メアリー・シェリー (Mary Wollstonecraft Godwin Shelley)

1797.8.30〜1851.2.1
ロンドン生まれ。
当時のイギリス文学界に名声を馳せた二人の人物、
無神論を唱えるアナキストのウィリアム・ゴドウィンと
女権論者の母メアリ・ウルストンクラフトを両親に持つ。
1816年5月、バイロン卿に誘われ、レマン湖畔で過ごすなか、
彼の提案を機に小説「フランケンシュタイン」の着想を得る。
その2年後に出版され、おおきな反響をよぶ。
B・オールディスの有名なSF史研究書など、
SFの先駆者、あるいは創始者と見なす者も少なくない。
    Frankenstein: or The Modern Prometheus
1818「フランケンシュタイン」★★★★
11月も雨の寂しい夜、 消えかかる蝋燭の薄明かりの下でそれは誕生した。 解剖室などから各器官を寄せ集め、つぎはぎされた体。 血管や筋が透けて見える黄色い皮膚。 そして茶色くうるんだ目。 若き天才科学者フランケンシュタインが 生命の真理を究めて創りあげた物、 それがこの見るもおぞましい怪物だったとは! あまりにも有名な不朽の名作。 海洋冒険家のロバート・ウォルトン。 彼が率いる北極探検隊が航路を氷に閉ざされ、 立ち往生している真夜中、 犬ぞりを駆るぶきみな巨人の影が目撃された。 そしてそれを追うように現われたもうひとつの人影。 衰弱しきったその人物―― 稀代の若き天才科学者ヴィクター・フランケンシュタイン―― は、おそるべき物語をウォルトンに明かす。 それは神の仕事(生命創造)に挑んだ人間の悲劇の物語……。 ご存知、人造人間の代名詞フランケンシュタイン。 原作の怪物は名無しなんですけどね。 ハートはいたって人間的で、孤独につぶれるあたりも無辜だよ。 このへんの作品って、浸透しすぎて逆に未読ってパターン多いからなぁ。 といっても、ヴィクターも復讐に憑かれた鬼と化すので、 あながち怪物よばわりするのも道理がないわけではなく。 副題「あるいは現代のプロメテウス」は 火を電気に見立てたそうな、 ベンジャミン・フランクリンの実験の影響とかで。 あと、発表年は1818年ながら、 部分的に修正された決定版が1831年に出版されており、 こちらが底本となって翻訳されています、創元版。
ロバート・ルイス・スティーヴンスン
(Robert Louis Balfour Stevenson)

1850.11.13〜1894.12.3
スコットランド、エディンバラ生まれ。
小説家、詩人、エッセイスト、弁護士。
生まれつき病弱で、各地で療養しながら創作を続けた。
代表作は冒険小説の名作「宝島」(1883)。
1882年「新アラビア夜話 New Arabian Nights」は
クイーンの定員#011にも選ばれています。
    The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde
1986「ジキル博士とハイド氏」★★★☆☆

深夜のロンドン。 奇怪な男が十字路で少女を平然と踏みつけ、 高名な医師ジキル博士の屋敷に入っていく。 その男ハイドとは何者か? アタスン弁護士の疑念を裏付けるように、 博士の身辺にはさらに異常な事件が……。 『吸血鬼ドラキュラ』『フランケンシュタイン』と並び称される、 ホラーの古典的名作。 深夜のロンドンの一画。 エンフィールド青年は奇怪な場面に遭遇した。 出あいがしらにぶつかった少女を平然と踏みつけ、 去っていこうとする異様な人物。 問い詰めるとエドワード・ハイドと名乗るその男は 高名な医師ジキル博士の屋敷に悠々と入っていった。 従弟のエンフィールドにこの一件を聞いたアタスン弁護士は 旧友ジキルが自分になにかあればハイド氏に財産を托すとの 遺言状と考えあわせ、脅迫でもされてるのではと疑念を抱く。 そんなあくる日、老下院議員が撲殺されるという事件が発生。 目撃者によると犯人の風貌はハイド氏らしいのだが……。 いったい彼は何者なのか? ……なんていってみたけど、 知らない人なんて存在するのだろうか(^^; ヴィクトリア朝の二面性と 産業革命における急発展した科学文明への恐怖が 根底にあるのかもしれません。
ブラム・ストーカー (Bram Stoker)

1847.11.8〜1912.4.20
アイルランド生まれ。
ダブリン大学トリニティ・カレッジ卒。
本名:エイブラハム・ストーカー

アメリカのホラー作家協会HWA(Horror Writers Association)では
ブラム・ストーカー賞が設立されている。
    Dracula
1897「吸血鬼ドラキュラ」★★★★
トランシルヴァニアの山中、 星明かりを封じた暗雲をいただいて黒々と聳える荒れ果てた城。 その城の主ドラキュラ伯爵こそは、 昼は眠り夜は目覚め、狼やコウモリに姿を変じ、 人々の生き血を求めて闇を徘徊する吸血鬼であった。 ヨーロッパの辺境から帝都ロンドンへ、 不死者と人間の果てしのない闘いが始まろうとしている… 時代を越えて読み継がれる吸血鬼小説。 元祖吸血鬼もの。 空気が重厚で宗教色も強いけど、惹き付ける力はありますね。 多分にご都合主義的な気もしますが、 古典ありきの概念と思えばすごいことです。
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