小栗 虫太郎 (おぐり むしたろう)

1901.03.14〜1946.2.10
東京神田生まれ。
昭和8年「新青年」に発表した「完全犯罪」で本格的デビュー。
昭和初期の探偵小説ブームに貢献。
ペダントリーな作風で異常常識を生成。
超参考
    こくしかんさつじんじけん
1934「黒死館殺人事件」★★★★★

悪名高きメディチ家の血系、 妖妃カペルロ・ビアンカの末裔といわれる降矢木家。 黒死館の異名で呼ばれるその屋敷で起こる人智を超越した連続殺人。 本書は悪魔学と神秘科学に絢爛といろどられた、世界にも比類のない、 日本の誇るロマンティック本格探偵小説である。 不世出の天才、小栗虫太郎のすべてを語る異端の傑作。 主要登場人物 法水鱗太郎……………………非職業的探偵 支倉肝…………………………地方裁判所検事 熊城卓吉………………………捜査局長 乙骨耕安………………………警視庁鑑識医師 降矢木旗太郎…………………黒死館の当主,算哲の遺子 押鐘津多子……………………算哲の姪,大女優 押鐘童吉………………………津多子の夫,病院長 グレーテ・ダンネベルグ……第一ヴァイオリン奏者 オリガ・クリヴォフ…………ヴィオラ奏者 ガリバルダ・セレナ…………第二ヴァイオリン奏者 オットカール・レヴェズ……チェロ奏者 (黒死館不出のクワルテット) 紙谷伸子………………………故算哲の秘書 久我鎭子………………………図書掛り 田郷真斎………………………執事 川那部易介……………………給仕長 降矢木算哲……………………黒死館の創設者(故人) クロード・ディグスビイ……黒死館の設計・建築者(故人) テレーズ………………………算哲の愛妻を模した自動人形 古賀庄十郎……………………召使 ジョオコンダ…………………聖バーナード犬 鹿常充…………………………評論家 大田原末雄……………………ホルン奏者 三大奇書の1つ。※「家畜人ヤプー」とかぶったりもする 衒学的すぎます。疲れます。 埴谷雄高の「死霊」とかでもこの感覚味わったよな……。 諸学百般からの博引旁証、稀少事実の拝借転用のパターン多し。 こんなのスラスラ読めて理解できちゃう人って羨望。憧憬。尊敬。敬遠(w 以下はネタバレ全開です!! 解説ダイジェストにしたかったけど、 要領よく要点をまとめるなんて私には無理でした><  序 篇 降矢木一族釈義 黒死館と家主である降矢木家の歴史概要。 1月28日の朝、グレーテ・ダンネベルグ夫人が毒殺されたとの一報。 法水、"ウイチグス呪法書"に懸念、警戒。 過去、黒死館で発生した3度の動機なき変死事件。 似たケースであるキューダビイ家の崩壊の話。 考察、見解にうならされる。これ実話?  第一篇 死体と二つの扉を繞って 黒死館へ。外観、内装をたっぷり紹介(w 「君はいつファイロ・ヴァンスになったのだね」に笑う。 違和感のある装飾品の数々を指摘。 現場の部屋へ。遺体が発光しており、両こめかみに紋章の文身が。 死因はオレンジに混入された青酸カリ。 現場は施錠された密室だった。 "テレーズ"と記されたメモ。ダイイングメッセージ? 自動人形の部屋(鍵が紛失している。薬物室のも)の調査。 死体のある部屋に戻る。川那部易介が失踪。 久我鎭子談・昨夜の出来事。 現場は過去の変死事件により、開かずの間だった。 なにかに怯え、この部屋に避難した被害者。異様な神意審問会。 スコットランド牧師屍光事件と解釈。 算哲が6人の殺人方法の予言を描いた黙示図が――  第二篇 ファウストの呪文 Undinus sich winden (水精よ蜿くれ) 続・久我鎭子の訊問。 