The Nine Mile Walk
1967「九マイルは遠すぎる」★★★★☆
通りがかりに漏れ聞いた一言だけを頼りに、
推論を展開し、殺人事件の犯人を指摘したニッキイ・ウェルト教授!
純粋な推理だけを武器に、些細な手がかりから、
難事件を鮮やかに解きあかし、次々と解決していく教授の活躍。
MWA受賞作家の手になる、
本格推理小説のエッセンスとも言うべき珠玉の8短篇を収録!
ミステリ。短編集。
ニコラス(愛称:ニッキイ)・ウェルト教授が安楽椅子探偵を務め、
登場人物の会話の内容などから事件を論理的に解きほぐすやや古典的な形式。
犯人は「なんとなくわかっちゃう」連中ばかりですが、
どれもそこに行き着くまでの推論の積み立て方は見事です。
表題作も、
「九マイルもの道を歩くのは容易じゃない、
ましてや雨の中となるとなおさらだ」
の文章から導き出せる限りの推論がとかく鮮やか。
この作品は完成までに14年、
8話揃うまでに20年かかったというからすごい。
悠悠自適な執筆スタイルでかっこいいね、ハズれがないもの。
ミステリの骨格を再認識できる良作です。
ちなみに、本書はクイーンの定員の最後の一冊です。
「短編探偵小説の最も純粋な形式を疑いもなく永続させている
ニッキー・ウェルトものをまとめた本書で、
著者は読者に対し最初の一語から結語に至るまで
フェアプレーを演じている」(クイーン)
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