とウルフの人間(探偵)性かなぁ。 犯人なんぞに興味がない彼を物語の展開がカバーする流れがいい。 やはり料理人は逆に刺殺はしないよなと揣摩臆測したとおり。 なお、原書の巻末には18種のレシピが揚げられているそうですが、 日本版では残念ながらカットされています。 スタウトは晩年、料理本を出すにいたるんですよね(w
▼BACK▼          ▽TOP▽