カルテットは養子養女として帰化入籍、遺産権あり。 田郷真斎の訊問。 算哲の死は自殺ではなく殺人だったと告発。 ここにもテレーズ人形の影が。 ディグスビイ忌斎日、黒死館に演奏が響く。 水のトリック。 川那部易介が甲冑から窒息死体で発見される。 音響と残響のミステリ。鐘楼へ。  第三篇 黒死館精神病理学 Sylphus Verschwinden (風精よ。消え失せよ) 鎧通しを握り締めた紙谷伸子が不可解な失神をしている。 倍音演奏のミステリ。 ダンネベルグ夫人殺害現場の部屋へ。 写真乾板の手がかり。 裏庭へ――の前に図書室へ。稀覯本の宝庫。 薬物室の鍵が見つかる。薬物室へ。薬品を調査。 ついでに神意審問会が行なわれた部屋へ。 黒死館建設者ディグスビイの影。 ようやく裏庭へ。足跡の考察。 墓地へ。ディグスビイの心象。 もとの部屋へ。 田郷真斎、降矢木旗太郎、 クリヴォフ夫人、セレナ夫人、レヴェズ氏の訊問。 詩文(引用句)の応酬。なんともはや(^^;  第四篇 詩と甲冑と幻影造型 乙骨耕安による紙谷伸子の診断結果。 "降矢木伸子"の自署。 田郷真斎の訊問。いまさらだけど推理の超展開がすごい(w 古代時計室へ。 押鐘津多子が倒れている。 機械仕掛けのテレーズの幻影。 事件の第一日の終わり。 翌朝の報道模様。 法水の書斎にて易介の死因の見解を記者会見で発表。 一通の速達が舞いこむ……。  第五篇 第三の惨劇 Salamander soll gluhen (火精よ、燃えたけれ) 事件のこれまでを反芻、再構築。引例の暴走がやばい(^^; 法水、犯人を導きだす。 黒死館へ。 火術弩でクリヴォフ夫人が狙撃される。 武具室へ。道具や位置関係を点検。 住人たちのアリバイを確認。 噴泉へ。周囲を調べる。 開かずの間へ。  第六篇 算哲埋葬の夜 紙谷伸子、久我鎭子の訊問。 算哲の心臓の秘密。 噴泉と虹のミステリ。 大階段裏へ。 隠し扉などを調査。ディグスビイの呪詛。 広間へ。 押鐘童吉に算哲の遺言書について問う。 伸子の部屋へ。 ダンネベルグ夫人との奇妙なトラブル。  第七篇 法水は遂に逸せり!? レヴェズの部屋へ。 算哲・ディグスビイ・テレーズの関係。事件の動機。 花瓶の破壊だけでもひねくれてるなぁ(^^; 火術弩の発射トリック。 ダンネベルグの部屋へ。 地精の札のありかは? 古代時計室へ。 押鐘津多子の訊問。 開錠のトリック。 もとの部屋へ。伸子が中毒で倒れる。 薬物室へ。再調査。 温室へ。出入りした人物とは。 2日後、黒死館の礼拝堂で年一回の公開演奏会。 足跡、火術弩、暗号、犯人の解明。 演奏会中、クリヴォフ夫人が刺殺される。  第八篇 降矢木家の崩壊 消灯の仕掛け。 殯室へ。異様な状態の室内。電力復旧。 礼拝堂へ。現場検証。 殯室へ。レヴェズが首を吊っている。 広間へ。ディグスビイと久我鎭子に関する報告。 図書室へ。久我鎭子の訊問。カルテットの秘密。 ダンネベルグの部屋へ。算哲の影が。 坑道へ。墓をあばくが……。 もとの部屋へ。二重の殺人。三変死事件の闡明。 人形の足跡。乾板の役割。紙谷伸子の訊問。 神意審問会の再現。 遺言書、乾板、起点。 礼拝堂へ。旗太郎、セレナ、伸子の訊問。事件解決。 翌日の午後。伸子が射殺されてしまう。 Kobold sich muhen (地精よいそしめ) 黒死館殺人事件の真相。 閉幕。
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